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ある妙な冒険者の手記  作者: 秋山秋
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第三十七話

 欠点が分かれば改善する努力をしないとなのですが、これが中々に難しいのですよね。自分の事なら、何とか折り合いをつける事も出来るのですが、他人だとどうしてもって所があるのです。


 サラの欠点は分かったのですが、それをストレートに指摘すると反発されそうな性格ですし、迷ってしまいますよね。


 リコの方は素直な性格みたいなのですが、冒険者としてみた場合、少し大人しすぎる気もします。二人が育った環境なんかも影響しているかもですけどね。


 サラもスピードを生かして攪乱してくれるまでは問題ないのですよ。ちょっと熱くなりやすいのが問題なだけで。リコには防御、特に盾の使い方に才能を感じますね。攻撃を受けるだけじゃなくて、敵の攻撃を受け流すようにしているのでスキル『盾術』とか持っているかもです。


 リコの場合、『盾術』『水の精霊魔法』『植物知識』と言う予想が付きました。旅の間、薬草に詳しかったので聞いたのですが、家は薬草を採取して薬師に卸す家業だったそうです。そこでこき使われながら覚えたのですね。


 サラの場合いは、『隠密』『捜索』の二つだと思います。どちらもリコを手伝いや村で生活に必要だったのでしょう。後は、探索者の時に教わった盗賊系の技術もあるそうですが、スキルの恩恵はないみたいです。


 二人とも過去の経験からスキルを得ているのは理解できますが、攻撃的なスキルはないようですね。まぁ、僕達が攻撃力をカバーしているので問題ないですけど、連携については、もう少し頑張らないと。どう伝えようかと迷ったのですが、意外なところから解決していきました。


「サラ、前に出過ぎだよ。もっと下がってもらわないと邪魔だよ」


「え?……あ……う、うん」


 森林地帯に入ったので夜営の準備をしていると、リコが真剣な表情でサラに注意していました。その真摯さからか、幼馴染だからかは不明ですが、サラも一瞬言い返そうとしたようですが、暫く考えた後、確りと頷いていました。どうもリコは大人しいだけではなく、芯は確りとしているようですね。その後、ちゃんとサラのフォローもしていましたし、付き合いが長いからこそなのでしょう。


 ここまで検証するのも、実戦と話し合いあるのみで、なかなか面倒でした。ゲームみたいにステータスやスキルが数字化されて見る事ができたら、簡単に対策なんかも練れるのでしょうけどね。基準となる数字も分からないですし、出来る訳ないと理解していても、ついつい考えてしまいますよ。


 スキルは使えば使うほど、錬度は上がっていっているのは実感できるのですけどね。ゲームのようなレベルアップとは違う気がするのです。専用の筋トレをしたらそのスポーツに合った体に成っていくのや、範囲を確りと学習したらテストで高得点が取れるようになるのに似ている感覚とでも言えばいいのか……画期的に効果が上がるのではなく、ゆっくり成長し最適化され続けるみたいなのです。


 後、使う人間のイメージや相性なんかも大事だと思うのです。僕の場合、『剣術』スキルがあってもあの騎士から回収した片手剣では効果が今一だったですしね。


 色々な事を検証しながら森林地帯を捜索し、何度かの戦闘を経験した後、そろそろ一度町に帰ろうと思っている時、それと遭遇しました。2メートル近くある醜悪なモンスター、オーガです。


 数は二匹なので、そこまで脅威とは思えないのですが、その大きさからリコとサラは少し腰が引けているようです。こんな森林地帯の浅い場所に出るモンスターでもないですしね。要そうしていましたが、やはり奥に居る何かは、かなり強力な存在みたいですね。そのせいで、モンスターの生息域がずれて来ているようです。


 練習には丁度いいでしょう。僕は剣を抜くと一匹の正面に立ちました。残りの一匹の前には、リコとサラが立って押さえてくれるようです。エルヴィーラには目で二人のフォローをお願いしました。


 こうして正面に立っても、弱っていた時のリザードやワイバーンほど怖さを感じないので、冷静に動きを見ることができますね。大きな木の棒を振り回してきますが、動きは単調ですし、十分回避できます。少し練習に付き合って貰いますよ。


 攻撃せずにオーガの攻撃を何度か回避し、苛立った声を出すオーガが真上から太い木の棒を振り下ろすタイミングに合わせて、脇を抜けるように思いっきり踏み込み大剣でオーガの脇腹を思いっきり斬りつけました。痛みで怯むオーガの横を、そのままの勢いで抜け、身を捻るように背後に回り込りこむ勢いも利用し、刃を返すように首筋に叩きつけました。首筋への一撃が致命傷になったオーガが倒れる頃には、一歩下がります。


 最後の力を振り絞って暴れられたときを想定して攻撃圏内から離脱しておかないとですね。地面に倒れ何度か痙攣しているオーガの気配が弱くなっていったので、もう大丈夫だろうと、もう一匹の方を見ると、両目に矢が刺さり暴れているオーガの足元に、サラが何度が斬りつけていました。


 片足に集中していたのでついに片膝を付くオーガ。その頭部に、振り回される腕を回避し接近したリコの棍棒が命中します。それでも、さすがはモンスターですね。人間名終わりでしょうがオーガは、腕を大きく振ってリコに叩きつけようとします。慌てて盾で受け止めましたが、勢いは殺しきれずに数歩下がって攻撃距離ではなくなりましたね。


 人間を近づけないように両腕を振って暴れるオーガの背後に、サラが気配を消し、音もなく接近、その首筋に剣を突き立て、すぐに抜くと、反撃を警戒して距離を取ります。学習しているようですね。この一撃が致命傷となり地面にオーガは倒れました。戦闘は終わりですね。


 荒い呼吸を続けるリコとサラに、解体したら一度町に帰る事を笑顔で告げました。フルフェイスなので僕の表情は見えてないのですけどね。

感想、お待ちしております。

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