レティシア式スパルタ王女教育 観察眼編
「ピース様観察眼を養うために市場に出かけませんか?」
「え?」
「はい一本」
レティシアがいきなりそんなことを言い出したので気が緩んだ私は防御が間に合わなかった。そんな無防備な胴体に木刀が寸止めされていた。
「ズルだ!」
「いえ、敵の甘言に惑わされるピース様がいけないのです。あと市場に行きませんか?というのは本当にお誘いしています。いわゆる気分転換というやつです。」
「行く」
「では馬車の手配をしてまいります。」
「市場か~売り込みはよく来るな~宝石だの絵画だの。あ!魔術書はありがたかったな」
「では市場でのお買い物のルールをご説明いたします。ピース様の買いたい物となると全て魔術書に使われてしまいますので今回はお宝を見つけたら1冊買うことができるというルールで行きましょう。この市場にて真贋入り乱れるお宝探しと行きましょう!」
「はーい」
そんなこんなで始まったお宝探しゲーム。
いつかやってみたかったんだよね!
お店巡りしてお宝発掘ってやつ。
というわけでまず最初は一見さんぽく表に出てる商品を漁ることにした。
お宝に巡り合うために良いとこ行って店のレベルを考えたらそこそこの品を買ってもお宝発見とは言えないだろう。
その点こういう店で均一の投げ売りされている商品から価値のある物を発掘したらそれはお宝を見つけたといえる。ふっふっふっ!この勝負貰ったぁ!
店に入って商品を漁り始めること10分ほどたった時変化が訪れた。
私は初めての外でのお買い物に夢中で客が全員居なくなっていることと店員が何やら準備をしていることにまったく気づいていなかった。
「十三王女殿下ご来店ありがとうございます。」
「え?」
「準備ができましたので奥の部屋へどうぞ。最高級の菓子と紅茶をお入れいたしましたのでどうぞお寛ぎ下さい。」
「誘拐?」
「め、滅相もございません。ピース王女殿下がご来店なされたのです。店は貸し切りにしてピース様のお相手だけを務めるのが当たり前のことにございます」
「はぁ」
「当商会は王宮への出入り商でございますので必ずやピース様が気に入られる商品をご紹介できますぞ!」
「そうなんだ」
「お探しの商品の種類を我々に言って頂きますと当店が選りすぐった商品をお出しいたします。それか少々お時間を頂けますと当商会でご注文の品を探しまして、後日ピース様のお時間の許す日にお伺いいたします」
「あ、じゃあお宝か掘り出し物を下さい。基準はそうですね時間はありますし物を見て決めたいので全て見せてください」
「かしこまりました!」
何故か身バレしてVIP待遇を受けている。いや王女はれっきとしたVIPか。
「当てが外れてしまいましたか?」
「そ、想定通りよ」
「それはそれは」
そんな会話をしていると店主と何人かの男が商品を運んできた。
「まずはこちら大粒の深淵の黒真珠を使用したブローチでございます」
「買ったぁぁぁ!」
「・・・はっ!申し訳ございません。お買い上げありがとうございます。」
「いい物見つけたわ」
「そう言って頂けますと商人冥利に尽きます」
「では次の品ですが今人気急上昇中の画家マル=コールが世界の果てを描いたという名画でタイトルは最果ての大滝にございます」
「パス」
「ではこちらのガラス細工はいかがでしょう?豊穣を司っておられます女神様の眷属を模して造られた一品です。天使舞い降りる神殿という品でございます」
「え、こんな見た目じゃないでしょ」
「お気に召されませんでしたか。ですと…」
「こちらはいかがでしょう?ブルーサファイアを中心に金細工を施しその上に小粒ですが純度の高いルビーやダイヤをまぶした品です」
「純度の高い宝石ねぇ?え、それって偽物じゃ?」
「⁉め、滅相もございません。ですがご期待に沿えなかったは事実。次の品で挽回させてくださいませ」
「あ、紅茶無くなっちゃった。おかわり」
「た、ただいま!」
その後も色んなものを見たけど結局欲しいと思ったのは最初の真珠くらいだった。
均一品も見せてって言ったんだけど私にふさわしいものは無いとかなんとか言われて見せてもらえなかった。
まだ時間あるし別のお店も行こうと馬車の前まで来て気が付いた。
王家の紋章入りの馬車で来たらそりゃ身バレしますわ。
恐る恐るレティシアを見ると満面の笑顔を咲かせていた。
「レ、レティシア」
「いかがなされましたか?」
「宝探しって自分の足で歩いてなんぼよね?次のお店からは徒歩で移動することに決めたわ!問題ないわよね?」
「ここは王都ですので問題ないかと」
「じゃそうしましょ」
お宝探しは第二ラウンドに突入するのだった。
えー何故かこの日王都の犯罪率は小競り合いの喧嘩も含め「発生率」0%という快挙を成し遂げました。素晴らしい治安ですね。




