付与魔術で遊ぼう!楽しい魔液の調合編
翌朝目覚めた私はウルメリアお兄さまからのプレゼントを持ってきてくれたメイドさんと一緒に宮廷魔術師たちが使う実験室を間借りして触媒の調合に取り掛かった。
「おはようございます」
「「「「「「おはようございます!ピース様!」」」」」」
この手の部屋に入るときは癖で挨拶をしてしまうのだが、思ったよりたくさんいて驚いた。
「本日はどのようなことをなされるのですか?」
「我々にお手伝いできることでしたらなんなりとお申し付けくださいませ。」
「あれ?本日の担当はいつものメイドさんではなのですか?」
「レティシアさんがピース様とご一緒ではないのは珍しいですね。」
「確か一昨日から騎士団の特別講師をしてるって聞いたぜ?確か今日は新兵団のやつらんとこ行くらしい」
「あーそういや騎士団のやつが愚痴ってたな確実に強くなるが代わりに向こう数日は体が悲鳴を上げ続けるって」
などと言って集まってきた。
(今レティシアってそっちに居るんだ~)と丸一日会っていないレティシアのことを考えつつ今日何をするのかを説明する
「今日はね?魔液の調合と付与魔術を試そうと思うの。」
「左様でしたか!」
「火魔法や水魔法などはお任せください!」
「必要になったらよろしくね~」
なんて言って宮廷魔術師たちをかわす。
「ピース様、調合の方が終わりましたらお呼びください」
「ん。分かった~ありがとね~」
「失礼いたします」
と材料を持ってきてくれたメイドさんが退出し実験開始だ!
テッテッテーテレ!テテレテッテッ!テレレテテレテッレテッレテ!
懐かしいBGMの鼻歌を歌いながら準備を進めていく。
「本日は魔液を作って行こうと思います。準備するのはこちら!魔核と、大量の油と、魔鉱の塊でございます。この後付与魔術も行っていきますので、そちらもされる方は武器もお忘れなく!」
「まずは魔鉱を溶かしていきます」
「土魔法で石の器を作り、その上に魔鉱を入れます」
「魔鉱は融点が低いので、炎で炙っていればいずれ溶けます。事故防止のため水の魔法で、器の周りを囲ったら内部に火の魔法を放り込みましょう!火力は実験における中火くらいでしょうか?」
「これでしばらく放置しておけば魔鉱は溶けます」
「次に魔核を粉末状にします」
「削りやすいようにある程度小さくぶつ切りにします」
そう言って私は狼と戦った時と同じ要領で人差し指に刃を作り魔鉱をぶつ切りにしていく。
「おぉ水魔法にあんな使い方が…」
「いやまて、あれ風魔法で外側が覆われてないか?」
「おいおいってことは3属性同時に4つ同時展開ってことになるぞ?」
「3属性同時に3つ同時展開じゃないか?」
「お前事故防止に魔鉱溶かしてる火んとこ水魔法で囲いがしてあるの見えてないだろ」
「あぁ!ほんとだ気が付かなかった」
「おいおい…」
とかなんとか聞こえるけど無視無視。
安全面考慮しなければ魔鉱に直火で炎の魔法当ててより燃え盛るように風の魔法で酸素を送り込んで溶かし、風と水の混合魔法を振動させて超音波カッターの要領で粉末状にしてもいいのだが…
やはりそれではロマンが無い。
「ぶつ切りにした魔核をすり鉢で粉末状にし終えたころ魔鉱が溶けきります」
「この時魔鉱の溶かし過ぎに気を付けてくださいね~」
「さぁお楽しみの調合タイムの始まりです!」
「水の魔術と土の魔術を同時に発動させれば液体だろうが固体だろうが融合させることができ、新たな物質を作り出せますね?」
「せーのがーさんはい!」
「これができればあなたもあらゆる物体の調合が可能となる!」
「油と溶けた魔鉱が混ざり合っていく様子はもはや錬金術に近しいですね~」
さすがに魚の死体から純金を生み出すみたいな物理法則に喧嘩を売るようなことは不可能だけど…
「魔液を付与魔術に使う場合、羽ペンにインクを付けるように使う形になるためあらかじめ小瓶に入れておいたほうが扱うときに楽ですね?ここでロートを用いて移し替えましょう」
「さ、黄色かった油が銀がかかりキラキラとした水銀の様な形状の液体になったら粉末魔核をお好みで入れてしばらく混ぜれば魔液の完成です」
素材の比率は一般的に売られている魔液と同じにした。
魔液ができたところでウルメリアお兄さまのメイドさんを呼ぶと武器類は私が調合中に隣の付与魔術用の部屋に運び込んであるという。
手際が良くて助かる。
部屋を移すとそこには百本以上の上物の剣があった。
「こんなにあるなんて!ありがとう!」
「はい。昨日ピース様がお帰りになられてからご主人様が近衛達に『剣を集めろ」とおっしゃったようでして。私がお屋敷に戻ると皆さん懇意になされてる鍛冶師や商会に『剣を調達できないか?』と大慌てで連絡を取っておられました』
「そして今朝こんなに沢山の剣がお屋敷に揃いました。お一人で三十本も持ってきた者も居りました」
「あはは…すごいねその人」
「はい。なんでもご主人様とピース様両方に顔を覚えてもらうチャンスだとかなんとか…あと『数が少なかったらレティシアさんにどやされる…』とか言っておりましたね」
「えぇ…」
私のことが大好きなウルメリアお兄さまが私のために『剣を持ってこい』なんて言ったら点数稼ぎとして大量の剣を持って来るのは当たり前か。
あ、王子には大抵の場合、騎士団や警備兵団から引き抜いた近衛が各々十数人ほどいる。
貴族からの間者の可能性もあるからその辺ちゃんと見極めないといけない。
そういえば私の近衛をレティシアが集めてるらしいけど、その辺ノータッチだから今何人か把握してない。
レティシア基準をクリアする人間とか一桁前半な気がする。
でもごめん。ウルメリアお兄さまのとこの近衛君、私、君の顔見ないから覚えられないかな?
逆に私のことを王宮まで送ってくれて今日も付き添ってくれてるこのメイドさんはウルメリアお兄さまのとこのメイドさんって認知してる。
昨日は偶然としても今日も志願してきてたらなかなかの策士だ。
「じゃ始めるけど見てく?」
「よろしいのですか?ご主人様への報告に役立ちます!」
「うんうん。何かしてほしいことがあったら頼むけどいい?」
「はいよろこんで!」
とまぁ私だって顔見知りにはこれくらいのサービスはする。
「あれ?俺たちなにも手伝ってなくね?」
「あれだけ手際が良かったらかえって邪魔になるだけだしな」
「そりゃそうだな」
「ん?お前何書いてんだ?」
「いやピース様が素材の加工工程から説明しながら魔液の調合されたからメモっておこうかなって。まずかったかな?」
「いやまぁそういうの秘匿してるやつもいるけど素材の比率は市販品と同じだったしあんだけ大きな声で言ってたってことは気にしないってことだろうがよ…一言許可くらいとろうぜ?」
こちら一昨日倒した魔物のから魔核だけ持ち帰っていれば当分の間、魔核に困らなかったことに気が付いていないピース様でございます。




