↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある妙な冒険者の手記  作者: 秋山秋
23/63

第二十二話

 町に入ると、そのまま南北に延びる大きな中央通りを南下し、川の近にある冒険者ギルド支部に向かっています。


 この道の先には、町で唯一の大橋があり、町の北と南を繋いでいるそうなのですが、冒険者が南の町に行くことも、探索者が北に来ることも、滅多にないそうです。お互いにテリトリーをはっきりさせて、無用なトラブルは回避しているのが、暗黙の了解。もちろん例外もあるのですが、その場合にはお互いのギルドを通して連絡してからになるようです。


 そう、驚いたことに、この町には「探索者ギルド」があるのだそうです。もっとも冒険者ギルドみたいに世界規模ではなく、この町だけのギルドで、なんでも数十年前に力ある探索者グループが設立したそうで、ぶっちゃけると拘束力もなにもないですが、独自のルールみたいなのがあって、最低限は守られているようです。


 まぁ、この町がなくなると遺跡の捜索に支障が出るので、お互いの為に、平和に無視し合っているって感じですかね。


 そんな話を聞きながら、煉瓦作りの丈夫そうな4階建てくらいある大きな建物に到着しました。丈夫そうで立派な冒険者ギルドの支部です。


 2人の商人さんと一緒に、大きく開かれた扉から支部に入ると、右側が酒場のようなスペースになっていて、左側が受付なんかのカウンターが並んでいました。酒場には数人の冒険者がいて、何人かの視線も感じましたが今はカウンターに向かいます。


 受付には職員らしき人々がいましたが、一番目を引いたのは、猫耳の人物。獣人族さんみたいですね。引き締まった肉体に、堀の深い顔。短めの角刈りにした髪をしていますが、人間のある場所に耳はなく髪で覆われていて、変わりに頭の上から猫耳が二つ。マフィ○っぽい顔なのに猫耳だったです!髪、白に茶色の斑だったですし、そりゃ、目も奪われますよね。


 好奇心の赴くまま、その人の前に行くと旅の途中で、偶然、盗賊に襲われていた商人さんを助けたこと、途中から護衛を受けた事なんかを説明し、商人さんからも証言してもらいました。


 受付の人は、鋭い眼光で、こちらを見ていましたが、死んだ冒険者のギルド証明を渡すと、小さく頷き書類を1つ取り出して商人さんたちに差し出しました。


「苦労したにゃ。それに記載してくれれば、後の手続きはこちらでするにゃ」


 受付さんの深みのある声で告げると、商人さんたちも慌てて記入し始めます。なかなか体格も立派なのが、軽皮鎧(ソフトレザーアーマー)越しでも分かるから、威圧されていたのかもですね。周囲を見ると職員さん全員、軽皮鎧(ソフトレザーアーマー)を装備しています。緊急時に対応するためでしょう。腰には小剣(ショートソード)も装備していますしね。


 商人さんたちが記入している間、僕たちがこの町を拠点に冒険者をする予定だとも、受付さんに告げると、口元に小さく笑みを浮かべた受付さん。


「また……命知らずが増えたにゃ。だが、歓迎するにゃ」


 深みのある声でそう告げた後、いくつかのルールを教えてくれました。まぁ、基本的な事なのですが、要約すると……犯罪するな、町の南に行く時はギルドを通せ、冒険者同士の諍いはギルドが見ているところでするな、って感じです。


 他にも細かい説明を受けたのですが、基本はどこも一緒みたいですね。そのやり取りの間に商人さんたちの記入も終わって、依頼達成の報酬をもらいました。商人さんがギルドの受付さんにお金を払って、その中から報酬を僕たちにって流れです。


 面倒でしたが、ギルド側から税金とかも出されるので仕方ないですよね。後、盗賊退治の報酬もボーナスとして加算されたです。これは商人さんたちの好意からね。若い方は下心ありありだったと思うけど、お金はお金なのです。


 色々な手続きを終えて支部を出ると夕方でした。商人さん達とはここで別れて、僕たちは宿探しです。受付の猫耳さんに、宿の場所を聞いていたので、そこに向かいます。


 暫く大通りを北門方向に進むと、ちょうど門とギルドの中間に位置する場所に、大きな酒場兼宿屋を発見しました。三階建てのかなり大きな建物で、大きく開いている2枚扉を潜って中に入ってみました。


 時間的にも酒場は繁盛していたので、同業者の視線をここでも感じながらカウンターに向かいました。そこには顔が顎髭で覆われているのに、頭部に毛が1本もない2メートルはありそうな40代の男性。まさにマスターって感じですね。


「すいません、1週間の部屋を借りたいのですけど…相部屋で大丈夫です」


 ちょっと睨まれたので、フードを下して素顔を晒すと、部屋を頼みます。いや、今日は早く休みたいですしね。無愛想に見えたマスターは、僕とエルヴィーラを交互に睨んだ後、男くさい笑みを浮かべて鍵をカウンターの上に置いてくれました。


「ほらよ。飯はどうする?朝と夜だけだが、1人、1週間分で銀貨14枚だ」


 そんなものかな?と言われた通り二人で銀貨28枚を支払い、貴重品なんかは何時も持っておくような注意された後、鍵を受け取ります。部屋は2階の一番奥だと聞き、一度荷物を置くために部屋に行きます。


 荷物と下すと、ご飯、そして、なんと有料で入れる風呂があったので、旅の垢を綺麗に流しました。身も心もさっぱりして帰って来ると、エルヴィーラが先に戻っていて、癖のない髪を櫛で磨いでいました。


 これで後は寝るだけとベッドの前で大きく伸びをしていると不意に腰にタックルされ、気が付いたらベッドに押し倒されていましたよ。あれれ?


 この後、むちゃくちゃしました。


 ……いえ、正確に言えば、むちゃくちゃにされました、です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。