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ある妙な冒険者の手記  作者: 秋山秋
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第四十三話

 驚きの結果でしたよ。まさか剣に吸いこまれるとは思ってもいませんでした。


「ま、まさか……もう一度……くっ!無理か……」


 剣の中から髭骸骨爺さんの声が漏れてきていますが、芝居とは思えない悲痛さを感じてしまいます。男なんか嫌じゃ、巨乳の近くが、なんて恨めしそうな声が聞こえるのですが……まぁ、諦めて貰うしかないのですけどね。取りあえず剣を鞘に納めます。すると隣に半透明な髭髑髏爺さんが現れました。


「こうなっては仕方ないの。今後ともよろしく、じゃ」


 切り替えは早いようですね。髭髑髏爺さん、名前はゾルタンと言うらしいです。本当はもっと長いそうですがね。お互いに自己紹介をすると金目になりそうな研究素材や古代魔法文明時代の金貨なんかを貰って、この研究所を後にする事にしました。金属系素材があれば武具に使用できたのですが、生憎と魔術媒介になる薬品系が多くなかったですね。それでも少しだけミスリル鉱石を入手しましたよ。


 この研究室への扉は、ゴーレムの素材を使って扉を物理的に封印です。まぁゾルタンの魔法でなのですけどね。魔力は大丈夫かと心配になりましたが、クリスタルリザードの水晶の特性で吸収出来るから回復は可能なようです。直ぐには無理らしいので、魔法は多様は不可能っぽいってことが、扉の封印の実験でわかりました。


 それからデスワームの素材も剥ぎ取って持てる荷物が限界に近かったので町に帰る事にしました。帰る途中、現代の情勢なんかをゾルダンに話し、その文明レベルの低下に驚いていましたね。特に魔法が滅んでいるところではショックが大きかったようです。


 一応は精霊魔法が残っているのですが、そんなのは古代魔法文明では初歩の初歩。召喚魔法の入り口に過ぎないそうです。そもそも、スキルも魔法の一種で、世界規模の魔法が古代に使われた名残でしかないそうですね。


 古代魔法王国の滅びが近い時に、魔法が使えない奴隷たちを兵として使用しようと強化した名残っぽいです。全盛期はゴーレムや精霊、モンスターを使用していたので人間種を兵には使わなかったそうです。


 ふと、野営中にスキルの強化して貰えるんじゃ?と思って聞いてみましたが、それは不可能らしいです。使えない骨ですよね。皆で使えないって目で伝えると、拗ねていましたよ。変わりに精霊魔法の効率のよい使い方は教えてくれるそうです。


 それには、エルヴィーラとリコは喜んでいました。サラだけ落ち込んでいたみたいですけどね。まだ引きずっているのでしょか?そもそも、パーティとして求めるところが違うのですが、そこには自分で気付いて貰いたいので黙っておきます。それで離れるなら、それまでの関係って事ですしね。


 後、防具に付与された『筋力増加』や『敏捷増加』も一種のスキル付与って感じなのですね。『剣術』『狩人』なんかも、それを使う技術の筋肉や神経など肉体的サポートというか強化と言うか……ちょっと違うそうですが、大きくは間違っていない感じですね。


 ちなみに『農夫』なんかと同じ系列の職業スキルが生まれたのは、奴隷を効率良く働かせるためって理由なのには、少し笑いそうになっちゃいました。昔も今も、文明は違っても考えることには大差ないのですね。


「それって……鎧に『盗賊』のスキルを付与できるって事?」


 ふと疑問に思って聞くと可能だという答えに、サラが勢い良くゾルタンに突っ込み、すり抜けて顔から地面にダイブしていました。何がしたいのか、僕とエルヴィーラで顔を合わせて同じように苦笑しましたよ。リコに起こされながら、サラがその付与をお願いしています。


 確かに凄い事ですよね。これって誰にも言えない事でもあります。気をつけないと、と皆に注意を促しましたが、真剣に聞くサラ達に不安が残ります。一瞬、口封じを考えましたが、スケープゴートに使える可能性も残っているので考えを改めました。最悪の時は……。


 魔力消費を考えると、連続は不可能らしいですけどね。僕とエルヴィーラに付与した時は大きな水晶に残っていた魔力を全て使ったそうで、剣の水晶だと回復速度なんかを考え一週間に一回出来たら良い方で、おまけに他の魔法はしばらく使えなくなるそうです。


 後、魔法同士が干渉するので一つの防具には、一つのスキルを付与するのが限界ってことで、魔法も万能ではないのだと分かりました。


 ゾルタンも今の文明の事を色々と聞いてくるので、知っている事を教えていたら、やっぱり服や食文化、衛生面に関して不思議に感じたようです。不自然に発達したと言うより、誰かの意図が見え隠れしているのですよね。


 まぁ、僕みたいな存在は他にもいると思うのですが、それでも世界規模で影響を与えているのに、誰も名前を知らないってのも怖い物を感じるのですよ。敵対するのなら不意打ちが良いです。不意打ち最強!


 色々な収穫がある探索でしたが、この日の夕方に、やっと冒険者の町(マウス)の門が見えてきました。でも、最後まで気を緩めてはいけません。遠足は帰るまでが遠足って言いますしね。

感想お待ちしております。

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