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ある妙な冒険者の手記  作者: 秋山秋
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第四十話

GWの影響で、投稿が遅れました。

 地下に降りると風景が一変してしまいましたよ。


 休む時に多人数のありがたさを、体力の回復と共に再確認しながら軽い食事の後、調査再開したのですが、下層に降りる階段を発見し、降りていった途中から削り取られたようになっていました。


 楔と小型ハンマーで固定したロープを使い、サラ、リコ、僕、エルヴィーラの順番でロープを下りました。降りる時、ちょっと上を見たのは思春期だからです。まぁ、暗くてよく見えなかったって落ちが付くのですけどね。


 降りると、周囲は石作りの壁ではなく、大きく削り取られたようになっていて地面も土がむき出し状態ですね。まるで大きな球体が通り抜けたような跡になっているのですが、それだけなら嬉しかったと、後で思う事になります。


「警戒して進むね」


 サラが声を掛けてきたので頷いて答えると、大剣を鞘から抜いておきます。他の皆も、それぞれの武器を手にするとフォーメーションはサラが先頭で、次に僕とリコ、殿はエルヴィーラと、1-2-1の汎用陣形で進みます。対応力が高いので、これからも多用するでしょうね。


 足元や壁が、乾ききっていない粘液に覆われていて悪臭も鼻に付く中、サラの松明とリコのランタンの明かりを頼りに進んでいくと、横の壁に大きな穴が開いているのを発見しました。


 サラが念入りに調べると、どうも何かが壁をぶち抜いて、この研究所に侵入してきたみたいですね。奥を少し見てみましたが、うねりながら更に下がっていたので、もっと深い位置から来たみたいです。


 この階層での資料やお宝は諦めた方がよさそうですね。少し残念ですが、全体を調べ下に降りる場所がなければ帰る事も視野に入れるしかないでしょう。スケルトンの残骸なんかも見つからないですが、無事とは思えないですね。


 今の通路の大きさを考えると、人が余裕で二人並んで武器を揮える広さがあるのですよね。下手したら、クリスタルリザードやワイバーンに匹敵する大物との戦闘も考えなければなりません。……考えたら、ちょっと滾ってしまったのは秘密なのです。


 更に通路を進んでいると、かなり広く周囲が削り取られた場所に出ました。これは……居ますね、確実に。『気配探知』が巨大な生物の存在を教えてくれています。


 下手な体育館なみの広さがある、暗い空間を照らす心許ないランタンと松明の灯りが照らし出したのは、強大なミミズでした。顔の大きさだけで人間一人を余裕で飲み込めそうな大きさをしていますね。その口元には大きな牙が並び、周囲には粘液で塗れた触手が蠢いています。


「……モ、モンゴリアンデスワーム……」


 その姿を見た時、頭に浮かんだ名前です。モンゴリアンデスワームとは、ゴミ砂漠で目撃されたと言うUMA。Unidentified Mysterious Animalの略で、要するに未確認生物の事……って、本当に役に立たない骨の時の記憶が唐突に蘇りました。肉の記憶力を考えると一生忘れる事はないでしょうね。


 もっと役に立つ知識なら知識チートとか狙えたかもですが、エッチ関係の知識とかUMAに関する知識とかあっても、どうしろと。泣きそうです。


「し、知ってるのヴァイデ!」


 僕の呟きが聞こえたのが、驚いた顔でデスワームを見ていたサラが聞いてきました。なんだか恥ずかしいのですが、フルフェイスで表情が見られないのはありがたいです。


「い、いや……あの……違う種族みたいがけど、前衛は僕が…援護お願い!」


 誤魔化すように叫ぶと、正面からワームに向かって突進します。デスワームも大人しく待っていた訳ではなく、僕たちの接近に気が付いていたのか巨体を使っての体当たりをしてきました。


 眼も鼻もなさそうですが、どうやって察知しているのでしょうね。些細な疑問を感じましたが空間があるのは嬉しいですね。僕に向かって突撃してきたデスワームの体をサイドステップで避け、大剣を頭に叩きつけます。


 確かな手応えを感じるのですが、怯んだ様子もなく体をくねらせるよう頭を叩きつけに来たので、後方にジャンプする勢いで下がって距離を取りました。その勢いで口元から粘液が飛び散り、少し腕に掛かりましたよ。これは、やっぱり毒ですね。鼻に突く刺激臭がしていますし『状態異常耐性』が発動しているのが理解できます。抵抗できる範囲で良かったですが、僕以外は危険かもなのです。


「毒を飛ばす!」


 大声で叫び、皆と情報の共有をしながら更に僕に向かって来るデスワームの攻撃に距離を大きく取るように回避しました。背に壁が近づき反撃も出来ないですけど、攻撃するのは僕だけじゃないですからね。


 空を切り裂くように矢が飛んでくる音を聞くと、口の中に吸い込まれるよう突き刺さるのが見えました。そして小さな爆発音と共に、周囲の肉が弾け飛び、体液も飛び散ります。何本か触手も地面に落ちて元気に蠢いていますよ。


 それでも怯んだ様子を見せずに矢を撃ったエルヴィーラに顔を向けようとしましたが行かせません。間合い詰め、さっき斬るつけた場所にもう一度刃を振り下ろします。さすがに一撃で斬り飛ばすのは無理ですが、何度も体液を飛び散らせながら力任せに振り下ろします。


 その間にも矢の援護が続き、サラは隙を見つけて体を斬り、リコがエルヴィーラを庇うように盾を構えて待機していました。


 強引な攻撃の結果、何度か体当たりが僕の体を打ちましたが、鎧の上からなので丈夫な体が耐えてくれます。デスワームも傷だらけになりながら、さすがに巨体からの耐久力ですね。なかなか倒れてくれませんでした。


 最後の一撃は、今までガードに徹していたリコのメイスです。体液を流し過ぎたのか動きが鈍ったデスワームに接近すると、その頭に思いっきり叩きつけた攻撃で千切れそうになっていた頭が変な方向に曲がって倒れました。


 その巨体を何度も痙攣させるデスワームの頭に、何度も剣を叩きつけて頭を切り落とすと、痙攣も弱まっていきます。


 変な体液塗れになった体を、鎧の上からリコが『精霊魔法』の水で洗い流してくれました。心配そうに僕を見ていたのは、毒があったからですね。そんな顔で見上げると、本当に男か疑いたくなりますよ。


 軽く礼を言って平気だと告げると、リコからも笑顔を返してきました。その後、早足にサラの方に向かいましたけどね。サラは攻撃を受けてなかったですが、体力が限界で座り込んでいるので心配になったのでしょう。


 リコが去った後、エルヴィーラが近づいてくる気配がしたので振り向くと、『精霊魔法』で集中力を使ったのか額に汗を浮かべながらも小さな笑みを浮かべたまま小声で囁かれました。


「同性愛に目覚めないで欲しいわね」


 目覚めないよ!

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