第二章10「決闘の合図」
二人の決闘を止めようとしているど、アメリア先生が楽しそうな顔をして現れた。
「ア、アメリア先生!」
「やあルウシェ、もうすっかり元気そうだね。……で?
特級騎士の二人が『女神様』を賭けて決闘だって?
最高にワクワクするねぇ。……よし、ボクが責任を持って【審判】をやってあげるよ!」
「そこは止めて下さいよ!」
ルウシェの必死の抗議も虚しく、アメリア先生は「若い男のぶつかり合いも良い経験だよ〜〜」とケラケラ笑って受け流す。
「というわけで、場所は学校の【闘技場】だ。安全対策の結界はボクが張るから、二人とも準備ができたら来てね。
存分に殴り合い――おっと、愛の証明をし合うといい!」
こうして、事態は誰も止められないまま、学校の広大な闘技場へと舞台を移すことになった。
闘技場の中央。対峙するクラインとジェイドの二人から放たれる魔力と殺気がぶつかり合いう。
「オレの引き立て役になる準備はできたか、クライン?」
「……お前を叩き伏せる準備なら、出来ている」
二人がそれぞれの武器を構え、アメリア先生が手を挙げて合図を待つ。
一方、観客席の最前列に陣取ったルウシェは、隣のレインと共に決闘を見守っていた。その表情は、焦りから一転して、完全に「別のベクトル」へと切り替わっていた。
(……よく考えたら、特級騎士クラスのクライン様とジェイドが全力で戦う姿を最前列で拝めるってこと……!?)
目の前では、剣を構えるクラインの凛々しい横顔と、紅蓮の髪を揺らすジェイドの狂気に満ちた不敵な笑みが、最高に照らされている。
(あ、無理。作画がまた神すぎる。これ、公式が力を入れてたバトルイベントじゃん!
推しとライバルのガチバトルとか、全人類が熱くなる神回だよ!!
頼むから誰も私のカメラワークを邪魔しないで!!)
「……ルウシェ? そんなに強く両手を握らなくても大丈夫ですよ。クライン様はそう簡単にやられる方ではありませんから」
隣にいるレインが、ルウシェの顔を覗き込み安心させる様に話す。
どうやら、ルウシェに出会ってからの彼はいつも以上に鍛錬をしていたらしい。
「護られるだけではなく、護りたい。そう仰っていました」
「そんな事が……。クライン様……」
そんな風に考えている事など知らなかったルウシェは、先程まで喜びで頭が一杯だった自分に反省をし小さい声で「頑張って下さい」と呟いた。
そして、遂にアメリア先生の「――始め!」の声と共に、二人の天才騎士による決闘の幕が切って落とされた。




