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ピースの野望とそびえ立つ壁

 キャロル王国では王女にも王位継承権がある。と言っても私より上の兄姉(けいし)たちはすでに成人しているし、歳も離れていた私は王位継承争いとも殆ど関係ない。


 おまけに身体も小さく容姿も平凡、それに政治にも全く興味を示さなかったので期待されてないようだった。


 それゆえ兄姉(けいし)は私のことをライバルではなく末の妹として優しく接してくれる。


 だが兄姉(けいし)たちが王になるために毎日毎日マナーや学問、武術をみっちり学んでいるのを見るとそれでよかったなと思う。


 おかげで私は好きなことや、やりたいことを思う存分させてもらっている。


 例えば剣術。兄姉(けいし)たちは王として正面から敵を打ち倒す威風堂々とした太刀筋を仕込まれているが、私の場合違う。


 私が興味を持った流派の人間を片っ端(かたっぱし)から呼び寄せて私の理想とする新流派?を生み出そうとしてる。


 現代格闘術や一通りの方を仕込まれた剣術と魔術の融合。そのためには初めから魔術ありきの剣筋や体の動かし方を参考にするのが効率的だ。


 だがしょっぱなから私はつまずくこととなる。


 近接格闘術(C Q C)に覚えたての魔法を組み合わせて勝勢になったとしてもこの小さい体では魔力放出で吹っ飛ばされて距離を離されて仕切り直し。


 それを繰り返し最終的には持久力で劣るこっちはジリ貧負け。


 んで、呼んだどこぞの師範?免許皆伝者?が言うには

「ピース様の才能は素晴らしいものです。体格差など大きくなられたたらある程度埋りますから今は焦らずじっくりと基礎固めをなされた方がよいかと存じます」

 とかぬかしてくる始末。


こちとら基礎は前世で嫌というほど固めとんじゃ!硬度でいったら岩盤に匹敵すんぞわれ?今更基礎固めの何が楽しいちゅうねん。



 剣術や武術に飽きた私は魔法を学び、一から流派の体系を構築しようと思い至り破竹の勢いで本を読み進めた。


 そしてついに私は十歳のころ私は第一図書館を制覇した。


 蔵書されている端から端まですべての本という本を読み漁ってやったのだ。


 昔に読み終えた本を紛れ込ませてもう一度読ませるとかいうレティシアの妨害工作に何度も引っかかったがそれがなければもっと少し早く読み終えていたに違いない。

 途中で本が増えなければの話だが。



 次は王立古代魔法・魔道具保管室…(私は第二図書館とry)…の本を読みたい!と思った私は思い立ったが吉日の精神で第二図書館に突入したのだがそこの司書さんに


「ピース様の年齢ですとまだご入室を許可することはできません。誠に申し訳分けございせん。」


 と体を直角90°に折り曲げながら謝罪された。


「えぇ⁉どうしたらはいれるようになるの><」

 ここは可愛くおねだり作戦だ!


 直角90°を維持したまましばらく考え込んだお姉さんは


「もしかすると王立蔵書室総管理長ですと許可できるかもしれません。こちらまで来るように私の方から伝えますのでピース様はこちらでお待ちくださいませ。」


 なんて言われた。仕方ないので部屋で待つことにした。にしても「王立蔵書室総管理長」長い!長すぎる!今日から君の名前は「図書館卿」ね。


 立派な役職だろうに十数分で部屋に来た図書館卿はレティシアの膝の上に座っている私に対して色々と制度を並べて小難しい話をしてきた。


(ふっ!私がそんな小難しい話をされたら理解できず諦めると思ったか?

 このピースも舐められたものだな。レティシアあとで要約したのを教えて~)


 私が何も話さず黙っているとしびれを切らしたのか図書館卿が

「法務省のものでしたらもしかしたらよい抜け道をご存じかもしれません。午後のうちに話の分かる者をお部屋に来るように言伝(ことずて)を致しましょうか?」


 なんて聞いてきたから

「よろしく~いいよね?レティシア?」

って上向いたら怖い顔で図書館卿のことを睨みつけてた。


いいぞ~もっとやれ~!



