弱者が強者に変わる時。
いつもお読みいただきありがとうございます。
結構ギリギリにあげる羽目になった。明日も投稿できる様様頑張りたい。
ぐだぐだな反省会を終えたヨースケ達は地上を目指して前進する。途中Lv4になりステータス確認で拳闘術(Lv1)が発現しているのを確認した。
祠をそろそろ出るという時に新しいスライムの核石もゲットする。よく考えると、2往復もしているのに今日初めての核石ゲットだ。そう考えると、あの『祝福〈拾得〉Lv3』はかなり有用な気がしてきた。やはり今後の祠攻略にはげるるんを可能な限り連れて行ったほうがいいだろう。
草原に着くと、げるるんにトライスライム・エレメント、そしてプチスライム達が待っていた。近づいて行くと待ってましたとばかりプチスライム達がこちらの足元にまとわりつき始める。いつもより少し遅い時間なので、早く昼ごはんを食べたいのかもしれない。
今日集めた魔石の一部を砕いてプチスライム・エレメント達にご飯をやる。もちろんげるるんやトライスライム・エレメントにもだ。
それが終わったのでトライスライム・エレメントには約束通り核石を3つやった。
彼は喜んですぐに分裂を始める。また新たに透明なノーマルのプチスライム・エレメントが2匹にプチレッドが1匹誕生した。元々いたプチスライム達は新しく仲間が増えたことに随分と喜んでいる様だ。プルプルと新しい個体達と震えあっている。
ヨースケはその平和そうな様子を眺めながら、昼ごはんとして持ってきた魚の燻製や貝の干物をむしゃむしゃと食べる。そしてそろそろ倉庫の野菜も減ってきたことを思い出した。
今日の午後はげるるんに他の地脈を案内してもらうつもりだったので、そのついでに自然薯っぽいあの山芋系の植物や、他の食べられる山菜や木の実や植物なんかも探しに行く事にする。
昼食を終えて、いつもの様に罠を踏む。相変わらずスライム達は罠へと歩くヨースケを「マジかよ。」みたいな雰囲気で眺めている。
いつも通り罠を踏んだのだが今回は体に走った妙な不快感に耐えきれずつい「オひょっ。」と変な声が出た。
何気にLv4で踏むのは初めてだったし、下がるレベルが大きいほど体に負担がかかる気がしてきた。今後はできるだけLv3以下で罠を踏もうと心に決め、何もなかったみたいな顔をしてモジョモ達の方を振り返る。
モジョモは凄い微妙なものを見る目をしていた。スライム達もなんかよそよそしい感じがする。平常心……平常心だ。
核石を与えることでトライスライムリーダー・エレメントへと変わった個体に、今度は他の地脈どうしをつなぐ道を作ろうと思うので余裕ができたらよろしくという旨をげるるん経由で伝える。成功報酬は核石だというと喜んでいた。
だんだんと増えてきているプチ達は相変わらず自由だ。一番初めにげるるんが生み出した初めのプチブルーは明らかに生まれた時よりも大きくなってきている。どのくらいでプチを卒業してくれるのだろうか?まあ、人が子供から大人になるのにだって相当な時間がかかる。今の成長具合だとそこまで時間はかからない気がするし、気長に待つべきだろう。
ただ進化には戦闘などなんらかの条件が必要かもしれないので、最悪迷宮で戦わせる事も視野に入れといた方がいいのかもしれない。
今日は結構な距離を移動しそうなので素早く移動するためにげるるんを抱えて移動する。げるるんはいつもよりはるかに高速で移動できることが嬉しいのか随分とご満悦な感じだが、後ろからついてくるモジョモが何故か不機嫌そうな顔をして黙っていた。訳を聞いてもイマイチ要領を得ない。
途中「やっぱり、抱きしめるほど……。」とよくわからないことを呟いていた。そう言えば最近はあまりこういう態度を取っていなかった気がするが、以前はたまにこういう感じのことがあったことを思い出して、しばらくほっておく事にした。前回と同様、時間が解決してくれるだろう。
まずは昨日、グリーンスライム・エレメント達に会う前に寄った地脈の噴出口へ向かう。
そこにはこの前と同じ色の3体のスライム・エレメント達がいたが、今回はげるるんと融合させることを見送った。ここに来る予定のトライスライムリーダー・エレメントに融合させて、道を作る作業効率を上げさせるためだ。
ここからは前回とは少し違う方向に進む事になった。しばらく行くと、やや険しい山肌を歩く事になったが、目の前の尾根を超えると傾斜が緩くなり、道も少し楽になった。
ヨースケたちはそのまま周囲に気を配りながらさらなる探索を進めていくのだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「またか……。」
ヨースケはついそう声を漏らしてしまう。
「また、……ね。」
モジョモもそう答える。
また、とは本日2つ目の新たな試練の祠のことであった。今回見つけた2つの祠も、今まで潜ったことのある2つの祠と同じ様に、山の崖の様になった部分にぽっかりとその入り口を開けている。
「気のせいかもしれないが、どうもこの島の大きい方の山を中心にして、試練の祠が存在してるみたいなんだが……。こんなことってあり得るのか?」
