↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/40

34

 ナミハナが八咫烏一号機を操縦し、無人機を蹴散らす時間が増えてきた。

 それは、無人機と接敵する回数が増えてきたということ。

 つまりは大空洞に近づいてきたことを意味していた。

「二号機、お願い!」

 ナミハナは目の前の無人機を殴り飛ばしながらスピーカーをオンにして、指示を飛ばす。

 湊がセンサーを確認すると、二号機とは距離が開いていて、かつ一号機のすぐ背後に無人機が迫っていた。

「ナミハナ、後ろだ!」

「っ!」

 強いGがかかり、体が押さえ込まれる感覚がした後、コックピットが激しく揺れた。

 湊がメインモニターを覗くと、一号機の腕が何とか無人機のパンチを防いでいたところであった。

「ナイス、湊!」

 ナミハナはそういって八咫烏一号機を操作し、無人機を背負い投げした。

「良く気付いたね」

「対戦ゲームとかやってるとミニマップ……センサーを見る癖がつくからね」

 ナミハナに褒められて、湊はつい調子に乗ってそういった。

「ゲームの経験も時と場合によっては役に立つこともある、か……」

 ナミハナは若干呆れたような声でそういった。

「じゃあさ」

 ナミハナは八咫烏一号機を走らせながら口を開いた。

「湊はセンサー担当ね」

「担当?」

「そう。あたし、戦闘中にセンサーを見ている余裕ないみたいだからさ」

 ナミハナの提案に少し驚いたが湊は頷いた。

「分かった。さっきみたいなことがあったらすぐに教える」

 湊は嬉しかった。

 後ろから人を抱きしめる姿勢でいるのは今回で二回目だったが、一回目のピャートゥイの足を抱きしめて押さえていた時とは違い、今回は明確に役割ができたからだ。

 コックピット内にアラームが鳴り響く。

 センサーには五機の無人機の表示があった。

「さぁ、お次の登場ね」

 ナミハナは、軽く首を回して前のめりになった。

 メインモニターには後退する第二小隊の装甲車が映っていた。

「二号機、無人機の数が多くなってきたから個々で対処できそうならそれぞれで対処しましょ。早く終わった方がバックアップ」

「了解」

 八咫烏二号機からの返事に頷くと、ナミハナは八咫烏一号機で大きくジャンプをした。

「いよーっし、先手必勝!」

「おわー!」

「口閉じてなさい、激しくいく!」

 物凄いGの後、浮遊感、そして強い衝撃。

 ナミハナは八咫烏一号機で無人機に飛び蹴りをかましていた。

「まずは一機、コイツで!」

 ナミハナは、飛び蹴り食らって倒れ込んだ無人機の足を一号機を操縦し掴む。

 そして、無人機が二機固まった場所に投げた。

 無人機達は地面に倒れ伏した。

「どうよ!」

 顔が見えなくてもその声色でナミハナが自慢げな顔をしているのが分かった。

「二号機、二機の無人機を一時無力化」

「了解、総員走れ!」

 再び八咫烏と第二小隊の装甲車は走り出す。

 メインモニターを見た湊は、いつの間にか見覚えのある道を走っていることに気がついた。

 二度も通った大空洞までの道。湊の記憶が正しければそう遠くないうちに湖が見えて、林の影から崩壊寸前の建物が見えるだろう。

 その時、けたたましいアラームがコックピット内に鳴り響いた。

 湊は聞いたことのないその音に驚き、体を跳ねさせた。

「ロックオン警報、ミサイル!」

 ナミハナは叫ぶ。

 アラートの音色が変わった。

 湊がセンサーを覗くと高速でこちらに接近する赤い表示が見えた。

「ぎりぎりで!」

 飛翔するミサイルを正面に捉えたナミハナはミサイルが直撃する瞬間に八咫烏一号機の重心ずらし、ミサイルを躱した。

 爆発音が響いた。

 回避したミサイルが地面に着弾する音と、もう一つ爆発音があった。

 湊がサブモニターを覗き、映る二号機を確認すると頭部が完全に吹き飛んでいた。

 もう一つの音は二号機の頭部にミサイルが直撃した音であった。

「二号機、頭部損壊。メインカメラとAI補助システム、ダウン。これより目視による索敵と戦闘に移行する!」

 二号機はコックピットを開けた。

