第十七話
新装備を手に入れてから7日が経過しました。その間にも冒険者ギルドの仕事を1つ受けて、新しい武器の使い心地を確認、そして練度を上げたりしました。
受けた仕事は街の北門から出て3日ほど行った村の近くでゴブリンの目撃情報があったので、その捜索、及び討伐だったですが、予想以上の数の多さに驚きました。林にグループで潜伏し、その日の夜には村を襲撃するつもりだったみたいなのですが、際どいタイミングで阻止できたと思います。
まぁ、ゴブリンが昼に休息しているところを狙っての不意打ちが、成功したのも大きいと思うですけどね。
新しい武器はとは本当に相性が良くて、すっかりお気に入りです。少し怪我もしましたが、それでも10匹以上のゴブリンを2人で討伐出来たのは大きいと思います。村の人たちにも感謝されましたよ。
街に帰ってくると、薬草なんかの消耗品の補給、ギルドへの報告、武具の手入れなんかに3日ほど費やしたですが、さすがにそれくらいの余裕は出来ていました。この間、エルヴィーラとも無駄遣いは止めよう相談していたのですが、食事のランクを一つ上げるくらいの贅沢は許してもらえると信じたいです。
そして時間があるので知識も重要だと思い、ギルドで何種類かのモンスターの知識を有料で教えてもらいました。できることは少しでも増やさないとね。酒場で同じ冒険者仲間から聞けば無料だと思うのですが、酒が入った可能性の高い同業者の話よりも正確さを今回は求めてみました。
正直、僕たち二人が使っている武器は、前と比べると数段格上の装備だと思うのですよ。エルヴィーラも今まで使った武器の中でも最高クラスだって言っていましたしね。
剣が大きくなったので更に敵の正面から動かなくなったのですが『剣術』スキルのお蔭で使えていると思います。それに『気配探知』スキルが敵の攻撃時にも作用していることが分かってきました。なんとなく攻撃されるのが理解できるのですよね。
二人とも完全に使いこなしているとは言えないかもですが、これからの努力次第ってことなのです。だから鉄は熱いうちに叩けって言いますし、エルヴィーラにも疲労はないと確認してから、話し合い。結果、すぐに仕事を受けることにしました。
最近は戦いの連携もうまくできて、仲間としてもかなり打ち解けてきています。いや、これはエルヴィーラが凄いのですけどね。
僕は、どうも人付き合いが苦手なようで言葉に詰まりそうになることもあるのですが、さりげなくフォローしてくれたりします。それに気楽に話せる雰囲気を作ってくれていたりね。さすが傭兵経験が長いだけのことはあります。
時折、ちょっとエッチな悪戯をされたりするので困るのですが、それもエルヴィーラは楽しんでいるようなのです。いつかリベンジしてみせるですよ。
今は武器に慣れるためにもお仕事なのです。この日のお昼頃に冒険者ギルドに向かうとゴットホルトさんに声を掛けました。
相変わらずの蝙蝠顔なので表情は良く分からないのですが、なんだか雰囲気がいつもと違います。不思議に思いつつ僕だけフードを外して二人でカウンターの前に立つと、仕事の依頼がないか聞こうとしたら、先にゴットホルトさんが話しかけてきました。
「なぁ、お前たち。貴族さんと揉めたことないか?」
小声だったので不思議に思い聞いてみると、なんでも下級貴族の一つがダークエルフの女と若い男を探している情報がギルドに流れてきたようなのなのです。
その貴族の三男が、少し前の国境での戦争に騎士として参加し、従者二人を連れての凱旋途中で行方不明になったそうなのです……が、どうもある武器屋で、その騎士の剣が売られていて、それを売った人間が何かを知っているのではと探していると。
はい、心当たりありすぎます。さすがに言えないですけどね。ゴットホルトさんに、さすがに知らないと笑って答えて、不自然だと思ったですが、その場を後にしました。ちょっと、エルヴィーラから感じる気配が、少し心配になったからです。
「まぁ……仕方ないよね。この都市は移動決定」
ギルドを出ると、周囲に気をつけて小声でエルヴィーラに告げると、何か言いたそうな視線を感じたので、小さく首を左右に振っておきます。ここで口論しても目立つだけですしね。それに、もう決めていることなのです。
単純に、エルヴィーラの為だけでなく、露呈すると僕も狙われる可能性が高いなら、一緒に逃げていた方が戦力的にも安全なのです。言い訳でもあるのですが、事実でもあると思います。まだまだこの世界に不慣れな僕一人じゃ、やっぱり危険度も増すと思うんですよね。
そこは一度、宿で話し合うつもりですが、それまでにどこに逃げるのが一番安全だろうと、並んで歩きながら考えていました。




