魔導具作製と土魔術万能説
*12/21大幅に加筆修正を加えました。
鑑定眼制御の下りもコピペミスが発覚。すみません。
あの話は書き直したせいでつぎはぎ感がちょっとありますね。
こちらも常に気をつけようとはしているのですが、もし他に妙な部分を見つけたら報告お願いします。
ヨースケは家に帰る道すがら、いつもやっているようにステータスチェックを行うとにした。
その結果、Lvは2に上がりさらにGPの値が32から34に増えていることがわかった。やはり強敵を倒した時にGPを得ることができるのだろうか?ひょっとするとGPの入手条件はLv差かもしれない。
でもそんな単純な感じでもないんだよな……。
他に考えられる条件としては、次のレベルに上がるまでの間ずっと強敵だけと戦うというものがある。これは『成長の腕輪』の制約が『位階が上がった瞬間から次上がるまっでずっと身に付けていないといけない』といったものだったことから予測してみた条件である。
次に試練の祠に潜る時は5階層の主部屋まで一気に行って階層主だけと戦ってレベルを上げてみるのも一つの手かもしれない。まあレベル差がどれ位あるかは鑑定眼を使ってみないと何とも言えないのだが。
あとはGPだけではなく技能の発現についても検証したい。
そう言えばこの世界に住む人々はどうやってスキルを得ているのだろうか?モジョモにそれとなく聞いてみる事にした。
「なあ?普通はどうやって技能を身に付けてるんだ。正直うちの師匠のやり方はちょっと特殊だったんだと思い始めてるんだが……。」
そんな意図はなかったが、何となく無意味に古白の事をdisるみたいな感じになってしまった。少し申し訳なく思うがうまくいい言い方が思い付かなかったので仕方がない。
「一般的な技能の習得方法?
剣術とかは大体師匠とか先生から技能の型を教わって反復練習して、その後でレベルを上げて発現させるって聞いたことがあるけど……。」
なるほど、なら俺も欲しいスキルに内容に予想がつけば、その型を反復練習する事で何かスキルを得られるかもしれない。なんとか型だけでも知る方法はないだろうか?
前世の知識から空手の正拳突きや前蹴り、総合格闘技のローキックなんかは何となくわかるから練習してゴブリンと戦ってみるか?それでスキルが発現したらかなりの儲けものだし。
「しかしあなたの師匠の教え方っていうのは気になるわね。あなたは技能を『真言』からしか使わないから少し変だとは思っていたのよね。」
まずい、さっきの言い方はやぶ蛇だったようだ。
「まあ修行方法についてはあんまり話すなって言われてるしなあ。そもそも生まれつき持ってたものも結構あるし……。でも毎回『真言』で技能を使う人は結構いると思うんだけど。」
これでごまかせるといいのだが……。
実際、そういうタイプの人も結構な割合でいる。その理由は簡単だ、『真言』経由で技能を発動した場合、SPやMPが枯渇してない限り必ず技能が発動する。
この手法の大きな利点は確実に技能が発動し、一定の効果が得らることである。
技能が発現していてもまだそれを使うことになれていなかったり、魔術の発動中に集中力が乱れるようなことがあれば、例え正確に真言を唱えていたとしてもSPやMPだけ消費して何も起こらないなんてことはよくあることだからだ。
その辺りのことも古白に教わっていたから正直不審がられるとは思っていなかったのだが……。
「気づいてないようだから言っておくけど、あれだけ多彩なスキルを持っているのに、戦闘中に一度も低レベルの武術スキルを発動させてないのはちょっと不自然だわ。さっきの魔物の時なんか良い例ね。
まあSPの使用量を可能な限り抑えるような戦闘を目指してるのならそれもおかしくないかもしれないでしょうけど、あなたいつもSPは余らせたまま寝てるじゃない。MPの方はあれだけ毎日使い切ろうとしてるのに……。
戦闘中だととっさに真言なしで技能の一つや二つつかうのが普通なのに……。そういうのは理由でもない限りやっぱり不自然よ。全てのスキルに不慣れな人間なんていないしね……。」
実際俺は全てのスキルに不慣れな人間である。そういう意味では随分と的を射た意見だ。まあ最近は下級土魔術の扱いに関しては中々のものだと自負しているが。
しかしモジョモは後ろの方でただきゃあきゃあわめいているだけだと思っていたのだが、俺を随分としっかり観察していたようだ。
「お前、俺のことをよく見てるな……。」
ついそう感想が口をついて出た。モジョモは一瞬だけ絶句したあと、
「な、何言ってるのよ……。べ、別に私がこの島で観察する対象なんて限られてるから別におかしくないでしょ……。」
別にが被ってる。こいつ焦ると面白いな。
アワアワと顔を真っ赤にして不思議な動きをするモジョモを見ているともうちょっとからかってみたくなってきた。
悪戯な好奇心がムクムクと湧き上がってきたが、ここでモジョモをいじり始めると収拾がつかなくなりそうなのでやめておくことにする。
結局慌て始めてモジョモはほっといてさっさと家へ帰ることにした。
改めて技能の習得について考えてみる。
今後のことを考えて自分に必要な技能はなんなのだろうか?