ヨースケはそうモジョモに聞いてみるが、
「私は別に┃試練の祠の専門家じゃないからそんなことは知らないわよ。でももしこの祠がいつも入ってる祠の別の入口だとしたら、妙な場所だとはおもうわ。
違う祠どうしが隣接してる場所もごくまれにあるみたいだけど、複数の入口って話は聞いたことがないわね。」
まあ、試練の祠なんて興味のある人間以外は入らないし調べないよな。しかしここを調べずに放置しておくのも変な話だ。
「今日はもう入るつもりはないが、明日以降は入って確認した方がいいかもしれないな。あっちは6階以降も妙な雰囲気だったし、ここいらの祠の情報は少しでも情報を集めておいた方がいい気がする。」
「6階以降はまだダメよ。」
さっそくモジョモに釘を刺された。まあ、向こうと同じ祠ならその取り決めを変えるつもりはない。今のところは、だが。
「わかってるよ。でももし向こうと違う祠だったら挑戦させてもらうぞ。」
ヨースケはそう返す。
「でもこの分だとまだ見つかるかもね。」
モジョモがなんとなしにそう呟いたが、それはヨースケもそう思う。
「ひょっとしたらここが海のど真ん中にぽっかり存在する島だからじゃないのか?地脈の噴出口も地上にいっぱいあるみたいだし……。」
「地脈は地面の中にある力の流れだから地脈って言うのよね。だからこの島の地面付近で力の流れが枝分かれしてるなら、別に狭い範囲で点在する理由としてはおかしくはないと思うけど……。試練の祠ってそもそも何で存在してるのか議論に決着がついてないし……。」
「そうなの?うちの師匠は、『神によって創られた、位階を上げ魂を鍛えその欠損部分を補うための場所』とか何とか言ってたけど……。」
ヨースケは古白から教わった管理者経由のほぼ確実な真実を会話に混ぜる。まあそれが真実だと納得させる方法は彼には思い浮かばなかったのだが……。
神様に導かれてこの世界に来ましたって言っても絶対誰も信じないだろうし……。
そもそも『自分たちの魂が完全な形をしてない』とか、この世界で普通に生きているのにそういう発想って出てくるのだろうか?
「そうね、あなたの師匠すごそうだし、その人がそう言うならそれが真実かもしれないわ。同じ様な説も聞いたことがあるし。」
しかしヨースケの予想とは裏腹にモジョモはそれで納得してしまった様だ。いやどちらかと言うとそこまで興味のない事柄だから、ただ納得できればそれ以外のことはどうでもいいのかもしれない。
結局この祠の調査も後日に回して、げるるんの案内の元今日の目的地に向かう。げるるんいわく今向かっている地脈の噴出口はこの島で一番規模が小さいものらしい。
目的地にたどり着いた。結構遠くまで来たが、それでもまだ山の日向側であった。
げるるんが規模が小さいと教えてくれていたので、現地にスライム達はあまりいないだろうとヨースケは思っていた。しかし予想に反して10匹ものスライム・エレメント達が小さな地脈にひしめき合っていた。
近づいてみると身を寄せ合う様にしているくせに、融合なんかはしていない様である。しかも、みなどことなく元気がないように見える。
「何でこんな感じなんだ。」
と尋ねると、げるるんから「鑑定すればわかる。」という感じの意思を感じたので言われたとうりにしてみる。
端っこから鑑定していくにつれて、げるるんの言いたいことがわかった。
彼らは色こそ違えど皆同じスライム・エレメントLv1だった。
しかし彼らの今まで見てきたスライム・エレメントに一般的に備わっている『斬撃耐性』や『物理耐性』の技能のLvが通常の個体より低いのだ。
しかしその低さには理由があるようだ。どの個体にも変わった技能が発現していたのだ。そしてここからが真の問題であった。彼らのその変わった技能達はこの島ではほとんど意味のないものだったからだ。
ただしそこには「今までは……。」という注釈が今後はつく事になるだろう。
彼らの持っている技能はそれぞれ今まで島の中でスライム達だけで生活する上では無意味なものだ。ステータスも低く、技能も使えない。誰も互いに融合したがらなかったのかもしれない。
『下級錬成術(Lv3)』、『中級盾術(Lv3)』、『中級拳法術(Lv3)』、『 上級剣術(Lv3)』、『呪詛〈魔物寄〉(Lv3)』、『呪詛〈狂戦士化〉(Lv3)』、『特殊攻撃〈耐久値破壊〉(Lv3)』、『地図作成(Lv3)』、
そして極めつけが
『交信(Lv3)』、『ヴォルド大陸言語(Lv3)』、
であった。
ヨースケは即座にげるるんに命じて『地図作成(Lv3)』に『交信(Lv3)』と『ヴォルド大陸言語(Lv3)』
の個体達との融合を勧める。
げるるんが融合したいという態度を見せた途端、その3匹は信じられないといった感じで、すぐに融合し始めた。いつもの様に4匹が2匹になり最後は1匹になる。
そしてその融合が終わった途端、
『やっとちゃんと話せますね……。』
聞いたことのない機械音声の様な声が直接頭に響く。これは交信の効果か。……と、いうことは!