 昼4の刻(15時)に軽食としてプリンと珈琲を堪能しながら風に当たっていた私のもとに威厳たっぷりの強面こわもてのおじさんがやってきた。誰この人知らない(こわ)


 私がビビっているとおじさんの方から話しかけてきた。

「初めましてピース王女殿下」


「んー初めまして(はひめはひて)


「…私の名はロイド=ガッテム。法務省で法務大臣補佐を任されております。本日は王立蔵書室総管理長よりピース王女殿下が法務省にお聞きしたいことがあるとのことで伺った次第にございます。何用でございましょうか?」


「第二図書館に行ってみたんだけど難しいって言われちゃってそれでいろんな人にお話を聞いてみてるの!」

(どうだ!必殺 年相応の子ども特有の背伸びアピール!)


「うーむ。なるほど。第二図書館というのはどの蔵書室のことでしょうか?王立だけでも剣術蔵書室や武術蔵書室、魔術書蔵書室に生物蔵書室など多岐に渡るのです」


(やばっ!2番目に目を付けたから第二第二って呼んでたから正式名称がわからないよ…)

「えーと魔法のやつかな?」


「ということは王立魔術書蔵書室のことでしょうか?」


「違う…」


「うーむ…そうなるとどちらでしょうか?」


「お話し中失礼します。ロイド=ガッテム法務大臣補佐殿、ピース様がお入りになられたいのは王立古代魔法・魔道具保管室でございます。」


「なるほど!そこですと宮廷魔術師資格もしくは冒険者ギルドにAランク以上と登録されたものしか入ることができないのです。そこは古代魔法や多人数発動型の大掛かりな魔法など重要度の高いものが集められた部屋ですので」


「そっか…そうなると諦めるしかないか」

私が顔をうつむき哀愁を漂わせている。


「い、いえ、特例がないこともありません。それは国王陛下のご許可です。それがあればピース王女殿下でもご入室及び魔術書を読むことが可能です。」

と言われた


「チッ」部屋にそんな音がこぼれた直後


「失礼いたしました」

とレティシアが謝罪した。


え、レティシアが私のためにあそこまで威嚇してくれるなんて!


よーし今夜父さんに直談判しに行くぞ!



 夜3の刻(20時)

 コンコンコン。私は父さんの書斎を訪れた。

「入れ」

「失礼します父さん」

「ピースか!どうした?何か欲しい物があるかのか?」

「はい。本日第一図書館の本をすべて読破しました。」

「第一図書館?あぁ!最近通っている王立一般蔵書室のことだったか?それはすごいじゃないか!それで何が欲しいのだ?何でも言ってみなさい?」

「第二図書館…じゃなくて「王立古代魔法魔道具保管室」に入りたいのですがいろいろな方に当たった結果父さんの許可があれば入れると教えていただきました。

許可をいただけませんか?」

「ふむ…」

「これでも食べて待っていなさい」

 とチーズを渡してくれた。


 可愛くおねだりししてみた手ごたえは会心の一撃である。これは貰ったっしょ!



 父さんは考え込みながらワインを飲んでいるし給仕しているレティシア以外の周りのメイドたちには重苦しい空気というか失敗(粗相)できない雰囲気が広がっている。


 こうなった以上私にできることは無いのでチーズを堪能しながら父さんの出方をうかがうしか無い。


 たっぷり10分の沈黙を破った父さんは私の予想外のことを言い出した。


「レティシアを納得させることができたら許可しよう」


 ならば簡単だ!


「レティシアお願い!私あそこに入って本を読みたいの!許可を頂戴?」

 百戦錬磨のおねだり攻撃これに堕ちなかったやつはいない!こともないか。

 レティシア相手には何度も失敗している。


 先制攻撃を放った私に対してレティシアは一言だけ返した。

「では明日から剣術の訓練と致しましょう」


「陛下、ピース様。(わたくし)、今夜は予定が入りましたので失礼いたします」


 そう言い残しレティシアは頭を下げて部屋を退出してしまった。

 ピース完敗である。

ピースの悠々自適な王女生活【完】

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