最低でも一つは体術系のスキルが欲しい。武器を失った際、無手の手段がステータス任せのフォームもクソもないパンチやキックだけなのはいただけない。
どうもさっきのモジョモの口ぶりだと鍛錬や経験が重要な気がする。テレビゲームなんかだと『実践に勝る訓練はない』みたいな感じだが、まさにゲームのようなこの世界だとどうなのだろうか。
折角だから岩で作った剣や盾あるいはやりなんかを使って戦ってみるのがいいのかもしれない。
家に帰ると晩御飯を作り始める。今日は蟹鍋だ。鳥の卵かなんかあればもっと良かったのだが……。
岩製の大鍋に甲殻や関節の隙間をうまく切り分けて解体したボルパラ・クラブの身を放り込み煮る。ついでにルンガ粟やクラル草、その他の山菜なんかも追加で適当に加えて行く。
出来上がった鍋はかなり味の濃いもので美味しかった。モジョモも珍しく食べたそうな顔だったが、流石に食べさせる手段が無いのでこればかりはどうしようもなかった。そのうち何かいい代替手段でも見つればいいのだが。
とても美味しい夕飯ではあったが、やはり出汁の確保をなんとかしたい。煮干や昆布なら探せばなんとかなりそうな気がする。鰹節に似た乾物も可能かもしれない。しかし醤油はどうしようもないかもしれない。
待てよ、魚から魚醤を作ればいいんじゃないか!
前世の知識の中にグルメ番組か何かで見たものがある。あれは小魚に多めの塩を混ぜて内臓ごと刻みドロドロにしてから自然発酵させ、最後は濾すだけで作れたはずだ。
小魚は仕掛けでいっぱい取れる。確かイワシに近いものが最適だった気がする。明日の午後、余裕があれば試してみよう。
食い切れそうになくて使わなかったボルパラ・クラブの残りは冷凍庫に保管することにする。
ついでに余っている岩素材を倉庫から持ち出し、本日最後の作業として剣と盾と槍さらには手甲を作ることにした。手甲を作る理由は素手で魔物を殴りたくないからだ。防御目的ではない。
槍は特に工夫を思いつかなかったので製作は一瞬で終わったが、剣や素手で相手を殴る為のほぼ小手に近いナックルには『土硬化』の魔法陣を組み込んで、攻撃や防御の時により硬くできるようにしてみた。
魔法陣は、剣では刃の根元の部分に、小手では手の甲の当たる内側の部分にに仕込む事にする。
小手は特に問題なく作製出来たが、剣の方は魔法陣に魔力を注ぐときに陣に直接手を触れなくても魔力が込めれるようにするために魔力導体を作る必要があった。
ここでは素直にモジョモにアドバイスを求めると随分と機嫌が良くなり魔道具作製の基本知識について色々な事を教わった。実に単純である。
さらにここでは下級魔導具作製の技能の『魔力導体作製』という技能が役に立った。この技能は今後も頻繁に使いそうである。ちなみに魔力導体の材料は砕いた魔石と白砂、スライムの粘液だ。モジョモ曰く別に魔力導体自体は別の素材からも作れるが、剣の魔法陣が以前作ったコンロと同様に白砂から作られているものなので、近い素材を使った方が魔力を通す際の親和性が高くなるからだそうだ。
完成したこれらを鑑定してみると。
岩の槍
ATK+15
使用条件:ATKが40以上。
品質:普通
状態:普通
耐久値40/40
素材:岩石
詳細情報:
ただの岩から魔法で作られた何の変哲もない槍。その切れ味は低くしなりは悪い、むしろ鈍器として使用を主目的とする。装備していると一部の槍系統の技能が使用可能。
岩石硬化の手甲
ATK+10
使用条件:ATKが30以上。
品質:普通
状態:普通
耐久値80/80
素材:岩石、下級魔石、白砂、スライムの粘液
詳細情報:
岩から作られた手甲に『土硬化』の魔法陣を組み込んだ魔導具。魔力を込めれば込めるだけ硬くなり攻撃力も増す。ただしひどく重くATKが30以上ないと上手く使用できない。装備していると一部の拳闘術の技能が使用可能。製作者はヨースケ。
岩石硬化の剣
ATK+13
使用条件:ATKが40以上。
