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数日後に行われたアズリオとミハイルの結婚式では、誓いのキスはなく、ただ神官の厳かな祈りと、指輪の交換だけで終わった。
アズリオの領地にある、ひっそりとした小さな礼拝堂。
集まったのは、騎士としても働いているアズリオの直属の上司やごく一部の部下、そして屋敷の古参の使用人たちだけだった。豊かな領主の婚礼としては、あまりにも寂しく、簡素な式だ。
白い婚礼衣装に身を包んだミハイルは、隣に立つアズリオの横顔を盗み見ていた。
アズリオの表情は硬く、とても喜んでいるようには見えないし、ミハイルの方を見ることもなかった。
(……なるほど、そういうことか)
ミハイルは、アズリオのその表情と、この極端に少ない参列者を見て、自分なりに納得していた。
(彼は、僕を娶るのが嫌なのだろう)
きっと、何か政治的な裏事情か、あるいは気まぐれで実家への支援を決めたものの、本当は男の妻を、それも貧乏貴族の息子を迎えるなんて不本意なのだろう。真面目で正義感も強そうだから、人助けのつもりで支援を申し出たけれど、領地から取るものがないから仕方なく一人息子を婿入りさせるという条件にしたのかもしれない。
これだけ客を絞ったのも、大勢に結婚したことを隠しておけばいつか離婚しやすいからかもしれない。
(無理もない。でも、それならこちらも気が楽だ。お互い、割り切って過ごせばいい)
ミハイルの中に、アズリオを責める気持ちは微塵もなかった。
それどころか、少ないやり取りの中にも滲む気遣いに、「きっと誠実で、根は優しい人なのだろう」と、むしろ好感を抱いていた。
だからこそ、ミハイルの行動指針は決まった。
――嫌がっている旦那様の視界に、なるべく入らないようにしよう。