「げるるんなのか?」
この声はモジョモにも聞こえてる様で、「お、女声……。」と、よくわからない事に驚愕している様である。
『はい。そうですご主人様。元々『交信』に近い技能は使用していたのですが、ステータス欄に反映できるほど能力が安定していなかったのです。今は前よりも楽にお話しできることを嬉しく思います。』
こういう会話をすぐにしてくるあたりやっぱり頭は相当良かった様だ。しかしこれで色々と指示が出しやすくなった。気になることからどんどん聞いていくことにする。
「こいつらはやっぱり?」
『はい、御察しの通りです。ステータスも低く、技能も有用性が低いということで融合したがる同族もいませんでしたし。拗ねているのですよ。この島には今まで陸上に私たちの種族しかいませんでしたし……。』
「ん?、別にどんどん融合すれば解決するんじゃないのか?」
『我々には融合限界があります。通常は8体までです。今は核石があれば配下創造でレベルも下げれますし何とかなりますが、以前の我々には核石を手に入れる手段がありませんでした。
スライム・エレメントが通常のスライムを祠で狩るには我々に手段がかなり限られますからね。攻撃の下級魔術はLv5からですし……。
それに彼らが融合を避けられる理由は彼らは技能が有用でないということだけでなく、ステータス値が低いことも融合を避けられた理由です。他の者と融合した方が確実に強くなれますから。』
融合限界……ね。確かにそう言った制約がなかったのならみんな融合してるよな。
「でも、今は俺たちがこの島に来て状況が変わったってことか。」
『その通りです。むしろ彼らの技能は相当有用なものになりました。彼らは残らず私と融合してもらう予定です。
まあ『呪詛〈狂戦士化〉(Lv3)』の技能だけは何とか『呪詛耐性』の技能を得てからでないと使い物にはなりませんが……。』
そう言うと、こちらの話す内容を彼らは理解しているのか、スライム・エレメント達が喜び始めた。
「そうか、そういえば今まで聞きたかったんだが、げるるんは精霊魔術使ってないみたいだけど……。」
『現在この島に『魔力操作』の技能を持った個体がいないのです。以前は数匹のスライム・エレメントが持っていたのですがみな融合した後、試練の祠に挑み、そして散りました。分裂して戻ってきた個体がそう言ってます。』
「げるるんは今後どうしたいんだ。」
『より、上位の存在になりたいのです。これは精霊や魔物の本能と言ってもいいかもしれません。それ以外は特にないですね……。』
「どうやったらその上位存在とやらになれるんだ?」
『核石です。追加で魔力と精霊力も必要ですが……。核石を用いて1体配下を生み出せばスライムリーダー・エレメントへと進化する様に、50体生み出せばスライムジェネラル・エレメントに成れます。魔力は魔石や地脈から、精霊力は同じく地脈から補充する必要があります。』
そこでげるるんは少し気まずそうに震えると、
『おっと……済みません、どうやらこの『交信』の技能はパッシブ系ではなかった様です。MPの減りがまずいので『収納』してあるクラル草を食べてもよろしいですか?
それでも、もうそれ程長時間話すのは無理そうですが……。』
「そこにいる奴らを吸収して話を続けられないのか?」
『いえ、彼らのステータスは低いので今すぐに吸収するメリットはありません。なので早急に、『身体操作』の技能を持つ個体を探す必要があります。可能であれば『呪詛耐性』も。それと5階層の主の体をコピーして……武器等の装備を使用できる様にして……ください。」
聞こえてくる声の感じがだんだん眠そうなものになっていく。
「わかったきついならあまりしゃべらなくていいぞ、クラル草は食べて構わない。詳しい話はまた明日にしよう。MPは使い切ると体に良くないというしな。今日はここで休むか?」
『はい、おそらくこの周辺には能力が低いことで……ふてくされた個体達がまだいます。彼らの能力を確認しておきたいですし……。
それではしばらく……休ませて頂きます。モジョモ様もあまりお構いできず申し訳……なかったです。では明日に……。』
そう言ってげるるんは眠る様に動かなくなった。しまった。こうなるんだったら他の地脈の位置を融合前に聞いておくんだった。
色々と予想外のことはあったが、げるるんが喋れる様になったのは素晴らしい。彼……いや彼女?なのか?にはこの島について色々教えてもらわなければなるまい。しかしLv4の状態で1日5分ぐらいしか話せないのは少し不便だな。
今後の予定を話し合おうとモジョモの方を見るが、なんか1人でブツブツと「まずい……、まずいわ……。」とイライラしていて非常に話しかけづらい。「まあいつものことだ。」とヨースケはしばらくほっておくことにする。
仕方ないので、ヨースケは今後のことを考えながら当初の予定通り、自然薯モドキや山菜、果物などの採取をしつつ家へと帰るのであった。
ご意見、ご感想お待ちしてます。
題名を「しゃべったあああああ」にするか迷ったけどネタバレっぽくなるのでやめました。