品質:普通
状態:普通
耐久値80/80
素材:岩石、下級魔石、白砂、スライムの粘液
詳細情報:
岩から作られた剣に『土硬化』の魔法陣を組み込んだ魔導具。切れ味は鈍いが魔力を込めれば込めるだけ硬くなり、攻撃力も増す正しひどく重くATKが40以上ないと上手く使用できない。装備していると一部の剣術系統の技能が使用可能。製作者はヨースケ。
どれも中々の出来である。自分のATKの値を思えば振り回すだけならそこまで苦労しないであろう。
次に盾の作製に挑戦してみる。こっちはさっきのボルパラ・クラブとの戦いからちょっとした工夫を思いついたので、それを試してみることにした。
盾の内側にある持ち手のそばに『土鋳型』と『土硬化』の魔法陣を埋め込み盾に対して発動できるようにしたのだ。
相手が剣で斬りかかってきたら『土鋳型』で表面に留め『土硬化』で固定するという魔術の盾だ。
折角なので外枠と持ち手のと盾の骨格は岩鯨の肋骨の一部を使って魔術で崩れないようにした。山ほど残っていて使い道が決まらない素材がそれだったからだ。ただなるべく頑丈に作ろうと色々試行錯誤していたら、思っていたよりもだいぶ重い盾になってしまった。
しかし2つの魔法陣を1つの道具に組み込むのはとても苦労した。あとは持ち手にあたる部分の全ての場所から正確に魔法陣へ魔力を送り込めるように作りあげるのにも苦労した。結構な量の魔力導体を作製したせいで、こちらにもって帰ってきていたスライムの粘液が尽きてしまった。またあっちの倉庫からこっちの倉庫へ素材を移しておかないといけない。
しかし自分でも中々の盾ができたと思う。
出来上がった盾を鑑定してみると。
砂岩の白盾
DEF+80
MDEF+50
使用条件:ATKが100以上。
品質:普通
状態:普通
耐久値150/150
素材:岩鯨の肋骨、下級魔石、白砂、茶砂
詳細情報:
下級土魔術の応用された魔術の盾。原理は砂岩の大盾と同じ。一部の素材が異なる。ATKが100以上ないと持ち上げることができないほど重く、ATKが200以上かつ盾術を所持したものでなければ、まともに扱うことは非常に難しい盾。魔力を込めることにより、DEFとMDEFに追加で補正をかけることができる。製作者はヨースケ。
中々すごい盾ができていた。
砂岩の大盾という同じ原理の盾がすでに存在していたことも分かった。まあ似たようなことは誰かが思いつくものである。それでも思いつきで作ったにしては中々優秀な盾ではないだろうか。
しかし残念な事に今の俺ではまともに扱えそうにない。なんとか盾術の技能を発現させなければ。
こういう製作系が成功すると自然と笑顔になるよな。
上機嫌になった俺は後ろで見ていたモジョモに魔導具の作製に成功したことと、中々楽しい共同作業だった事を伝えると。何故か顔をそらされた。怒ってはいないようだが不思議だ。まさか照れているのか?それこそ本当にまさかね……。
とりあえず岩製の普通の小盾も作っておく。明日はこちらを使ってみよう。
しかし下級土魔術は便利すぎる。道具の構造さえ知っていれば、いろいろなものが即座に再現可能である。もちろんそれを実現してくれる魔力精密操作の恩恵も計り知れないが。
頑張れば魔法陣を組み込んだ巨大な全身鎧とか作れるのではないだろうか?実現を目指して色々と考えておこう。でもどれもこれも頑丈だけど物凄く重いものになりそうである。
今日も1階で寝ようとベッドに寝転がるとモジョモが何かソワソワしていた。何か期待されているのだろうか?しかしよく分からない。
疲れていたので「もう俺は寝るから、お休み。」と言ってベッドに潜ると、何故か唖然とした顔になりそのまま動きをフリーズさせていた。
妙な反応なので不思議に思ったが、何も言ってこないのでヨースケはそのままさっさと目を閉じて次の日の朝までぐっすりと寝るのだった。
今日の夜か明日には次の話が上げれる……はず。




