18
「ミハイル、愛している。ずっとこうして触れたかった……」
アズリオはミハイルの髪や額、頬、唇、至るところに口づけながら、ミハイルの寝衣に指をかけた。
アズリオが絶対に自分を傷つけないと信じているからこそ、ミハイルは自分から誘う大胆さを見せられた。しかし、いざ衣服が零れ落ち、アズリオの大きな身体に覆い尽くされると、初心さが顔を覗かせた。
「……っ、アズリオ、待って、やっぱり少し、恥ずかしい……」
さっきまでの余裕はどこへやら、ミハイルは顔を耳まで真っ赤に染め、アズリオの逞しい胸に顔を埋めて隠そうとした。性処理の道具にされても耐えられると思っていたし、実際、ただ欲望の捌け口にされるだけなら、ミハイルは感情を殺して耐えられたはずだ。しかし、アズリオがあまりにも熱っぽく、大切そうに、優しく触れるため、ミハイルはいつもの淡々とした仮面を保てない。
「急ぐ必要はない。ゆっくり進めよう」
ミハイルが続きを促すまで、アズリオはただミハイルの頬を撫でたり、触れるだけのキスを繰り返したり、根気強く待っていた。
再びアズリオが愛撫を始めると、初めて知る快感と、全身を甘く痺れさせるような感覚に、ミハイルの頭はすぐにキャパオーバーになった。
「あ、だめ……やっぱりちょっと待って、頭が追いつかない……っ」
ミハイルはあまりの刺激に涙目になり、アズリオの肩をぎゅっと掴んで何度も動きを止めようする。けれど、波が引くように少し落ち着くと、また寂しそうにアズリオの首に腕を回して「……おねがい」と掠れた声で求めてしまう。
そんなミハイルの姿を見て、アズリオは狂おしいほどの愛おしさに胸を打ち震わせていた。
(ああ、なんて可愛いんだ……。きっと初めてだろうに、こんなに余裕をなくしながらも、求めてくれている……)
アズリオの情熱は煮えたぎるほど激しいものだったが、それ以上にミハイルへの甘やかしの包容力が勝っていた。ミハイルが「待って」と言えば、どんなに自分が焦れていようともピタリと動きを止め、ミハイルの呼吸が整うまで、その濡れた目元や真っ赤な頬に優しく、何度も何度もキスを降らせて待つ。
アズリオにとって、自分自身の発散や快感など、二の次、三の次でしかなかった。
「大丈夫だ、ミハイル。いくらでも待つし、痛いなら無理して続ける必要もない」
何より最優先されるのは、ミハイルが心地よくあること。そして、ミハイルを絶対に怖がらせないこと。
その絶対的な指針があるからこそ、アズリオの振る舞いには、どこまでも優しく、全てを包み込むような深い寛容さが滲み出ていた。激しく愛しながらも、決して強引には進めず、ミハイルが快感に蕩けていくのを、慈しむような目で見つめ、言葉を尽くして甘やかす。
「アズリオ、……優しすぎて、おかしくなりそう……っ」
「ミハイル、俺だけを見ておかしくなってくれ。誰にも渡さない……」
ミハイルが初心に恥ずかしがり、余裕をなくして縋り付くたびに、アズリオの過保護な愛情はさらに深まっていく。
二人の初めての夜は、どこまでも優しく、そして溺れるほどに甘い熱に満たされて、ゆっくりと更けていった。




