ソニアの宝物
本日2回目の更新
「ふぅ……そろそろ休憩にしよう」
「は~い!」
「はい、わかりました」
体力は人並み以上にあるはずのおっさんだが、流石にちょっと疲れていた。
対して娘たちは元気いっぱいで、まだまだ遊びたりない様子。
どうやら遊びに関しては、子供の体力は無限大のようだ。
「アンクル、そろそろ昼食にしましょ~」
ソニアの声が聞こえた。
目を向けると、ミーアと共に手を振っている。
「おかさ~ん!」
母親の姿を見るや否や。
リリスは一目散に真っ直ぐダッシュ。
ダダダダダ――バターン!
おっさんの宝物は、豪快に躓いた。
「「リリス!?」」
おっさんとソニアの声が重なる。
二人は、大慌てでリリスへ駆け寄った。
怪我はないだろうか?
原っぱがクッションになるとはいえ、おっさんは不安で胸が押し潰されそうになった。 が、おっさんの心配をよそに、リリスは直ぐに立ち上がった。
「えへへ~、ころんじゃったぁ」
泣いてもいない。
リリスは強い子だった。
「リリス、大丈夫か?」
おっさんは、リリスに怪我がないかしっかりと確認。。
少しだけ膝が赤くなっている
「……ちょっと擦り傷が出来ちゃったみたいね」
ソニアは娘の視線の高さまでしゃがむ。
そして娘の目をしっかりと見た。
「おかさん、リリスね、だいじょうぶだよぅ」
「うん。
それに泣かなかったのは偉いわね。
でも、リリスが怪我をしちゃったら、お父さんもお母さんも悲しいの。
だから気を付けないとダメよ」
「おとさんも、おかさんも、かなしいの?」
「そうよ。
だってリリスは、私たちの宝物ですもの」
ソニアはふわっとしたリリスの髪を撫でた。
その姿はまるで女神のように慈愛に溢れている。
これが母性というものなのだろうか?
父親であるおっさんにはないものを、ソニアは持っていた。
自分は、こんな風にリリスに注意することが出来ただろうか?
おっさんは、誰よりも娘を大切にしている。
それは誰が見ても間違いないほどに。
元々リリスはいい子なので、叱るようなこともほとんどなかったけれど。
やはり自分一人では、足りない物が沢山あるのかもしれない。
「おとさん、おかさん、ごめんなさい」
「うん。
わかってくれたらいいの。
ね、あなた」
「……ああ。
それに子供が元気に遊ぶのはいいことだ。
怪我にさえ気をつけたらな」
「あい!
リリス、きをつけるよ!
それでげんきにあそぶ!」
「遊ぶ前に一度休憩ね。
お昼ご飯も食べましょう。
あ、その前に――」
ソニアは娘の膝に手を翳した。
「癒しの光よ――」
翳された手から、温かな光が溢れる。
「よし、これで大丈夫」
手を放すと、リリスの膝の擦り傷がすっかり治っていた。
どうやらソニアは、治癒魔術を使ったようだ。
「うわぁ~すっご~い!
おかさん、ありがと~!」
「うん。
じゃあ、お弁当を食べましょう。
アンクルも、リルムちゃんもお腹空いたわよね?」
「お腹の音がなりそうだ」
「……あたしも、もらっていいんですか?」
「勿論!
みんなで一緒に食べる為に、沢山作ってきたんだから!」
そして娘と手を繋ぎ、二人はピクニックシートに歩いて行った。
その後をおっさんも追おうとすると。
『勇者様……すみません。
ソニアさんのステータスを確認していただいてもいいですか?』
『うん?』
カティがそんなことを言ってきた。
何か気になることがあるようだ。
おっさんは、ソニアのステータスを確認する。
※
○ソニア・フレイル
職業 アンクルの妻
年齢 28歳
種族 人間
・ステータス
レベル 8
体力 75
魔力 320 → 305
力 56
守り 38
魔攻 0
魔防 0
速さ 48
運 30
・プロフィール その1
アンクルの妻で、リリスの母。
22歳の時にアンクルと結婚。
家事全般が得意。
夫と娘の事が何よりも大切で愛している。
・プロフィール その2
ソニアには宝物がある。
それは夫であるアンクルと、娘のソニア。
彼女は宝物である二人のことを、常に考えて行動している。
※
ステータスに大きな変化はない。
唯一の変化は、魔力が消費されたくらいだろう。
『特に問題はなさそうだが?』
『……はい。
そう……ですよね』
『どうしたんだ?』
何か引っかかりがあるのだろうか?
『魔力の消費量が少し多い気がするような……?』
『そうなのか?』
今までステータスの概念を知らなかったおっさんは、治癒魔術の消費魔力など知るはずもない。
「おとさ~ん!
はやく~!
リリス、おなかペコペコ~!」
娘からのペコペコ発言。
可愛い娘のお腹と背中をくっつけるわけにはいかない。
『すみません、勇者様。
私が気にし過ぎだと思います』
『いや、心配してくれてるんだろ?
助かるよ、カティ』
妖精に返事をして。
「今行くぞ~!」
おっさんは、みんなの下へ走った。




