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ある妙な冒険者の手記  作者: 秋山秋
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第四十一話

 デスワームを倒した後、少しだけ休憩し、体力回復をした後、周囲を捜索しました。どうも、この広い空間を巣にしていたようですね。


 不思議だったのは、一度も潜ったりしようとしなかった事です。デスワームの舞台で戦っていれば、もっと苦戦していたと思うのですよね。不意に地中からの攻撃とか対処が難しいのです。


 それをしなかったのには何か理由があるのと思うのですが、答えに導いてくれそうなものはありませんでした。変わりに奥に人が一人通れそうな通路を発見したのですが、その先の通路、壁や床、天井がちゃんと人工物っぽかったのです。一階と同じ状態で、デスワーム、これ以上先には進まなかったのですね。


 サラを先頭に、その通路を進んでいくと下に降りる階段を発見しました。他にモンスターとも遭遇しなかったので、この場所でもう少し休息してから、階段を下りる事にします。小部屋での休息から、結構な時間が経過していますし休める時に休まないと。


 僕個人はそんなに疲れてないですが、一番体力がないサラに合わせて考えるべきでしょう。この間に堅い干し肉を齧り、干し葡萄を一つ噛み、水筒で水を一口、エネルギー補給もしていたのですが、リコに食べられる事を感心されました。いや、感心してないでリコもサラもエネルギー補給してもらわないと、先がどうなっているのか予測できない状態なのですよ。エルヴィーラも、ちゃんと食べていますよ。


 休憩が終わると、先に進みます。デスワームの解体は、帰る時にします。さすがに大きいので途中で邪魔になりそうですし、全部を持って帰るのは最初から不可能なのは皆が理解しています。


 階段を下りている途中、罠なんかを警戒してサラが最初に進んでいたのですが、不意に足を止めて、殿の僕まで聞こえるような大きな声で謝って来ました。不思議に思っていると、不意に足元の階段がズレ、一枚の板状に変化していましたよ。大きな滑り台になっちゃったのですね。


 慌てて腰を落とし座るような体勢になると同時に、重力に捕まって滑って行きます。かなり急な角度で滑って行くのですが、僕の前に居たエルヴィーラが体勢を崩し倒れそうになったので、確りと両手で抱きしめるように受け止めました。


 リコはサラと団子状態で転がるように滑り落ち、僕はエルヴィーラを抱っこするように滑り降りた先には、強大な空間が広がっていましたよ。エルヴィーラを下し、急いで立ち上がって周囲の確認。先の方では団子状態の二人が、足掻きながら離れようと努力していました。


「ちょ!リコ!どこ触ってるの!」


「え?背中じゃ…ご、ごめんなさい!」


 大きな声で敵を呼んでいるのかと思いましたが、幸運な事に耳がいい相手はいないようですね。目の前に居るのは3メートルほどのゴーレムが一体だけです。部屋が明るかったので直ぐに発見できましたよ。その奥には大きな二枚扉。確実に番人ですよね。


 まだ距離があるのか、ゴーレム自体は動きませんが、後ろで階段が元に戻る音が聞こえました。その間に体勢を立て直しながら、ゴーレムを観察します。全体的に青銅で作成されているようですが、良く錆びていないものですね。さすが古代魔法文明の遺産なのです。これは扉の奥は期待できるかもしれません。


 大剣を抜き両手で構えると、エルヴィーラを弓の準備が終わっています。僕の剣は、重さ自体が武器なので対抗できると思うのですが、矢は流石に不利ですよね。魔法主体になると思います。


 リコとサラも何とか起き上がり、状況が確認できたのでしょう。武器や盾を構え、ゴーレムと対峙します。


「僕が先頭、リコは、サラのフォロー。サラは牽制中心で!」


 エルヴィーラには指示は必要ないですが、リコとサラに声を掛けると正面からゴーレムに突っ込みます。それに反応したのか、頭の中心部分に赤い光を灯したゴーレムも一歩前に出て、その大きな拳を叩きつけてきました。


 その拳に剣を叩きつけ返すと、鈍い音が大きく響くのと同時に、拳と剣が弾かれ合います。でも、負けません!その場で踏ん張ると、反対の手を振り下ろすゴーレムの拳に、また剣を叩きつけ、正面から攻撃を叩き潰していきます。


 一合、二合、三合、四合、五合、六合…………。


 何度も攻撃を潰していくと、ゴーレムの拳が削れていくのが理解できました。僕もスタミナを削られ続けているのですけどね。呼吸が乱れていくのは理解できますよ。


 ゴーレムが予想以上の速さで動いていますが、追いきれなくはないのです。只、懐に飛び込む間が掴み難いのですよね。呼吸や気配が希薄なのが問題なのです。エルヴィーラやリコ、サラの援護も始まっていますが、まだ賭け時ではないですしね。どちらかの手を破壊出来たら楽になると思うのですが、それまでスタミナが持つかどうか、正直、微妙な所です。


 更に激劇を続けていると、不意にゴーレムの攻撃パターンが変化しました。腕を弾かれた勢いのまま一周させてきたのです。掬い上げるような一撃を剣のあらで慌てて受け止めますが、体が浮かされてしまいました。


 その隙に剣の防御も御構いなしと反対の拳が叩き込まれ、後ろに弾き飛ばされます。


 大きく後ろに弾き飛ばされ、倒れそうになるのを必死で足を伸ばし、グリーブの先端の爪で床を削りながら転倒だけは回避しましたが、ゴーレムの本命の攻撃が来ました。目が光ったかと思うと、謎の光線が体に直撃。ビームとか反則だと思います。


 隕鉄を大量に使った鎧の胸部装甲で何とか弾いてくれましたが、鋭い痛みが体を突き抜け、一瞬呼吸が止まりました。その間にもゴーレムが入り込んできます。体当たり攻撃で止めを狙っているのでしょうね。


 呼吸が整うまで一瞬の間が欲しいですが、ゴーレムの方が早く……僕を弾き飛ばす直前に、矢が頭に突き刺さると、大きな爆発音が響きました。エルヴィーラの援護射撃です。


 その出来た間で一呼吸分だけ無理矢理息を吸い込むと、脇を通り抜けるように走り、ゴーレムの脇腹に勢いを乗せ大剣を叩きつけました。確かな手応えを感じながら振り返ると、頭部と脇を大きく破損したゴーレムが倒れていきます。


 何とか勝ちを拾えたみたいですね。ゴーレムの頭部の光が消え、動かなくなったのを確認すると、フェイス部分を上げ、エルヴィーラ達に笑いかけました。


 リコとサラですが、最後はタイミングが掴めずに、少し離れた場所で動けないままですけどね。捜索や回復が主な担当だと思っているので問題ないのですが、二人は悔しそうな表情をしています。


 悔しがる気持ちは理解できるのですが、リコには回復して欲しいのが本音。ガードしても拳のダメージや光線ダメージは残っているのですが、心配気に近づくエルヴィーラに心配させたくないので、二人を指差し苦笑を浮かべるくらいしかできないですよ。


 二人が立ち直って回復して貰った後、大きな扉の向こうの捜索ですね。お宝なのか、更なる強敵が待っているのか、どちらにしても楽しみな事なのです

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