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「それで、どんな作戦か教えて」

 ナミハナは八咫烏一号機に乗って、湊達がいる大空洞の前まで戻ってきた。

 ポビヂーチェリを追いかけたはいいものの、打つ手がなく困っていたらしかった。

 そのポビヂーチェリというと、先ほどから低空で制止したまま動かなかった。

「まず、どんな手を使ってでもポビヂーチェリの頭部を破壊する」

 湊は八咫烏一号機を降りたナミハナにそういった。

「いきなり難しい話が来たね」

 ナミハナは眉を顰めて湊を見た。

「大丈夫、難しい話じゃない。ポビヂーチェリの正面に立って、頭部目掛けてハンドカノンを撃てばいい」

「正面からじゃ避けられるんじゃない?」

 首を傾げるナミハナに湊は首を横に振った。

「ポビヂーチェリは避けないよ、たとえピャートゥイが乗ってなくても。それだけ装甲に自信があるんだ。そして、逆にピャートゥイが乗っているということで頭部を破壊できる確率は上がる」

「どういうこと?」

「頭部に弾を撃てばわざと脆い所で弾に当たってくれるんだよ」

 ナミハナは納得できてない様だった。

「今まではそんなことしなかったじゃん」

「今までハンドカノンで頭部を狙ったことはあった?」

「無い……けど」

「ピャートゥイは必ず弾に当たってくれる。そして、ポビヂーチェリの頭部を破壊されたのは誤算だったかのように振舞うと思う」

 ナミハナは唸っていた。

「仮にそうなったとして、次は?」

「二号機と同じ。頭部を破壊されたらコックピットを開けて視界を取る、といい訳をしてピャートゥイはコックピットを開け放つと思う」

「そんなことするかな」

「する。そうしないと自分を殺してもらえないから」

 ふーん、とナミハナは頷く。

「それで?」

「そうなったら、あとは俺をポビヂーチェリのコックピットに向かって投げてくれ」

「は?」

 湊の言葉が理解できないかのようにナミハナは固まった。

「ちょっとまって、投げるって一号機で、湊を?」

「そう」

 自信満々に頷く湊を見てナミハナは唖然とした。

「着地はどうするの?」

「仮にも俺の母を自称したんだから、ポビヂーチェリに受け止めてもらうよ」

「なんでそこまで自信があるの?」

「信じてるから」

 湊は真っすぐにナミハナを見た。

 ナミハナは肩をすくめた。

「それで、受け止めてもらえたとして、湊はそこからどうするの?」

「ピャートゥイをポビヂーチェリから引き剥がす。俺が無理やり。もうピャートゥイの言葉を待ってチャンスを逃すようなことはしない。話がしたいならすべてが終わった後にすればいい」

「あたしはどうする?」

「俺がピャートゥイを連れてコックピットから飛び降りるのを一号機の手で受け止めて欲しい。それとほぼ同時にコックピットに向かってハンドカノンを突っ込んで発射、ポビヂーチェリの破壊もお願いしたい。ピャートゥイが離れたらポビヂーチェリはコックピットを閉じようとするかもしれないから、なるべく早めに」

 ナミハナは渋々といった感じに頷いた。

「なんかあんまり乗り気になれない作戦だけど、他に出来ることもないし、やってみよっか……」


 湊はナミハナと共に再び八咫烏一号機に乗っていた。

 八咫烏一号機は走る。

 向かう先はポビヂーチェリの正面。

 コックピット内にアラートが鳴り響いた。

「ロックオンされてるけど!」

「大丈夫、当ててこない!」

 アラートの音色が変わる。

 ミサイルが発射された合図だ。

「信じるからね!」

 ナミハナは強くペダルを踏み込み、走行速度を上げた。

 激しい爆発音が聞こえる。

 コックピット内を小さくない衝撃が揺らす。

 湊がセンサーを確認すると、ミサイルが全て八咫烏一号機の後方すれすれの地面に着弾しているのが分かった。

「ほら、やっぱり!」

 その時、センサーに無人機の反応が現れた。

 場所は八咫烏一号機が走るすぐ横。

「こいつ!」

 ナミハナはサブモニターに映った無人機の攻撃を躱し、八咫烏一号機を操縦してその腕を掴んだ。

 アラートが鳴り響く。

「こんな時にロックオン。本当にピャートゥイを信じていいんでしょうね!」

「これはピャートゥイの援護射撃だ。無人機を盾にしてミサイルを受けて!」

 ナミハナは素早くセンサーを確認すると、無人機をミサイルの飛んでくる方向に向かって盾にするように押さえつけた。

「こいつ、力がかなり弱い……?」

 ミサイルはそのまま全て無人機に当たった。

 無人機は煙を上げて動かなくなった。

 すると突然、無線機から声が聞こえてきた。

「こちら、第一小隊イブキ。ナミハナ、無事か。どうぞ」

 ナミハナは八咫烏一号機を走らせた。

「湊、あたしの代わりに無線機を使って報告お願い。あたしはこのまま一号機を操縦しているから」

 湊は頷いて無線機を手に取った。

「こちら湊、ナミハナは無事です。どうぞ」

 湊はナミハナに聞こえるように無線機の音量を上げた。

「湊君か、今何をしているか報告してくれ。最初に立てた作戦が失敗しているのは無線を聞いていたから知っている。どうぞ」

 ロックオンアラートがコックピット内を包んだ。

「現在、八咫烏一号機のみでポビヂーチェリの正面に向かっています。勝算があっての行動です。どうぞ」

「……ちょうど我々もポビヂーチェリの正面に向かっていたところだ。途中で合流したら援護しよう。先ほどからミサイルが飛んでいるが大丈夫か。どうぞ」

 八咫烏一号機だけを避けるように周囲にミサイルが降り注ぎ八咫烏一号機は爆風に包まれた。

 八咫烏一号機はそのまま爆風を突破し走る。

「問題ありません」

「ちょっと待って、合流しなくていい」

 湊がどうぞという前にナミハナが突然そういった。

「どうして?」

「残してきた第二小隊が心配だし、こんなミサイルがぎりぎりで降り注いでくるところに合流したって危ないだけだから!」

「ナミハナの言葉、聞こえてましたか。どうぞ」

「聞こえていた。だとしたら、我々は大空洞へ行けばいいのだな。どうぞ」

「そうよ、第二小隊をお願い。ポビヂーチェリはあたしたちだけで何とかするから」

「了解、健闘を祈る。通信終了」

 ナミハナは大きく息を吐いた。

「ミサイルは当たらないと、もう分かってきたけど、アラートが鳴るのは心臓に悪いね。あたしの心臓、雑魚雑魚だからやめて欲しい……」

「大丈夫、もうすぐそれも終わるから」

 湊は無線機を置いてそういった。


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