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ある妙な冒険者の手記  作者: 秋山秋
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第四十七話

 夕日が完全に沈み、夜が支配する時間になって、慌ただしく進んだ準備が終わりました。


 緊急事態と言う事で第一陣での出発となったのですが、更に冒険者を確保できた場合は、第二陣を出すそうです。もちろん冒険者は徒歩なのですが、ギルドが準備した物資を積んだ馬車が数台と一緒です。


 その馬車を守るように、総数で100名ほどの冒険者が、ギルドの指定で配置されました。大体5名前後のグループに分かれて配置されているのですが、僕たちは前方左翼のグループにいます。冒険者はパーティを組む事が多いので、そのパーティを最小体位の舞台にしているのですよね。連携とか考えると仕方ないですが、各個撃破なんかには注意が必要ですね。


 しかし、僕、エルヴィーラ、リコ、サラまでは理解できるのですが、サッシャまでここに居るのは謎です。ゾルタンの事があるので本当なら離れたいのですが、ギルド命令なので仕方ないと諦めているのですよ。


 フリーの冒険者は、フリー同士で組まされているのですけど、どうもサッシュの立ち位置が不明ですね。これを機に新しい仲間を探せばいいと思うのですけど、リコやサラと仲が良いみたいで一緒に居ることが多いのです。一度、ちゃんと話し合う必要を感じましたよ。


 まぁ、それは終わってからの話。今は今回の事に集中しないとなのですよ。


 行軍速度は早くないのですが、それでも徒歩での長時間の移動になので、体力はなるばく温存する事にしています。こまめに水分補給と岩塩を舐めるようにしたりですね。


 夜に出発したのですが、流石に明け方近くに一度休息。各グループが交代で見張りながら睡眠を取り、午後になる前に出発。そこからは午前中に進み、夜間は休憩というスケジュールで進んでいきます。


 馬車を護衛するように縦長に整備された街道を行軍しているのですが、その馬車群の先頭に、全体を取り纏めているギルド副支部長のベルトラムが中心のパーティがいます。その後方の馬車を護衛するのが、ベテラン冒険者パーティが中心のようですね。あの辺りが遠征軍の中心、本丸ってところで、更に、それらを囲むように中堅から新人パーティが配置されています。


 先頭グループは中堅パーティなので、僕たちもそう見られているみたいですが、年齢や実績から考えると、まだまだ新人に属していると思うのですよ。仕方ないので周りのパーティを参考にしているのですけどね。折角の機会ですし、盗める技術は盗んでおかないとなのです。


 探索者も同じようなグループを作って、半日ほど遅れた位置を行軍しているそうで、人数も冒険者グループと同数くらいらしいです。上同士では不可侵の話がついているみたいですね。何度か伝書鳩みたいなのが行き来するのが見えました。遠目から見ただけなので、本当に鳩かは知らないですけどね。


 こうして何日にも及ぶ行軍を続け、明日の昼には城壁都市ストーンヘッドに到着予定です。ここまでは、天気が良く、春の麗らかな日差しと暖かな風が気持ち良かったのですが、都市に近づくにつれ雲が出て来ています。嫌な感じですよ。風にも温かさがなくなった気がしますね。


 最後の丘を越え、その上から遥か前方に見えるのは城塞都市に相応しい、重厚な壁……だけではなかったです。確かに壁も見えるのですが、その壁の奥に、一際大きな大木が見えました。何メートルあるのでしょうね、まったく。


 流石に距離がありすぎて、全容は分からないのですが、薄らと見える大木には葉はないように見えます。枯れ木みたいな印象のシルエットですね。城塞都市の周辺は厚い雲に覆われており、もう直ぐ夕方ですが、辺りはすっかり暗くなっていました。


 今晩は、この丘の上で最後の休息を取り、明日は朝から城壁近くの平野に進軍。その場所に陣取る予定です。そこを起点にモンスターを討伐しながら、ゆっくりと進み、最終的には中心部の大木モンスターを切り倒すと言う事ですが、予想以上に大きかった木に、少し困惑気味な空気が全体に流れているように感じますね。


 更に詳しく言えば、三重城壁で有名なストーンヘッド、その東側に広がる平野部分の、街道を挟んで北側に冒険者軍、南側に捜索者軍が陣取る予定になったのですが、一気に突撃しないのは、虫型モンスターを警戒してなのです。


 平野部分には、今のところ虫型モンスターの姿は見えないのですが、都市がどうなっているか不明なので、最初に偵察部隊を送るそうです。慎重さが増したのは、城壁よりも大きな中央に見える強大な大木型モンスターのせいですよね。


 城壁の高さは、記録では8メートルとの事なので、その高さは目測で約10メートルと想定できます。横幅も5メートル以上というのが遠目から観測し比較から割り出した結果ですね。厚さで考えると……嫌になる数字です。その巨大さがモンスターのタフネスに繋がると予想も出来ますしね。武器の枝だけで太さは1メートルを余裕で超えるでしょう。


 大きいけど動かないから楽に倒せる、なんて希望論は持ちませんよ。都市内部には無数の虫型モンスターも居ますしね。住民たちは避難してくれている事も祈るだけです。北や南、もしくは反対側の西の平野部にキャンプがないか調べる必要もあるかもですが、それは上が考える事ですよね。


 僕達の本番は、これからなのですよ。

僕たちの戦いはこれからだ!第一部……ちゃんと続きますよ。

感想、お待ちしております。

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