レティシア式スパルタ王女教育 お風呂編
レティシアとの訓練後汗や土を洗い流すため私たちは大浴場へとやってきた。
一応私用の個人風呂もあるんだけど私は大浴場が好きなのでこちらに来ている。
広いお風呂サイコー!
因みに私以外の兄姉はここには入りに来ない。
普通は自分用のを使うか王宮にはおらず自分の守護地域にある屋敷で入っているのだろう。
ここ数か月は訓練が終わったら大浴場にくるのが流れになっていたから王族と話したいメイドさん(貴族子女)が大勢いる。
そしてみんななにとは言わんが大・キュッ・美である。
私も5~6年後には素晴らしいものががが…
大浴場に来てレティシアの手を借りながら全身を洗い終え先に湯船につかりメイドさん達との雑談を楽しむ。
これがここ最近のルーティンだ。
「ピース様って最近訓練場に通われていらっしゃるんですよね?騎士団の方でどなたかよさそうな方いらっしゃいましたら教えてくださいませんか?」
「私も気になります!」
「んー訓練中はあまり他を見る余裕はないですし、道中はあまり騎士団の方とすれ違わないようになっているらしく…」
「なるほど…やっぱり自分でリサーチしてかないとだめですね」
「サラにはもう許嫁がいるじゃない!」
「そういうアリアンヌだって幼馴染の方とのお話が既定路線でしょう?」
「私はまだそういう話ないから気になるなー」
「「いやいやイヤートあなた、チェリー伯爵のご長男があなたのことをそれとなく聞いてきましたわよ?」」
「え?」
そんな生々しい会話で満たされる一方、
「そういえば最近騎士団からお一人脱退者がでたとか。王女殿下はなにかご存じありませんか?」
「バットン伯爵が爵位を維持できないらしく、降爵になるとのうわさを耳にしたのですがピース様はなにかご存じないですか?」
だのと私を情報源に実家に有利な話題を持ち帰ろうとしてくる人もいる。
こういうのには「さぁ?私は何も知らないですね」
とか言って返しとけばいいのである。
ほどなくして専属メイドであるレティシアが湯舟へとやってくると私と至近距離で話していたメイドさんたちが彼女が入るスペースを開けた。
こういうところでメイド間の力関係が現れるのだが、自分は私の近くにいるのが当たり前と思っている節のあるレティシアはあまり気にしていないようだ。
私が他のメイドさんと雑談をしていても気にする様子は一切なし。でも私の体をがっしりと自分の体の前でホールドして膝の上に座らせるのは譲らないご様子。
ただ最近思っていることがある。純粋に雑談に飽きた。
メイドさん達と他愛もない会話をするのもいいんだけど3か月も続くと飽きる。
私達は大浴場に毎日来るけどメイドさん達は3日に1回しかこれないのである。
その都合上メイドさんから同じ話を何度も聞かされるのだ。
飽きるのは当たり前である。
もはや王宮一の情報通を名乗っても過言ではなかろうか???
因みにお金を払えば追加で入浴可能だ。
やったね!これで予期せず汚れちゃっても安心だ!
いくらだったかは興味がないので忘れた。
そういえばレティシアは自分の入湯日以外はお金を払っているのだろうか?それとも専属メイドというのは私が向かう先に付いて行く関係上、そこんとこ優遇されているのだろうか?
なおこの世界の暦は地球と少し異なる。
割り切りやすく使いやすいため私は非常に満足している。
元居た世界では月の満ち欠け(29.5日)がだいたい7日単位で起こっていたから(新月→上弦→満月→下弦→新月へと姿を変えるのが約7日間隔であり、1ヶ月を4等分するのに適していたため)という説が有力である。
365/7=52.14285714285714…
これだと1年がどんどん短くなっていくので4年に1度閏年が入ってくる。
足り無くなったら足すだけや!理論は優秀ですね。
その点こちらの世界の暦はすがすがしいほど「便利さ」に重点を置いている。
一週間は6日で、6週間で一ヶ月。一ヶ月36日が10カ月で、360日。
それに
「旧年に感謝し新年を迎える準備期間」を2日
「新年であり旧年」が1日
「新年を祝い新しい門出への準備期間」が2日入り
360日+5日=365/年。非常に清々しい日数調整である。
だが週も月も割り切れる数が多いため色々と便利であった。
使いやすさサイコー!