 目視による索敵・戦闘とはコックピットを開けて視界を確保するということだった。

「了解、これからはバックアップをお願い。基本的な近接戦闘は全て一号機がやる。絶対に無茶はしないで!」

 二号機から了解と返事が来て、ナミハナは再び八咫烏を走らせた。

 そして、ナミハナはセンサーを凝視していた。

「くそ、無人機の反応が多い……もう。どいつがミサイルを撃ってきたか分からない!」

 目の前に現れた無人機に連続で拳を叩きこみながらナミハナは愚痴った。

 湊はセンサーを覗き考える。

 今のミサイルが何処から飛んできたか。

 現在、湊達を囲んでいる無人機は六機。

 離れたところにも六機。

 だが、そのどれもがモニターに映る距離にいた。

 激しいコックピットの揺れに耐えながら湊はメインモニターとサブモニターを見た。

 映る無人機はどれもミサイルポッドの様な物を装備していない。

 ロックオンのアラートが鳴ってから着弾まで時間があったことを考えると、ある程度距離が離れたところからミサイルが発射されたと考えた方がいいだろう。

 湊はセンサー外からミサイルが飛んできた可能性を思いついた。

「無人機が装備しているようなミサイルって八咫烏のセンサーから外れるほど遠くから撃てると思う?」

 湊は戦闘中のナミハナに声を掛けた。

 返事は目の前の無人機を投げ飛ばしてからきた。

「無人機のミサイルって基本的にマイクロミサイルとかだから、そんなに飛距離は無いはず。……そう、基本的にマイクロミサイルのはず。あんな高威力のミサイルどこから……」

 ナミハナが考えこもうとした時に、右のサブモニターに無人機が突っ込んでくるのが映った。

「右!」

「分かってる!」

 ナミハナは上手く八咫烏を操縦して無人機の拳を躱し、カウンターを無人機に食らわせた。

「とりあえずセンサーに映る無人機の中にはミサイルを飛ばしてきた奴はいないと思う」

「そうね。あたしが見た感じ、ミサイルを装備している奴はいないから湊と同じ意見」

 そういいつつ、ナミハナは八咫烏を操縦して目の前の無人機に次々と様々な体術を繰り出して無人機を無力化していた。

 八咫烏がまるで人間の格闘家のような動きをしているのを見て湊は深く感心した。

「あぁ、キリがない。もう、イライラするな。次、いつミサイルが来るか分からないのに!」

「一号機、これを!」

 その声でナミハナは八咫烏を振り向かせた。

「おっと」

 ナミハナは後ろから飛んでくるそれを八咫烏で器用に掴んだ。

「二号機のハンドカノン?」

「メインカメラが無く、AIの補助システムも無い二号機ではハンドカノンはもう使えません。一号機のハンドカノンを温存する代わりに使ってください!」

 ナミハナは分かったと返事をして、八咫烏一号機にハンドカノンを構えさせた。

「一撃で!」

 ナミハナの体に力が入るのが伝わる。

 一瞬、息を止めたようだ。

 そして、ハンドカノンの発射音が響く。

「一!」

 正面の無人機の頭部が破壊された。

「二!」

 右のサブモニターに映る無人機の片足が吹き飛ぶ。

「三!」

 左のサブモニターの無人機は胴体に風穴を開けて倒れ込んだ。

「ふう、よし」

 ナミハナは、正面で頭部を失って動けなくなった無人機を蹴り飛ばした。

「邪魔な奴だけ落とした。総員、走って!」

 ナミハナの掛け声で八咫烏と装甲車は走り出した。

「あ」

 走る八咫烏のサブモニターに湖が映る。

 間違いなかった。

 大空洞を囲んでいる湖だった。

「どうしたの?」

 八咫烏を走らせながらモニターとセンサーを交互に見て周囲を警戒するナミハナは湊の声に反応してそう聞いてきた。

「いや、見覚えのある湖が見えたから」

「そうね……この湖が見えたってことは、もうすぐ大空洞に着く」

 湊は無意識にナミハナを抱きしめる腕に力を入れた。

「緊張してるの、情けなーい。雑魚雑魚」

「ナミハナ……」

「大丈夫よ、きっと」

 湊は一呼吸置いてから返事をした。

「そうだよね、きっと大丈夫……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。