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王族の素質

「僕も混ぜてもらおうか?」

「いいですよ。今の私には少々手に余りますので」

「二対一か。いいだろう!人間相手にはちょうどいい塩梅だろうな」

 レティシアを前衛、バカにぃを後衛とした即席の布陣が完成して戦闘が始まった。

 私は物語の中の『私のために争わないで』系お姫様ではないので参戦しようとしたのだが豪華にも魔獣を3体けしかけられてしまった。

 にしてもめんどくさい。

 こいつら私が観戦の意思を見せるとその場に座り込んで眺め始めたのだ。

 よく躾が行き届いているようで。



 感心していると戦闘が始まったようだ。

「はぁぁ!」

 なんて声を上げながらレティシアが切りかかり、そこにバカにぃがバフ魔法をかけている感じだ。

 シャングリラのほうはレティシアの剣を避け続けている。

 当たったら危険なのではなく受けるより避けた方が楽なのだろう。

 お互い小手調べの際中なのだ、だが近いうちに均衡は崩れるだろう。

 数太刀後、シャングリラが腕で剣を受けた。

 そのまま剣に肘打ちをかますと剣が折れた。

 レティシアはすぐさま後ろに飛び去り倒れていた近衛から剣を回収した。

 この時点で近衛対魔獣は魔獣の勝利に終わっていた。

 今は全員生きているが時間が経てば生存率はどうなることやら。

 数太刀後同じようにシャングリラが腕で剣を受けたが今回は振るった剣が完全にひしゃげるという代償と共に切断に成功はした。

 そんな片腕はいとも簡単に生えてきた。

 キモッ!そんな緑色の星人みたいな生えなくてもいいじゃん。

 次の剣を回収し終えたレティシアはまた魔人と相対するが今度は剣を気にして動きが制限されている。

「いたわるというのは大変だな?少し振るっただけで使い物にならなくなる剣はもはや武器とは言えまい?」

「うるさい!」

「折れない剣があっても勝敗は変わらんのだがな?」

 そう言った瞬間魔人の拳がレティシアの腹をうがった。

「ガハッッ!魔力探知は正常に動いていたはずなのになぜ?」

「それは今の拳に一切の魔力を乗っけていないからだ。お前は魔力探知に頼り過ぎている節があったからな。新人どもならそれでよかったかもしれんが私は魔人になって長い。お前の様なやつとの戦い方も熟知しておる」

「種は分かりました」

「そうか。では第二の矢はどう受ける?」

「?」

 魔人が質問をした瞬間魔力が一気に濃くなった。

 あれでは中心にいる人間は魔力中毒を起こしてしまう。

「やはり人間は脆い。この程度の濃度で使い物にならなくなる」

 不意打ちに近い攻撃で勝利したシャングリラは二人に追撃を数発叩き込み私のもとへやってきた。

 レティシアの服だけ破けたのはこいつの趣味だろうか?

「さて賭けに勝ったのは私だな。人形(ペット)として飼われる心の準備はできたかな?」

「は?お前は今から私の実験動物(モルモット)としてその生涯を閉じるんだよ」

「少し現実を教えてやらんといけんか」

「確定した未来だよ」



 私は今レティシアと兄を傷つけられて割と起こっている。

 普段は試せない原子核の炎(ニュークリアフレイム)なんかをこいつで試してやろう。

「せっかくの実験動物(モルモット)なんだから長く使えるように頑張ってね?」

人形ペットに傷を付けるわけにはいかぬがお前は多少手荒くしても壊れんだろう。この霧は魔力を吸い続ける性質を持つ。吸い続ければ何者であろうと自我を失うしろものだ。ゆえにそろそろ操り人形となるはずだがその兆候すら見られとはどんなからくりなのやら?だが安心しなさい吸わせてダメなら体に直接注げばいいのだから。この私が人形(ペット)として使ってあげるのです。光栄に思いなさい!」

「ご高説は終わった?じゃいくよ?サイクロン」

 前にも行ったけど私は物語の登場人物じゃない。

 相手が喋ってたら色々準備するよね。

「風の檻か。こんなのもでなにができるのやら?」

「結界」

「ふん」

にしき銀波ぎんぱ牡丹ぼたん青蜂あおばち

 そうみんなご存じ花火を音や光も魔法で再現してみた。

「魔人に魔法など効かんわ!」

「不快くらいには感じるでしょ?それに強すぎる音や光は生物を死に至らしめるのよ?」

「脆弱な人間と同列に扱うでないわ!」

「目立った外傷なしか、じゃ次」

 そう言って剣を構えたはいいが残念ながら私の剣の腕では残念ながら削を付けることは叶わなかった。

 こうなっては仕方ないおとりとして使おう。

 突きを放つと見せかけて剣を離す。

 おとりを避けたシャングリラの視界に私が入らないような角度に誘導するのも一苦労だ。

「ショットガン」

 風の魔法で湖の底に沈んでいる大量の石をシャングリラに向けて放ち、物理的に穴だらけにする。

人形ペットが主人の手を噛むなどあってはならないこと!お仕置きの時間だ」

 ありゃ完全にロックオンされたようだ。



 体術を試してみることにしたけどやっぱ体格差ってネックだね。

 さっきから決定打にあと一歩届かないのがもどかしい。

 近接戦闘はお互い飛行魔法を駆使した空中戦へと移行した。

 うん。ここでならいいだろう!

原子核の炎(ニュークリアフレイム)

 豪炎がシャングリラを包み込んだ。

 至近距離で炸裂したが、術者を傷つける魔法など存在しないため私は無傷だ。

「たーまやー!」



「魔法では…魔人は…倒せんと…いっとるだろ?」

「意外と持つね~」

「なかなかの火力をしていたと誉めてやろう」

「じゃ、頭と胴体おさらばして死ね」

 私言ったよね?「(おとり)」だって。

 振り抜くだけでひしゃげる剣が武器と呼べないなら一撃でとどめを刺せばいい。

 武器を渡して警戒されるなら悟らせなければいい。

 自分に届きうる攻撃を警戒されるなら無警戒のうちに一太刀で仕留めればいい。

 簡単な話だね?

 だって私は物語の中のお姫様じゃないんだ。

 その行為に必要性があるのなら闇討ちだろうが国落としだろうが己の命を賭けようが顔色一つ変えずにやれる。

 それが為政者いせいしゃってもんだ。

 必要なのは結果だけ。

 派手な効果音も掛け声も要らない。

「主人の命令ならそれを成し遂げるのが従者の役目です」

「あ?まだ動けたの…か?」

「なんだこれは?体が思うように動かん」

「この賭けはあなたの死をもってピース様の勝ちとなりました」

「冥途の土産です。ご自分の死因くらい知っておきたいでしょう?」

「居合抜刀。これはその名の通り抜刀術です」

「さようなら魔人。もう二度と会うこともないでしょう」



「ピース様」

「なに?私の命を賭けたの怒ってる?」

「いえ。『王立古代魔法魔道具保管室』入室の件ですが今回の一件を持ちまして私は納得致しました。王宮に戻り次第陛下にお伝えいたします」

「疲れたからしばらくは図書館籠りだ~」

国王には興味ないのに王としての資質は持ち合わせているピース様。

人は自分が欲しいものは手に入らない生き物なのです。

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