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事後処理

 幸いにもバカにぃや近衛達は命に別状はなかったし、シャングリラが死んで回復源を失った魔獣どもはあっさり討伐することができ、近衛達が起きるまで夜の湖に映る星々を眺めて時間を潰した。



「「「申し訳ございませんでした!!!」」」

 なんて近衛達はバッカドールおにいさまに謝罪の言葉を並べたが今回は仕方ないだろう何せイレギュラーが多すぎた。

「皆、まずは無事で何よりだ。魔人に襲われたにも関わらず命があったのは、奇跡としか言いようがあるまい。魔人との戦闘中、僕は奴の出す黒いモヤを浴びて気を失ったが、君たちが勇敢に魔獣たちを食い止めていたことはしっかりと見ていた。安心してくれ!労うことはあっても罰することはない」

 とかやり取りして朝になってからここの領主の屋敷に立ち寄り魔獣の駆除を報告したが一悶着あった。



「バッカロール殿下、ピース殿下この度は魔獣の撃退していただきありがとうございます。領民一同を代表いたしまして感謝申し上げます」

「そうか」

「それで…ですな…殿下たちにご相談がございまして…今回の罰則の税ですが免除していただきたく…」

「なぜだい?」

「今回被害受けた領民たちから取るわけにもいかず、かといってそこ以外から取りますと反感が…」

「君が領軍では力不足だと感じて王家に救いを求めたんだろ?」

「左様でございますが、まさか冒険者どもがあそこまで使い物にならないとは思わず…」

「彼らは自分の仕事をしているだけだろう?仕事内容が自分の実力に見合わないと思い受けなかった。違うかい?」

「その通りなのですが、まさか我々貴族からの依頼を断るだけに飽き足らずこちらに面倒ごとを押し付けるとは…」

「で、その面倒ごととやらを我々に押し付けた君は今何をしているんだい?」

「押し付けたなんてとんでもない…我々の手に余ると判断いたしましたのでお力をお借りすることを願ったわけでして」

「そうか。考えておこう」

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 とかいうことが合ったことを含めて報告書は完璧に仕上げた。


 王宮に戻った私がレティシアと市場で絵画を見て回り雰囲気の気に入った画家に湖の景色を描かせている間に数日が経ったある日、父さんが話しがあると私はバカにぃと一緒に玉座の間へと呼び出されていた。



「バッカドール、ピース。よくぞ参った」

「まずはバッカドールよ、魔獣討伐の件よくぞ成功させた」

「いえ、私だけの力ではございません」

「それと領主の件もよくやった。ああいう輩が何かしでかす前に対処できたことは大きい」

「向こうが戯言(たわごと)を言い出したので相手にすることなく帰還した次第です」

「だが色々とトラブルがあったようだな?」

「はい。複数の魔獣と魔人に襲われました」

「複数の魔獣と魔人に襲われ、被害がなかったのは運が良かったとしか言いようがあるまい。お前は第十二王子とはいえ王位継承権を持つ私の子だ。お前自身が優秀な身体強化魔法の使い手であるのも知っておるし、何かあった時のためにピースを誘い、レティシアという前衛を確保したことは事実だ。だがそれだけでは足りんだろう?」

「近衛だけを護衛として連れて行くというは些か軽率だったと言わざるを得ないだろう。冒険者ギルドで情報を確認することはもちろんのこと、騎士団もしくは森を熟知した冒険者を雇うなど対策のしようはあっただろう?」

「いくら報酬の渋い森の奥への討伐依頼を受ける者は少ないとはいえ、その報酬を常識の範囲内で割り増しするだとか、連れて来た近衛や騎士団も同伴だと話は結果は違うものであっただろう?」

「陛下のおっしゃる通りです。申し開きの余地もありません」


 父さんの厳しい言葉に、バッカドールお(にい)さまは頭を垂れたままだった。

 確かに、言われてみれば少し軽率だった気もする。

 私は外に出られるって浮かれてたけど、バッカドールお(にい)さまの場合言い方を厳しくすれば父さんからの勅命を受けたにもかかわらず失敗しかけたわけだ。

 魔人が出たのは計算外にしても、魔獣討伐はやはり危険が伴うものだ。

 ならば安全マージンを取りすぎるに越したことはないとバッカドールお(にい)さまも随分反省しているようだ。


「うむ、今後は慎むように」

「はい…」

「そしてピースよ」

「はい」


 やっぱこの流れはお説教か?兄からの誘いだったとはいえ危険な場所にほいほいついていくな的な?

 私は緊張しながら父さんの言葉を待った。


「よくやった」

「へ?」

 予想に反して私に投げかけられた言葉は賞賛でだった。

 何故に?


 顔を上げると、父さんは蓄えた髭の下に笑みを浮かべ、頷く。

「ウルメリアやラルムから聞いたぞ?近衛たちに付与魔術を施した(つるぎ)を与えたそうだな?今回バッカドールはそれを借りており、その結果近衛達は魔獣に囲まれても果敢に立ち向かっていたようだな。大儀であった。」

「はぁ……」


 てっきりとばっちりで私も怒られるかと思ったけどそんなことなくてよかったよかった。

 そうしている間にも父さんはやや前のめりになり言葉を続けている。


「お前のことはレティシアからもよく聞き及んでおる。「王立古代魔法魔道具保管室」に入るという目的のために自分の興味のないことにも取り組んでおるようだな。いささか不純な動機だが、与えられた課題に応じ、結果を出すというのは王族として最も大事なことの一つじゃ。レティシアから与えられたとはいえ王族としての自覚の薄かったお前が商人をふるいにかけ、好きでもない絵画を描かせるというのは退屈だっただろう?」


(はい。まったくもってその通りです。なんて言えない…それにちょいちょい私の知らない話が出てきたんだけど?)

「これからはそのようなことにも手を出していこうと思っています」

「うむ。してその画家の卵が書いたという絵だが、わしにくれんか?」

「分かりました。完成した際はそのように手配します」

「以上をもって解散とする」

 父さんの一言で会議?謁見?は終了した。



 そうそうあの領主家はお家取り潰しですんなり決着がついたようだ。

 まぁ国王陛下から貸し与えられてる土地もろくに守れなかった挙句税金の値下げ交渉までしてきたのだから当たり前だよね?



─────────────────────────────────────

 国王陛下が絵を欲しがった際、周囲はざわついた。

 ピースは深く考えずに『自分は執着ないから欲しいなら上げるよ?』という考えで国王へ渡したが、娘から父親に物をあげるといってもこれは国王への献上品という揺るぎない事実であった。

 それも無名な画家の卵だというのだから近々絵画を献上しようとしていた者は皆『溺愛する実の娘の成長記録以上の価値を持つものなど、どこでどうやって入手すればいいのだと』頭を抱えてたという。

 そして数か月後完成した絵は国王の寝室に飾られた。


名前が出てから早二十数話、次回からようやく「王立古代魔法魔道具保管室」こと第二図書館に入室です。

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