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無色の勇者と七色の約束  作者: 白猫サクラ
第6章 魔工科の友情
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第29話 夕暮れの街、三人のひととき

 剣術の稽古を終え、ようやく一息つける“自分の時間”がきた。

 部屋でくつろいでいると──魔導電話の呼び鈴が鳴った。


 男子寮と女子寮は、部屋番号を押せば円滑通話ができる仕組みだ。

 受話器を取ると、豪快なニールの大きな声が飛び込んできた。


 「魔工科の親睦もかねて、3人で夕食でも行こうよ!」


 その明るさが、僕の心を和ませる。

 この学院に入学してから、初めて友達ができた気がした。


 待ち合わせ場所のラウンジに、三人が集まった。


 ルミとニールは私服だ。

 女の子は服装が変わると、どうしてこんなに印象が変わるんだろう。


 ニールは健康的に日焼けした肌にショートパンツがよく似合っていた。

 豪快な性格なのに、どこか可愛らしい。

 ルミは清楚な黄色のスカート。

 家柄の良さがにじむような、柔らかい雰囲気があった。


 それにしても、この学園は本当に立地がよく、寮の近くにはおいしそうなレストランがいくつもある。

 値段も学生向けに設定されていて、お金が十分でない学生でも利用しやすい。


 僕たちは目星をつけた店に入り、空いている席に座った。

 店内にはすでに学院の生徒らしきグループが何組かいて、笑い声や食器の音が、どこか楽しげに響いている。


 男性店員が水を運び、メニューを渡してくれる。

 「決まったら声をかけてください」


 その声を聞いた瞬間、なんだか胸の奥が少しだけ弾んだ。


 ──こうして誰かと外で食事をするなんて、いつ以来だろう。


 僕とルミはオムライスを選んだ。

 ニールはトマトソースのパスタを注文した。


 「オムライスはね、お父さんとお母さんと行くお気に入りのお店で、いつも頼むの」

 ふと、ルミが明るい笑顔を見せた。


 その笑顔を見て、やっぱりルミは“いい家の子”なんだと思った。

 家族で外食に行くのが当たり前で、こういうおしゃれな料理にも慣れている。

 孤児院の僕とは、きっと育ってきた環境が違う。


 でも──孤児院での温かい思い出を思い返すと、その違いが嫌ではなかった。


 料理が運ばれてくると、僕たちは夢中で食べ始めた。

 

 「なかなかいけるね」

 ニールが満足そうに言う。


 「ここのオムライスもおいしいよ」

 ルミも嬉しそうだ。


 二人の笑顔を見ているだけで、僕の胸の奥までじんわりと温かくなる。

 

 ――僕たちは食事を終え、夜風に吹かれながら寮へ戻った。

 街灯の光が、歩く僕たちの影をゆっくり揺らす。


 寮の前で立ち止まると、ニールがいつもの調子で笑った。

 「じゃ、またね」


 ルミも小さく微笑んだ。

 その何気ないやり取りが、胸の奥にじんわりと染みていく。


 僕も手を振り、部屋へ戻っていった。

 気のいい魔工科の仲間と出会えたことは、傷ついていた僕の心を、確かに癒してくれた。

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