そんな割とどうでもいいことを考えているとふと思いついた。普段水魔法を練習するときは空気中の水分を使うか運河の水で練習しているがお湯だと使い勝手は違うのだろうか?
試してみたところ答えは否。
お湯だろうがただ温めただけでは何も変わらなかった。
しいて言うなら人のいないところに波紋を生み出したのだが強すぎたのか近くにいるメイドさんが「キャッ」とか「ヤッ」「ッン」と声を上げたくらいだろうか?
元々私と話すことをあきらめてたのか場所取り合戦に負けたのか分からないけどごめんね…
そうそう解説するとこの世界の風呂にはいくつか種類がある。
1つ目が王道の「温泉」
これは大抵が王侯貴族の直轄地か領地内にあり利権として抑えているため庶民には無縁と言っていい。
気前のいい領主が割高で宿を経営しているところに泊まるか、運よく温泉を所有している子爵や伯爵に愛人か使用人として近づくかくらいしか入る選択肢は無いだろう。
2つ目は水を沸かしてお湯にする。今入ってるのだね。
水の魔法で水を出し炎の魔法で温度を調節し風の魔法で湯気まみれにならないように程よく換気する。魔法って便利だね~
だから魔法を使えるものは基本くいっぱぐれない。
これ言うは易し行うは難しで、まず風呂に使う何トン何十トンもの水を一度に出せる魔法使いなど存在しない。
何十人何百人体制で連携して行うものだ。
次に入っているものが気持ちのいい体感温度を維持するための炎の魔法担当だ。
火力調節という面でまぁ神経を使うのなんのって。
温度メーターと睨めっこしながら常に火力を調節している。
風魔法担当だがこれは入る客次第で難易度が変わる。
こだわりのない者なら滞りなく進むが
「恥ずかしいから湯気を集めてくれ」
「あの子に恥をかかせたいから湯気が集まらないようにしろ」
「移動中に体に巻いているタオルを吹き飛ばせ」
「水を集めて事故に見せかけて転ばせろ」
だのと賄賂を握らせて酷い注文が入るらしい。
あとは変態おやじが混浴中に「ムードがよくなるように調節しろ」と注文することがあるらしい。
私はそんなこと言わないけどね!私はそんなこと言わないけどね!!
そうそうこれ風の魔法を使うものは風呂場に直接立ち入って魔法を使うのだ。
風呂場だから当然服など着ない。
だから男湯は男、女湯は女が担当する。
なら混浴は?ご想像にお任せしまーす!
3つ目が桶にお湯を張って体を拭く。
宿とか基本これだね。あとは一般市民かな?
週に一回は大衆浴場に行って他は拭くだけ簡単。
聞いて分かるようにお風呂って超高級なものなのです。
この世界での身分は
国王陛下
王子(王位継承権のある王の子ども。男女どちらも指す)
公爵(王族の血が入っている家。薄くなり過ぎると侯爵に降爵する)
侯爵(一般貴族の最高到達点。これより先は王族の血を入れるしかない)
辺境伯(国境線を任されている伯爵)
伯爵(派閥の長になるには最低限これくらいの爵位は欲しいよね)
子爵(複数の爵位を持つお偉いさんが第二子に受け継ぐ定番の爵位)
男爵(世襲できる最低ライン。自分が偉いと勘違いしたやつが暴走しがち。あとはトカゲのしっぽ切り要因)
騎士爵(世襲できない一代限りの爵位。手柄を立ててまずは準貴族となったそこのあなた!さらに上を目指してレッツ陞爵男爵様!)
その他庶民(下まで全部書いてたらきりがないよね!)
と一般的なものとなっております。
なおこの爵位のランキングは貴族たちの力関係を表す絶対の指標ではありません。
落ち目の伯爵より上がり目の男爵のほうが力が上という場面も多々あります。
貴族社会って難しいですね~




