喪女魔女は時々だけ真面目。
いつもお読みいただきありがとうございます。
*12/16加筆修正しました。
予定通り6階層まで到達し、この試練の祠の様子もある程度掴むことができたのでヨースケとモジョモはは地上に戻ることにした。帰りは地図もあるし、魔物の数も減っているので1時間ぐらいしかからないだろう。3、4、5階層は階段も近かったし。
帰りは魔物を避けつつ進み、たとえ出会っても今まで通り即殲滅で上を目指す。もちろん魔石は拾っていく。
なんや感やで2階層まで戻って来た。もうここからは出てくる魔物もスライムだけなので多少気を抜いても大丈夫だろう。
そこで帰る道すがら、ややハイテンション気味にヨースケはモジョモに気が付いたチート作戦を説明する。しかし彼女は、
「ほんとーにそれ、大丈夫なの?変な副作用とかないの?」
とかなり心配している。
「心配するなよ。それともなんか気になることでもあるのか?」
「あの祠は何かおかしいわ。」
一瞬、ヨースケは「あんたのテンションがあの罠を踏んでからおかしすぎよ。」と言われたらどうしようかと思ったが、急に思ってもみなかったことを言われて冷水を浴びせられたような気分になった。徐々にテンションが下がってゆく。
「どう、おかしいんだよ。」
「あの吸魔は魔石を持ってなかったのよ?」
「見落としじゃないの?」
「正直その可能性はもちろんあるわ。探す時間も無かったし。ただ倒した時、吸魔のいた方から起こった何かの落下音は一つだけだったわ。つまりあの吸魔のドロップ品はその指輪だけよ。」
そこは間違いない。と自信満々である。そこまで気にしてなかった。
「つまりダンジョン内の現象で自然発生した魔物じゃないってこと?」
ヨースケなりに彼女が何を言いたいのか解釈したが、結局何が言いたいのかよくわからない。
しかしモジョモがいつもみたいに残念な感じじゃないので、なんだか背中が痒い。
「そう、その可能性があるのよ。そして魔力感知の技能で私も感知できてたけど、あの吸魔と同じ気配が複数あったわ。あの階層には外から入り込んだ魔物がそれなりの数いるのかもしれない。」
そうだとすると変な点がある。
「でもそれだと5階層まで追ってこなかった理由がわからない。」
「そう?階層を隔ててしまえば、移動はできても魔力感知の範囲外よ?魔物でも本能的に待ち伏せぐらい警戒して当然だわ。だからそこは別におかしくないの。」
そう言えば、俺も5階層から6階層側は感知できてなかったな。単純に距離かなんかの問題だと思っていたが。
「それより問題なのは、あの罠よ。」
ああ、あれか。確かに罠がいきなりできたのは変だな。
「確かに、2つ目の罠はおかしかったと俺も思うよ。突然発生したしな。でもあの罠は今の俺の状況にはメリットでしかないぜ。」
「言いたいのはそういう事じゃないのよ。あんな低階層にあんな凶悪な罠があるのがおかしいの?」
俺は試練の祠については初心者なので黙って続きを聞くことにする。
「私は実際の試練の祠なんてここ以外はもう一ヶ所しか入ったことないし、すごい深くまで潜って祭壇を見つけたりなんかしたことはないわ。
でも、魔術の教本やなんかで一般的な試練の祠の事はある程度知ってる。
試練の祠はその名の通り魂を鍛えるために神々が生み出すものと言われているわ。魂を鍛えやすいように、基本的に各階層の難易度的なものはかなりゆっくりとした段階で上がって行くはずなのよ。
あれはいきなり難易度が上がりすぎ。永続型のトラップなんてダンジョンの深部でしかお目にかかれないはずよ。
後あの吸魔。あんたは敵の強さのレベルが麻痺してるみたいだから言っとくけど、中級クラスの吸魔なんてどう考えてもスライムやゴブリンの次に出てくる魔物じゃないわ。」
そいういものなのか。俺は段階的にレベル上げもせず強力武器を振り回し続けたせいで、正常な危機意識を持つことができないのはいかんな。解決法を考えなきゃいかん。
まあそれは置いとくとしてもレベル上げ自体はなんとかしないとダメだぞ。地上のスライムは数が少なすぎて狩りはじめるとすぐ絶滅しそうだし?ああいうのってこの島の生態系に影響与えてるわけ?ああ、また思考が逸れた。今はレベル上げの手段だ。
