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転生悪役令嬢の筋肉無双  作者: 無印のカレー
世界魔術論文大会

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132話 ブリーフィング

ブリーフィング。


各種族の代表が集まっていた。

それら代表がシトリーに対して怪訝な目を向ける中で、シトリーは気にせず得意の投影魔術を発動する。


空中庭園アルヴェイン。

その周囲を、複数の光点が高速で迫りつつある。

シトリーは図を淡々と説明する。


「──敵は竜部隊。

数は二十前後。高度優位を取って、旋回しながら焼き払うつもりだろうな。」


「情報の根拠は?」

ドワーフの長老の声は辛らつだった。


「超広範囲の感知魔術を視覚化したものだが、信じられないなら構わん。

勝手にやるからな。」


「そもそも魔族が、今さら表立って攻めてくるだと?

そんな愚を犯す理由がない。

均衡は保たれていたはずだ。

それに拘束された魔族の口から、まさか魔族が攻めてくる情報が出るとはな。

自作自演ではないと、どう証明する?」


「事実だ。

後でわめいてもしらないぞ。

ひげじじい。」


「ああっ──?」


「喧嘩はやめよ。両方放り出すぞ。」


「ラティア殿。

我は納得がいかぬ。

そいつは封印しておくべきだ。

出すべきじゃない。」


「だからこそじゃ。

偽りならば、何も起きんだけ。

真ならば、今ここで備えねば終わる。

剣を納めよ。ドワーフ王。

聞こえぬのか?」


ラティアの視線は鋭い。

場が沈黙する。


納得のいかない顔で、ドワーフ王は椅子へと座る。

他の種族も同じだろう。


「では、論文大会に参加している魔族はどうする。」


誰かが問い、一瞬で空気が張り詰めた。


「全員拘束すべきだ。」

「いや、それこそ挑発になる。」


「……拘束はせぬ。

だが放置もしない。全員、監視下に置く。

泳がせる。何もないならそれでよかろう。

それに表に出ておるうちはまだ読める。

隠れられた方が厄介じゃ。」


そして、ラティアはシトリーへと視線を向けた。


「おぬしも例外ではないぞ。」


「随分好かれたものだな。

まあいいさ。竜部隊は私がなんとかする。

空戦の癖くらいは知っている。竜の飛び方は、嫌というほど見てきたんでな。

これでもクラリッサには世話になっている。仕事は果たすさ。」


「よくお主程の魔族を手なずけたものじゃ。

未だ信じられぬ。」


「安心しろ。私もだ。」


シトリーは肩をすくめた。




シトリーは、事前にクラリッサに念入りに釘を刺されていた。

ブリーフィング前。


移動用の回廊を、進む。


各国の代表が集い、シトリーに関する話合いを行う。

シトリーはそこに召喚されている。


シトリーの装備には、いくつもの術式が重ねられていた。


手首のリング。

大腿部のバンド。

背部のアンカー

首元のチョーカー

それぞれ周囲の魔力を拾い上げていた。


シトリーの空中戦使用のエンチャント装備。

それをシトリーは自身で念入りに確認していく。


クラリッサは言う。


「いい。シトリー。

拘束は解かれたけど、私たちはまだ信用されていない。

ここで成果を出さないと、もしかしたら世界と魔族はまた戦争になるかもしれない。」


「成果とは?」


「魔族の暗躍を止めること。

あなたは、竜王をなんとかして。

私は結界内をなんとかするから。」


「ふん。

他愛ないな。」


「任すからね。」


「……裏切るかもしれんぞ。

そうすればアルヴェインは終わりだ。」


「しないわ。

あなたの目は知ってるもの。

本当は全部放り出して研究したい。

セドリック兄上の事も本当は、どうでもいいんでしょ?

惹かれてるのは本当かもしれないけど。

全てを犠牲にしてでも、本当は魔術を研究したい。」


「……」


「あとこれ。

セレスティアの封印の解除キー。いざとなったら使って。

頼んだからね。」


「クラリッサ、お前……」


「シトリー。

あなたが揺れてるのは知ってる。

こっちにつきなさいよ。

世界を滅ぼすより面白いことを見せてあげる。

ずっと戦い続けられる。

後悔するほどに。

まあ、こっちにつかないならあなたの戦いは終わりね。

御愁傷様。一緒に殺してあげる。あなたの一族ごと。」


「……ふん。

せいぜい足掻くんだな。

あの時のように。」




やがてブリーフィングが終わる。


巨大な樹木の上。

足場にしていた枝が、わずかに沈み、人知れずシトリーは飛び立つ。


──各種エンチャント装備、リンク確認。


(魔力流加速。

入力に対する出力応答、遅延は許容範囲内。

姿勢制御。慣性補正、重心再配置、空間座標に対する誤差は収束。

問題ない。)


出力を一段引き上げ、速度を上げていく。


──ついてきているな。


視線を向けるまでもない。

後方、わずかに遅れた空域に、微かな魔力の揺らぎ。

エルフの監視だろう


(律儀なものだ。

……だが、ついてこれるはずもない。

速度も、軌道も、出力も違う。

それに竜部隊は編隊で動く。

不自然な追跡があれば、即座に散開する。

観測も、奇襲も台無しだ。)


シトリーはわずかに息を吐く。


(……仕方ない。)


次の瞬間、加速。

空気が裂け、後方の気配が完全に途切れた。



目標地点に向け、風を切るように宙を飛びながらシトリーは思う。


(クラリッサの計算機の論文は、正しく革命で衝撃だった。

まるで真正面から殴りつけられるような。

そうやって、静かに世界の仕組みそのものを壊していくのだろう。

静かにその仕組みだけを1段進めていく。

気づけば、やがて光景をそのままに、1周世界は進化している。)


──どこが変わったかを、気づかせぬまま。


探知魔術の反応点に向かう。

月影に寄り添うように竜の姿が見える。


──すでに配置は終えている。


竜は強大だ。

それが編隊している。

その武力は一国を堕とすに、十分に足るものだ。


──それでも。


それでもきっと、世界のルールを変えることはできないのだ。






その夜。


空中庭園アルヴェインの中央ホールは、灯りに満ちていた。

各種族の衣装が入り混じり、音楽と笑い声が広がる。

まるで、何事も起きていないかのように。


淡い光を受けて、クラリッサのドレスが揺れる。

普段の魔術学校の制服とは違う、整えられた姿。


隣には、同じく正装したマリアが控えていた。



「お嬢様。世界魔術大会の夜の懇親会は、無事開かれましたね。

どうするんです?」


「マリアお疲れ様。

決まってるわ。」


今までにない強い瞳でそれをクラリッサは言った。


「合コンよ!!

リーシャの男を見つけないと、話が始まんないから!!」


「は……はい?」


マリアは完全に固まった。

やがて再起動する。



またですか!?!?

また合コン!?!?


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