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転生悪役令嬢の筋肉無双  作者: 無印のカレー
後編。海合宿収拾編

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106/145

105話 ようやくたどり着く。長かった。

クラリッサ主装備:耐熱打撃具≪巨神護手タイタン・ガントレット


超高耐熱魔金属(ミスリル+竜鱗合金)


状態:魔術防御≪熱遮断エンチャント≫


セドリックが付与。




まずは圧縮空気の準備から始めた。



セドリックの風圧操作による、大気圧縮の開始。


最初は風の低い唸り。

次に空気の流速が音速を超えはじめ、パキパキという歪んだ高音。

最後は雷のような金属を擦るような音。


そこに空気が集まり、圧縮に圧縮を重ねて青白い光が形成され始める。


──プラズマ。


空気は、さらに悲鳴を上げるような高音を発しながら、密度の限界を超え、風の檻の先に青白い小さな恒星の核を出現させる。


それに向けて、クラリッサは拳を構える。


熱・衝撃・電への各種耐性を高めるエンチャントは、終えている。


圧縮された空気を全力で殴打。



すると魔力と混成した超高密度のプラズマ流束が射出され、その流束を、魔術により管状に整形。


空気を圧縮しながら前進することで、発光+衝撃波+直線的裁断効果を同時に再現し、空気圧・熱・光の混合で破壊力が生まれる。



ドォン!!


拳が触れた瞬間の、圧縮空気の解放。


青白いプラズマが一直線に射出された。


それは衝撃波とともに前方に噴射。

砂と岩を剥ぎ取りながら拡散し、同時に放射状に空気爆発をもたらす。


青白い発光が視界を洗う。

周囲に衝撃波リングが発生。


雷の槍が生まれた。





破壊力は、それはもはや圧縮空気の砲撃の規模ではない。


プラズマ化した砲弾を打ち出す、戦艦の主砲そのものだ。



プラズマ化したガスが、周囲を照射し、島の一部が完全に崩壊する。



岩が蒸発。

木々は影だけを残して消え、遅れて轟音が追いつく。


島を貫通して反対側の海岸線の崖が耐えきれず崩落し、大量の岩塊が海へ落ちた。






そしてクラリッサは、この世の終わりのような焦げた匂いと粉塵の中で悟った。


思わずセドリックの方を見る。

肩をすくめていた


──我が妹、流石にやりすぎ。


──ですよね!!!!


(これ、絶対にだめだ!!!

絶対に出力が高すぎる。

絶対に封印しよう!!!

圧倒的大崩壊カタストロフ!!!

まごうことなき惨状!!


やりすぎた……

完全に勢いだけでやりすぎた……

島ごと精霊を吹っ飛ばしたかもしんない……)


クラリッサは、ダラダラと冷や汗を垂らしていた。


「これ、やばいかも。

リーシャ生きてる?

これ……」


「クラリッサ……な、なんなんですか?今の?」


「ごめんセレスティア。

ホントはかめはめ波みたいにしたかったんだけど、それだと風の動きを抑え込めなかったの。

ベンチプレスに近い形にならざるを得なかった。

だからファイナルフラッシュで……」


「いえ、そうではなく……

島が……」


「そりゃそうよね!!

ノリで何とかなる気がしたけど、ダメなものは駄目よね!!

ごめんセレスティア!!だめかも!!

リーシャをぶっ殺しちゃったかも。」


「いえ。それは、大丈夫ですけど……

島も無事です。

あなたがうろたえている隙に、魔族逃げましたよ。」


空へ消えていく魔族の姿を捉える。



「あ、そ、そう。生きてるのね?

セーフね。マジでセーフ……マジで焦った……

島もあるわよね……

魔族はどうでもいいわ。

どうとでもなるから……焦った……地味にマジで終わったかと思った。」







高位魔族は退散した。



周りをみれば魔物の群れも、グランディール領兵が全て対処を終えていた。

嵐の後のような静寂が、島を覆っている。


クラリッサは遠くを見つめ、静かに言った。


「手ごたえはあった。

まあ、こんなものね。

急ぎましょう。」


「切り替え早すぎでは?

焼けた岩や、崩れた丘が、あなたには見えていないんですか?

クラリッサが破壊しているんですけど、これ。」


セレスティアのジト目。


「大きいことやるときは、多少の被害は出るもの。

大人数を救うためには、少数の死は致し方ない。」


「あなたが世界を軋ませているんですけどね。」


「細かいことは気にしない。

起きてしまったことは、もう戻らないし、それに高位魔族には、恨みがあるからね。

あースッキリした。」


「本当に、いい性格してますよね……

私は準備をします。ここからは別行動です。

最後の仕掛けですね。

精霊のことは、あなたにお願いしますね。」


「任せて。

私の愛の力をリーシャに届けてみせる。

マリアは、道案内をよろしく。」


「はい。お任せください。

おそらく水精霊の洞窟だと思います。

リーシャちゃんが精霊に飲まれたところだと思います。」


「よろしく。

セドリック兄上。

お願い致します。」


「任された。」


セドリックは、クラリッサとマリアを連れ、飛翔魔術を立ち上げる。


飛翔魔術。

魔力の光が渦を描き、三人を抱きかかえると、魔力の羽が広がり、彼らは天空へと舞い上がる。


島の風景が下へと遠ざかり、海と大地が一枚の絵のように広がる。


洞窟の入口は、岩肌に口を開けていた。




石の道を進み、

やがて空間は大きく開けた。





洞窟内は、天からの陽光。

その照らされた場所にリーシャ。



ヴェールのように、ゆらゆらと揺れる透明な壁に囲まれていた。

水に抱かれるように、膝を抱えて、静かに浮かんでいる。


まるで母の胎内のように。


(精霊へと体を作りかるためのゆりかごかな……)


光は水を通して屈折し、床や岩壁に青い波紋のような模様を映していた。




その側に、もう一つの存在がいる。

リーシャに立ちふさがるように。


水の精霊。


少女のような姿をした、青い髪を持つそれが言う。


「渡さない。

リーシャおねえちゃんは、私のものだ。」



「可愛い子ですね。」


「水精霊ね。

機嫌損ねると、世界が滅ぶわ。」


「え……」


「交渉は私がする。

話は通じると思う。

マリアは、セドリック兄上と待機。

だけど逃げられる準備だけはしといて。」


マリアは胸の前で両手を組んだ。


──心配だ。


(お嬢様って交渉もわりとパワープレイだ……)




クラリッサは一歩進み出ると言った。


「水精霊。

リーシャと話をさせて。」


「やだ。」


「お願いします。

友達なの。」


「……わかった。

でも、声は届かないと思うよ。

それに……」



精霊は、上を指差す。


高位魔族が黒い翼を広げ、

静かに空中から洞窟内に侵入してくる。


「羽虫。生きてたのね。とことん邪魔をするのね。バイキンマンみたい。」


「殺す。」





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