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ある妙な冒険者の手記  作者: 秋山秋
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第十三話

 水晶大蜥蜴(クリスタルリザード)に勝利した後、周囲を警戒しながらも座ったまま体力を回復していたけど、いつまでこの状況じゃまずいと思って、ゆっくりとでも動いてく事にしました。


 最初にすることは水晶大蜥蜴(クリスタルリザード)の解体作業です。さすがにこの巨体なので全部持って帰るのは無理だし、必要そうなところだけでも持って帰りたいよね。


 エルヴィーラに聞いた話では、大きな爪と背中の水晶の一部は討伐確認に必要らしいので確定として、他にはどこを持って帰ろうか悩んだですよ。


 結局は、鋭い爪や牙に尻尾の先端部分、硬くて場所の外殻に、持てるだけの水晶と四肢の骨、臓器系では眼球と心臓、それに長い舌って感じになりました。


 解体作業も簡単ではないですし、腕にも痛みがありましたが頑張ったのです。だって、せっかくの大物。二人の背負い袋が大きく膨らみ、一部は収まりきっていなかったですが、これでも厳選したのですけどね。


 もちろん今回の依頼の薬草も二人で50束は集めてあったので、それは別の小袋に入れて腰につるしています。二人とも、全体的に重量オーバーっぽく見えるですが旅に支障はないレベルにはしています。これでも僕は、外見から想像できないレベルで力持ちだしね。


 旅の準備が終わるころには、すっかり夜になっていたですが、この場を離れる事にしました。体力的には少し辛かったですが、さすがに死肉に誘われてモンスターが現れないとも限らないですしね。もう少し離れた場所で夜営をするつもりなのです。


 来た時のコースを戻り、前日の野営場所まで明け方近くまで歩きましたが、幸運にも襲撃はなかったので、そこでやっと休憩に入る事にしました、先に僕が休んで、次にエルヴィーラが……交互に睡眠を取って昼近くに出発を予定です。


 回復はしきれず厳しかったので、二人とも言葉数も少なく野営を終えると、簡単な食事を終え出発です。一度通った道なのでコースは問題ないですが、山道は登りより下りが大変って本当だったですよ。それに荷物も多いですしね。


 少し予定より時間が掛かりましたが岩山を下り、問題なく街道まで戻って来れると、二人して同時に安堵の溜息が零れました。それがおかしかったので、笑ってしまうとエルヴィーラも楽しげに笑っていました。また同時だったので、暫く二人で笑った後、旅を再開しました。


 行きと同じくらい時間経過で帰ってこれたですが、精神的にかなり疲れました。どうしても警戒しちゃったのですよね。


 城門傍の詰め所での確認作業を終えて街に入れたのが夕方だったの、まずは宿の確保です。とはいえ、二人とも休みたかったので、適当な宿に泊まり、荷物を置くと身綺麗にし、そのまま睡眠でした。やっぱり肉体的にも精神的にも、疲労が溜まっていたようです。正直、その日はなにもしたくなったのでした。


 一度深夜に二人で目を覚まして、色々とあったのですが、それはそれなのです。


 翌朝、宿を引き払って屋台で朝食を済ませると冒険者ギルドへ行きました。いつものように、それなりに冒険者も居たのですが、用のない時はお互いに不干渉が暗黙の了解になっているので、そのまま受付にいき、蝙蝠男のゴットホルトさんに先に薬草を渡し、依頼達成の手続きをして貰いました。薬草の品質は問題なかったですが少し数が少ないと思われたのでしょうが、水晶大蜥蜴(クリスタルリザード)に遭遇し、倒した事を伝えると、驚きながらも納得してくれました。


 そのまま証拠としての部位を受付の上に置き、ブラックルフ素材もついでに売却しちゃいます。遭遇した場所や状況の情報も売って少しでもお金に換えたので、なんと合計で金貨2枚と銀貨20枚にもなりました。どうも危険生物として帝国から討伐報酬が出ていたようなのです。


 ゴットホルトさんから聞いた話ですけどね。何割かはもちろんギルドに持っていかれているのですが、そこは冒険者になるときに覚悟していたので不平不満はありません。代わりにというのも変ですが、武器を作ってくれる加治屋さんの居場所を聞いてみました。


 確かに良い素材を入手し、お金もあるなら武具の新調も必要だろうと、冒険者ギルドと懇意にしている鍛冶師さんの紹介状を売ってくれました。これで銀貨が10枚も減ったのですが、確実に水晶大蜥蜴(クリスタルリザード)の武具が作れる人物の紹介なので仕方ないでしょう。下手に僕たちで探して、作れない素材を持ち逃げされるなんて外れに当たるよりマシなのです。必要経費ってやつだよね。


 全ての手続きを終えて二人でギルドを出ると、そのままの足で教えてもらった鍛冶屋に向うことにしたのでした。

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