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ある妙な冒険者の手記  作者: 秋山秋
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第二十四話

 やって来ました冒険者ギルドの支部。相変わらず、冒険者が多くて、それに色々な種類の視線も感じますよ。


 気にしていても仕方ないので、カウンターに進むと猫耳マフィ○の受付さんがいたので話しかけます。


「すいません。討伐系の仕事ください」


「直球だな、おい。まぁ、いいだろう。2人でか?」


 どこか呆れた様子でしたが、ちゃんと探してくれるみたいです。外見と違って案外に親切なのかもしれません。


 ここは帝国でも南部なので、冬が近いこの時期でも寒くないと感じるのですが、モンスターにとっては減ってきた食べ物を求め、町の近くまで来る頻度が増えるそうです。そんなモンスター達の間引きみたいな仕事が、今は多いようで、冒険者も本格的な冬の前に稼ぐそうですよ。これは受付さんから聞いた話なのですけどね。


 受付のお兄さん、イェフさんって名前だそうです。名前と一緒に、昨日来たばかりだからと、親切に色々と教えてくれて、おまけに簡単なモンスター討伐依頼も紹介してくれました。


 受けた依頼は、グレーウルフの討伐。ブラックウルフの上位種に当たるのですが、この町の周辺では、一般的なモンスターらしいです。どうもウルフ系のモンスターって色が薄くなる方が強い傾向にあるみたいなのですよね。エルヴィーラの黒信仰って言うか、黒好き理論、強さ関係なく唯の趣味にしか思えないですよ。


 まぁ、この周辺の狩り感覚を掴むのにも、周囲の地形を把握するのに、ちょうどいい依頼だと思ったので、この依頼を受けることにしました。討伐数は最低6。報酬は銀貨30枚で、各種部位は冒険者個人の物と、どのギルドでも同じみたいですね。


 この日は、時間的にも微妙だったので携帯食料や消耗品の補充をして、宿で体を休めました。少し贅沢してお風呂にも入りましたよ。明日から暫くは外ですしね。


 翌朝、北門から出ると、暫くは町の防御壁に沿って時計回りに進んでいると、東の広大な草原地帯が見えてきました。本当に広くて、奥の方に何かの建物らしい影が見えるのも幻想的で、暫く足を止めて見入ってしまいましたよ。天気が良かったのが余計に、その雄大さを後押ししてくれたみたいです。


 エルヴィーラは、そんな僕を不思議そうに見て居たのですが、正直に凄いと僕が呟くと、優しい笑みを浮かべて待っていてくれました。


 一度大きく深呼吸して、再起動するとエルヴィーラに声を掛け、その草原に足を踏み入れます。さすがにこれだけ視界が広がっていると不意打ちの心配はないと思うのですが、油断は禁物です。お昼近くまで歩くと、遠目でも分かるように狼の群れを発見しました。数は10匹ほど、群れでこちらに近づいて来たのですが、どういう訳か、連携していると言うよりは、慌ててこちらに向かってきているにも思えます。


 本格的な冬が近いし、別の群れから追い立てられたから、久々の獲物で興奮状態って感じですよね。なら、冷静に対処するだけです。


 エルヴィーラと視線を交差させ、二人同時に小さく頷いた後、僕は群れの方に走りだしました。いつもの陣形で、僕が前で壁と囮役です。背中から延びる柄に手を伸ばすといつでも抜ける準備をし、更に距離を詰めます。


 一番先頭のグレーウルフの飛びつきを、サイドステップで回避し、抜刀と同時に横薙ぎ。確かな手応えと血飛沫、そしてウルフの悲痛な最後の声を感じながらも、返す刃で、その後ろに居た狼に攻撃します。さすがにブラックウルフとは比べ物にならない速度ですが、追えない訳でもなかったですし、攻撃の気配が何よりも濃厚で分かりやすいですよ。


 2匹目は、僕の攻撃を回避しようとしましたが、突進の速度が乗っているので間に合わなかったですよ。1匹目と同じ末路を辿ったのですが、その間に残り8匹に囲まれていました。警戒するように低い唸り声を出しながら隙を窺うように動きながら、包囲の輪を狭めてきます。僕一人ならピンチですよね。でも、僕は一人じゃないのです。今は矢の援護なく、この時間も考えると……次の僕の行動は決まりました。


 覚悟を決めた瞬間、僕を囲むように円形の炎が奔り、グレーウルフ達に襲いかかります。ナイスタイミングですよね。急激な状況変化に慌てたグレーウルフの1匹の脳天に剣を叩きつけ、黒く焦げた地面に赤い花を咲かせます。


 炎のサークルは一瞬で消えたですが、足を火傷し機動力を失ったグレーウフルは脅威レベルがかなり下がりました。冷静に一匹ずつ処理していくことで、怪我もなく討伐する事ができました。


 矢の消費も最低限だったみたいで、僕が皮や肉、爪や牙、それに討伐部位を剥ぎ取っていく間にエルヴィーラには、休息をしてもらいました。最初に大技を使ったので精神的な疲労を考えたのですが、弓の効果で、そこまで疲れてないそうです。その証拠に途中から手伝ってくれたですしね。


 ブラックウルフよりは強かったですが、不意打ちにさえ注意すれば何とかなりそうだというのが戦った正直な感想です。まぁ、解体して分かったのですが、体格は少し大きく筋肉や皮なんかも厚いと思うので、武器のお蔭ってのも大きいかもですけどね。


 こうして最初の依頼は終了したのですが、地形の把握のためにも剥ぎ取りの後、更に進むことにしました。

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