「でもこの先のことを考えるとレベル上げは必須だぜ。多分6階層入り口で吸魔を狩るたびにあの罠踏んだらすごい勢いでステータス上げれる気がするんだが。」
正直、無茶苦茶魅力的な作戦なんですが。
「駄目よ。私は反対。6階層以降は行くべきではないわ。レベル上げは5階層までにして、ここまでは正常そうだし。ねえ、もうあんな風に心配したくないのよ。」
そんな顔でそんな風に言われると俺は従うしかない。結局あれも俺の危機感のなさが招いたわけだし。俺だってさすがに、俺のことを心から心配してくれる奴を泣かせたいわけじゃない。でもちょっと食い下がりたい。
「あの、罠を踏むためだけに6階層へ一瞬だけ下りるのは……。」
「ダメ!」
じとっとした目できっぱりと言いやがって、くそう……。
「わかったよ。当分は祠に入っても5階層の主までしか戦わないようにするよ。」
これでいいだろ。とアピールする。
「安全な状況でレベルダウンの罠を踏むのはいいんだよな。」
「そんな状況ができたら好きなだけ踏めばいいじゃない。」
若干呆れ気味に返された。
くそう。絶対に何か別の方法を見つけてやる。あ、もう出口か。
外に出るとまだ昼過ぎといった感じだった。とりあえず魔力に余裕があったので試練の祠のそばの岩壁に穴を掘り倉庫兼仮眠所を作った。岩製の棚に壼、甕、そしてリアカーとスコップにシャベルも忘れない。スライム素材回収用だ。
それが終わると岩鯨の薫製肉をかじりながら川沿いを歩き、ルンガ粟を適当な量回収し、さらに地脈周辺のクラル草の亜種を摘み取り家へと帰る。ちなみに少しお腹が減っていたのでクラル草をそのままもしゃもしゃと食ってみると以外と美味かった。モジョモに「何やってんのコイツ。」みたいな冷めた目で見られたが、
いやぶっちゃけかなりおいしいんだって。鑑定石板に食えるって書いてあったからとりあえず食ってみたんだって。なんか元気になった気するし。
帰る道すがらステータスを確認してみると少しMPが回復していた。そう言えばなんかそれっぽいことも書いてあったわ。と思い出す。本当この辺りも抜けている。普通祠に入る前に準備するべきだよなホント。次から一定量は常に持ち歩くことにする。
家に帰る前に先に浜に出て幾つかの貝を砂浜から掘り出して新たにいけすに移す。その後は海に沈めた仕掛けを引き上げた。
ぶっちゃけ大漁だったまあ普段こんな所で漁してるやつはいないからな。毒を持って食えない魚やタコもいたがそいつらは甕を作って放り込んだ。横でモジョモは「うげー。」とか言っていた。今後長期滞在するなら増えられても困るし。毒を作れないかと考えたのである。蛋白性だと酸化したりして劣化しそうだが一般的な貝の毒なんかは微量元素の生物濃縮で加熱や酸化で無毒化しないものもある。いつかあの海蛇に撃ち込むかもしれないし。と実現しそうにないことを考えたりした。
魚はしっぽの根元とエラのそばを切り、鱗があるものは剥ぐ。肛門から石のナイフを入れ腹を裂き内臓を取り除く。旬じゃないのか卵を持っているやつはいなかった。取り除いた内臓を海へ放るとでかい魚がやってきてバシャバシャと水面に音を立てながら食べ始めた。スズキに似ている。目算で70cmはある。今日は気が向かないが、次回同じ状況になったら銛で突き殺して食べようと思う。そう考えていたら2匹目が来た。海の幸が豊富なのはいいことだ。
モジョモは暇なのか濡れないのをいいことに海の中をフワフワ移動してシュノーケリング?みたいなことをして遊んでいた。時たまいつもの「おおー。」が聞こえる。
しかしあいつ驚いてばっかじゃね?っていうか、あいつ俺の魔力食って生きてるんでしょ?戦闘も禁止したし完全にニートじゃねーか。
内臓を取り除いたものに砂から作った即席フックに突き刺し、そばの木にぶら下げ血抜きする。結構な数があったので最後の処理が終わった頃には最初の方に処理した分は十分に血抜きされれいたので魚の大きさや形によって三枚におろしたり開きにしたりした。全部処理が終わったら砂を吐かせた貝たちと一緒にそれらを家まで持って帰り半分は燻製機に半分は日陰干しにしてみることにした。貝は身をほじくり出した後さっと煮てこれも半々で干物と燻製にした。煮汁は飲んだ。最近何かと粗食だったせいか随分と美味しく感じた。いや、普通に美味しかっただけかもしれないけど。
