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コミュ障魔女の推し活動〜最強の隠密バフで推し騎士を完全無双させていたら、扉を物理破壊されて求婚されました。  作者: あめのしずく


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第二章5「消えた少女と吸血大蛇」

 一方、その頃――。

 アメリア先生との打ち合わせを終えたクラインとレインは、ルウシェがと分かれた場所へと戻っていた。


「待たせたな、ルウシェ。……ルウシェ?」


 そこに待っているはずの少女の姿はない。

 代わりに目に入ったのは、少し離れた木陰で、顔を青ざめさせながら身を寄せ合っている女子生徒達の姿だった。


「ね、ねえ……さすがにやりすぎちゃったんじゃない……?」


「自業自得よ、私達のクライン様に近付いたんですもの!」


「で、でも、あの先って『禁止区域』だったんでしょ?  あの時は笑ってたけど、もし戻って来なかったら……」


「まさか本当に落ちるなんて思わなかったのよ!脅してちょっと泣かせるだけのつもりだったのに……」


 引きつった笑いを浮かべ、互いに責任をなすりつけ合うようにコソコソと囁き合う彼女たち。


「クライン様、ルウシェ様の気配は近くにはありません。……それと、あの者達の様子が妙です」


「……おい、お前達」


 クラインが低い声と冷たい眼差しで女子生徒達に歩み寄る。女子生徒達は短い悲鳴を上げてその場にへたり込んだ。


「ルウシェはどこへ行ったか知らない方。知っているんだろう?」


「ひっ、あっちの、禁止区域の方に……」


「……それで?」


「私達はちょっとからかって、背中を押したら崖に……あっ!」


「ちょっと! 何言ってるのよ!」


「……は?」


 クラインの凍りつくような殺気が周囲を支配した。

 次の瞬間、クラインが剣を抜き賭け、レインがそれを阻止した。


「クライン様、お気持ちは分かります。ですが今は、ルウシェ族を探すのが先です」


「……分かった」


 急いで事情を話し、アメリア先生と共に三人が辿り着いたのは、女子生徒達がルウシェを連れて行った場所。

 そこにはルウシェはおらず、一部小さく崩れた部分と結界の境界が敗れた箇所があった。


「恐らく、ルウシェはこの下に居るんだろう。ここだけ崩れ方が違うみたいだ」


「くっ……!」


「いけません、クライン様!」


「離せ、レイン! ルウシェが……!」


 崖下に降りようとするクラインを必死で止めるレイン。それもそのはず、結界から先は『危険区域』だ。通常の魔獣とははるかに違う凶暴な生き物達がいるのだ。


「……一度、学校に戻ってから捜査に来よう」


「アメリア先生まで……!」


「結界が破られ、いつ何が来てもおかしく無い。生徒達も居る状況での探索は難しい」


 君なら分かるね、そう言うアメリア先生に、冷静さを取り戻したクラインは頷いた。

 引き返すため、生徒達がいる場所へ戻ろうと振り返った時だった。


 ゴゴゴゴゴ!


「なんだ!?」


 突如、大きな地響きが起き、地面が割れて行く。急いで戻ろうと走り出した三人が目にしたのは、生徒達の前に巨大な黒い影。

 漆黒の重装甲のような鱗に覆われた大蛇。

 ――本来ならこの森の更に奥、結界の向こう側に生息しているはずの魔獣「ヴァンパイアスネーク」が、真っ赤な瞳と鋭い牙を見せ襲い掛かろうとしていた。


「チッ、こんな時に……!!」


 ルウシェの安否が分からず完全に頭に血が上っているクラインが、剣を構えヴァンパイアスネークのに攻撃をする。


 だが――。


 カキィィィィン!!!


「っ……!?」


 火花が激しく飛び散っただけで、大蛇の漆黒の鱗には微かな傷すらついていなかった。


「クライン君、下がるんだ! 奴の牙には吸血と麻痺の猛毒がある! ……爆炎の嵐、フレイム・バースト!!」


 アメリア先生が前線へ踏み込み、鋭い詠唱で最高位の攻撃魔法を放つ。激しい爆炎が大蛇の巨体を包み込んだ。

 しかし、炎が晴れた煙の向こうから現れた大蛇は、焦げ跡ひとつない無傷の姿で嘲笑うように舌をチロチロと覗かせていた。


「やはり、ボクの魔法でも厳しいのか……」


「鱗が硬すぎる……!」


「お二人共、生徒達達がパニックで指示を……!」


 レインに言われ生徒達を見ると、驚く者や泣く者達、パニック状態。アメリア先生やクラインの声も通らず、ジリジリと迫ってくる大蛇。


 絶体絶命のピンチに――。


「皆さん、下がってください!!」


 この状況を引き裂くように、聞き覚えのある声が響いた。

 クライン達の上空。風の魔力を足元に纏わせたルウシェが、白いローブを靡かせ浮いていた。

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