そうしているといつもの夕立の時間になる。雨でも作業できるような構造にしたのは正解だった。
その後倉庫に入り、岩でセンバコキのような櫛を作りルンガ粟の脱穀を行った。倉庫から出る頃には雨は止んでいた。その後ちょうどいい大きさの壺を作り、そこに粟の実とたっぷりの水を入れ、ツボの大きさに合わせたかまどを作りごはんを炊く要領でちょっとづつ様子を見なが炊き始める。実際これでいいのかは自信がない。まあ何事も挑戦だ。炊きあがったものを食べるとものすごい癖のある変わった玄米と表現できそうな味がした。でも食えないということはない。しばらくこいつはこれでいいだろう。他の調理法もそのうち考えてみることにする。
食べながら今後のことを考える。ご飯の問題は今の所解決したと言ってもいいだろう。今差し迫った問題は鑑定石板があと数日しか持たない事だ。
明日はもう一つの山を目指して残りの島の地形の把握と見たことのないもののチェック、余裕があれば海の中もチェックだな。そうだモジョモの意見も聞いてみよう。
「なんかやること?魔石が手に入ったんだし、魔法陣作ってみたら?私はできないけど、あんたの技能を組み合わせたらすぐできるでしょ。」
と言うわけで急きょモジョモの指導のもと簡単な魔法陣を作ることになった。と言っても魔法を魔法陣化する方法自体は古白の話から知っているし。方法も自分でステータスチェックした時に確認していた。対象の呪文を意識した後、対応するLvの魔法陣術を起動するだけだ。
ただし魔法陣を描くには、それを描く為の触媒がいる。触媒とは、簡単に言うと絵を描く為の絵の具だ。俺はこれの作り方を知らなかった。そこで彼女の出番である。モジョモに触媒の作り方を教わるのだ。やたらと嬉しそうにアレコレ指示を出された。いちいち「腕の角度が悪い。」とか「もっと気持ちを込めて。」とか「それアドバイスじゃなくね。」と思ったが昼に泣かせてしまった後ろめたさから本日は素直に従うことにした。
まあそれもすぐ終わった。だって土と砕いた魔石を混ぜるだけだもの。
道具に紋を刻む場合は、こういった土や魔法金属なんかがいいらしい。当然描いた後、土は岩化させる。今回は『点火』を魔法陣術Lv1『魔法陣化』で魔法陣化させて見ることにする。ビー玉くらいの魔石を5個ほど岩のすり鉢に入れて砕き粉にする。少しづつ砂浜の白い砂を魔術でさらに細かくしたものをを加える。これは細い方が単純に魔法陣化の際に滑らかに動いて陣を作ってくれるという理由と一度術者の魔力になじませたものを触媒にした方が、魔法陣化の効果に対して相性がいいという理由らしい。本当はここでスライム素材とか加えるとさらにいい触媒になるらしい。それはまた後日にする。今回は代わりに少量の水を加えてこの砂の感じを泥に少し近い感じにする。
触媒を一握り分手に盛り、切り出したフライパンぐらいの大きさの岩の板の上に置いて左手をかざし技能を発動させる。『点火』をイメージしつつ『真言』を唱える。
「『魔法陣化』、『起動』。」
すると岩の板の上に盛られていた土がかざした手から魔力を受け取りつつ幾何学模様を描いた。これが魔法陣術か、なかなか面白い。
「なんで感動してるのよ。Lv10ってことは今まで散々やってきたことでしょう?」
と呆れられたが。
「いや触媒から作るのなんて初めてで、これはこれで感動するんだよ。」
と、言っておいた。岩製の謎コンロは完成した。これで魔力を込めるだけでこの岩の上に『点火』が発動する。が、このままでは触媒が安定しない上に触媒の質もそれほど高くないから多分効果が一瞬の割に10回ももたないだろうと言われた。そこでまず、その魔法陣に『土硬化』をかけ、次に、魔法陣の周りに別の岩から作った茶色い砂をまぶして魔法陣の模様がきっちりとが浮き出るようにならした後、全体に『土硬化』をかける。これでより安定し、結構長持ちするものになったはずだ。これで湯船の何処かをうまい具合に温められるようにしたい。
ちなみに魔法陣はその図形を描いても効果が出る。つまりインクのような触媒ならハンコでぺったんこして魔力を通せば使えるのだ。勿論その程度のやり方だと劣化も早いので色々と工夫する必要はあるけれど……。まあ今度はスライムを狩ってちゃんとした触媒を作り木彫りのハンコを作ろうと心に決めた。実際に試しとかないといざという時にすぐつかえないとこまるからな。
いつかやる目標は布地に治癒術をペイントするか縫い付けるかしてして魔力を通して「回復!」とかしたい。
とっくに日は沈んでいたので今日はこれで寝ることにする。明日は島の地図を出来るだけ完成させるぞー。
次の日になり朝飯を食べ終え、予定通りにもう一つの山の頂上を目指す。この島の天気は本当に安定している。こっちは試練の祠のある方だ。2種類の探知に気配遮断や無音移動なんかを使っていると気が張り続けて疲れるので探知のみで移動する。たまにスライムらしき気配を見つけるが50mも近づかないうちにそそくさと逃げていく。なんかダンジョンと違ってこっちを襲ってこないのでもう地上のスライムはほっといた方がいい気がしてきた。変につついて大事にしたくない。前も思ったが岩鯨の時みたいな反撃があったらやだし。隣にいる女は見つけ次第「殺れ。」とか言いそうだが。
山頂に着くまでに幾つか食べれそうな野草や木の実に、なんと紅檀の群生地を発見した。この木は加工が大変そうだがすごく綺麗なのでその内高級家具をこれで作ってみたい。余裕ができたら植林も考えよう。ここは完全に知られざる無人島のようだから王国でも打ち立ててみるか?と半ば冗談のような考えも思い浮かんだ。まあ王国というか所有権は認めさせたいな。そういうことを考えるとその内でかいい家や防衛施設なんかも考えてもいいかもしれない。
山頂に着くと見たことのない範囲が良く見える。前回は低い方の山、といっても高さはほとんど変わらないのだが、そっちから見ていたせいか分からなかったが頂上同士をつなぐ弧を描いた尾根線がなんとなくわかる。弧の内側が平野部で、平野の途中で川が合流しているのが見える。弧の外側は平野部ではないが尾根線が幾つか走りたにまをつくっている。海岸線は砂浜だったり崖だったりするがそこまで高い崖は無いようである。島全体の形を無理やり説明するならいろんな方向から齧られまくったリンゴのシルエットといったとこか。周りに島は見えなかった。海の中にぽつんとあるのに活動性の火山島じゃないことが少し意外だった。
前回作ったミニチュアの不明な部分を補完しつつ島の模型を完成させてゆく。帰ったら少し大きめのミニチュアを完成させて色々と有用な場所にマークを入れていこうと思う。
昼ごはんを食べた後は、食材になりそうな物をひたすら採取して帰る。途中で「チャンブー」という、見るからに細い竹の群生地を見つけたのでそこそこ採取して持って帰ることにする。籠を編めば採取の効率が上がる。今はこのリュックに頼りすぎである。
帰っていて思ったが、疲れはしないものの昨日に比べて明らかに移動スピードが下がっているのがわかる。やっぱりステータスが1/2近くなってしまったのは痛い。倉庫をさっさと建ててしまったのは正解だった。今の魔力総量だと、あの規模の倉庫を建てるにはギリギリだ。やはりステータスはなんらかの方法でアップさせる必要がある。
帰って倉庫を軽く整理し、今度は海に行く。ダメ元でモジョモに昨日のシュノーケリングもどきで何か面白いものを見てないか聞くとでかい貝があったという。意外と役に立っている。ニートとは呼ばないでやろう。
砂浜にすぐに焚き火ができる用意をして服を脱ぎ下着だけになって海に潜ってみる。モジョモにガン見されてる気もするが突っ込まずにいてやろう。俺もガン見したし。そう言い返す罠かもしれない。
しかし海の中は思った以上に魚が多い。ひじきみたいな海藻もあったので後で調べるようにして、モジョモの案内のもと、貝がいたという位置に行ってみる。そこにはでかいシャコガイのような貝があった。
魔物っぽくないし近づくとわずかに開いていた貝の隙間が閉じた。両手で一抱えほどあるその貝をステータスに物を言わせて抱えながら水底を歩くようにして砂浜に戻る。初期ステータスだったら絶対持てなかっただろう。結構な重さだ。食えなくても貝殻自体が何かに使えそうなほど頑丈で大きい。鑑定すると、
ハルマナ貝
品質:良好
状態:良好
耐久値:600/600
詳細情報:
熱帯の海域を中心に生息する貝でハルマナ種の代表格と呼ばれる貝。その貝殻の特徴的な形から、貝殻そのものが美術品として流通している。古来よりその耐久性の高い貝殻は防具などにも用いられていた。食べることもできるが、味はわりとさっぱりしている。以前よりその生息域が見つかると乱獲されていたため今では希少品として価値が高い。
確かに耐久値が高い。つーか高すぎだろ。なので今日はこれをこのまま火で炙って貝を開かせて食べようとするとモジョモに止められた。彼女いわく、
「私が見つけたのよ。記念に貝殻が欲しいから焦げ目がつくような調理法は禁止!」
とのことだ。無視して焼こうとすると喚きまくったので、岩で作った針とナイフを使って傷つかないように頑張って慎重にこじ開けた。
「内側も綺麗じゃなきゃ、や!」
とのお達しがあったせいである。1時間ちょっとかかってしまった。
が、これが結果としては良かったことになった。なんと中に野球ボールより大きな真珠があったからだ。確かにあらゆる貝類は真珠に近いものを作ると聞くが……。真っ白く輝くそれを鑑定すると。
ハルマナの宝珠
品質:良好
状態:良好
耐久値:50/50
詳細情報:
ごく稀にハルマナ種の中に作られる真珠の一種。真性のハルマナ貝で作られその直径が10cmを超えるものが宝珠と呼ばれる。その美しさゆえに装飾品としての価値も計り知れないが長い年月をかけハルマナ貝の生命力が練りこまれていると言われるそれは、水魔術の発動体の素材としてだけではなくすりおろすと高価な薬の原料や高度な水魔術の触媒などになるためその価値は計り知れない。
なんかすごいものが出た。「私のだかんね。」と横の女がうるさい。「お前のものは俺のもの。」と言ってやりたかったがそれはそれで何か嫌な予感がしたのでとりあえず所有権の主張はやめた。
いや、実際取らないから。しかし、なんかめっちゃくやしいぞ。たぶん近くに他のもっと大きなハルマナ貝がいるだろうから絶対にもっとでかいやつを見つけてそのドヤ顔をやめさせてやる!そこで、ああこうやって乱獲されていくのか、と妙に納得した。
なんとか日本の真珠作りの技術応用できないだろうか?すごい時間かかりそうだけど。
ちなみにひじきっぽい海藻は食べたらお腹お壊すという鑑定結果が出た。残念だ。
貝は若干大味だったが美味しかった。砂も履かせなかったが水でしっかりすすいで焼いたり煮たりした。食い切れない分は切りわけてさっと煮、燻製と陰干しの材料にする。
雨が降り出す前に家に戻る。俺が抱え込んでいる貝殻と真珠を見てモジョモは随分とご機嫌なようだ。まあ飾る場所なんて棚の上ぐらいしかないわけだが。
今日も鯨肉の燻製を作る。ついでに貝の燻製もだ。昨日作った一夜干しの魚もかじってみるとなかなかうまい。どうもモジョモは俺が毎日食べているようなものを全く食べたことがないらしくしきりに食いたそうにしていた。とはいえ食う方法はない。下手なフォローもできないので黙っているしかないこの時間は苦痛だ。なんかいい話題は提供できないかと探していると。ドタバタしていた所為であの吸魔らしき魔物の落とした指輪を鑑定していなかったことに気づく。
これはちょうどいいだろう。モジョモの専門は死霊術だし話もひろげやすい。と思い鑑定してみると中級吸魔の指輪だった。「やっぱり。」というモジョモのいつものドヤ顔のもと何か頭に引っかかりを覚える。最近石板でこの字面を見たような……。
「あ!」
そこで俺は思い出した。どこでその文字を見かけたかを。
1話5000字を目安にしてますが、
やっぱり読者的には長い方がいいんですかね。
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