レティシア式スパルタ王女教育 観察眼編2
今日から5連休もしくは木金に有給を取り8連休という方も多いと思います。
みなさま楽しいGWを!
商店を後にして私は露店巡りを行うことにした。
やっぱお宝を見つけるといえばこういう小規模なお店っしょ。
個人経営の古本屋とか掘り出し物の宝庫だしね!
結論から言えばめぼしいものはなかった。
あったにはあったのだが全て魔術書で買えなかったのである。
しかたがないので昼食を挟んでからよさげな服屋に入ることにした。
お宝が無いのなら作ればいいのだ作戦である。
社交界で着るドレスは基本一点ものだ。
生地から選び刺繡やら装飾やらアクセサリーを決めたらドレスの完成である。
だが私は商店で買った深淵の黒真珠を付けるためのドレスを作るというセオリーと真逆なことを行うことにした。
お宝と合うのもまたお宝である作戦だ。
「いらっしゃいませ」
「ドレスを仕立ててもらいたいのだけど」
「戦闘服…?あぁドレスでございますね?かしこまりました」
「どのようなものに致しましょう?」
「これに合うものにして頂戴」
私がそういうとレティシアが深淵の黒真珠の入った宝石箱を開き女店主に見せる。
「…これは至高の一品でございますね」
「ですと今回お仕立てになるドレスは昼用でしょうか?夜用でしょうか?」
パーティは昼と夜で開催趣旨が異なる。
昼は明るくカジュアル、夜はフォーマルでムーディーな雰囲気でこれにより装いが異なる。
なにかの懇親会とか親睦会は昼、誕生日会や政治的な話をする場合は夜みたいな感じだ。せっかくなので2種類作ることにした。
私はお気に入りのものは使いまわすタイプ…(王侯貴族的にはあまり褒められた行為ではない)…なのだがこの真珠は物が物なため変なことも言われないだろう。
なので昼夜どちらでも使えるように仕上げてもらうことにした。
詳細な話をつめる段階で身バレした。
「ではドレスは2着とも完成しだい王宮にお持ちいたします」
「よろしく」
「ピース王女殿下、お恥ずかしいことに当商会は王宮御用達ではございません」
「そうなんだ」
「ですので手続きに少々時間が掛かるため納品可能時期をお伝えできない非礼をお許しください。」
「しかたないよね~ん?ちょっとまって」
「は、はい。なにか別の品も見ていかれますか?当店はアクセサリー類も扱っております」
「いえ…また名乗ってないのに身バレした⁉どうして?せっかく徒歩できたのに…」
「そ、その…商人ですので高貴な方の情報と言いますか、容姿はある程度把握しているのものでぎざいます」
「そ、そうなんだ」
「…はい」
気まずい沈黙の後私は店を後にした。
なおこれのからくりは単純明快でピースが露店巡りと昼食を食べている間に初めに入った商会の主が商業ギルドで自慢しまくったためである。
「今朝私の所にお忍びで十三王女殿下がやってこられた!」
「どなたからの紹介で来られたのかは定かではないが人間真面目に商売していたら商機は向こうからやってくるものだな!」
「事前連絡など一切なかったからお前たちの店にも来るかもしれんぞ?」
などと不敬罪にならない程度に自分に都合のいいように事実を誤認するような言い回しを意図的に行った。
例えば「自分の進めた商品」は全て買っていったとか。
事実ブローチを運んできたのは商会主で他の品は番頭や手代が運んだため、事実とは異なるが彼らが売り込んだように取れる言葉使いが徹底されていた。
ここで商人たちの反応は
自分レベルの店なんぞに来るわけないと早々に諦めた者。
今日はすでに懇意にしている貴族との商談や来客対応で予定が埋まっていた不運な者。
幸いにもそんなものはないかあっても別日に移せる程度の小さな話しかなかった幸運な者。
3つの派閥に分かれた。
この情報は瞬く間に王都中の店に広まった。
この商店は幸運な側の人間だったのだ。
ブローチ、ドレスとくれば残るは靴だろうか?パーティの時、頭には私専用に作られたティアラを乗せるし化粧品は今回の目的からはズレてしまう。
イアリングはどこかに落としそうで怖いから付けないし、ネックレスは豪華なものは首が痛くなるので付けたくない。
「よし。靴を探そう」
「ピース様いらっしゃいませ。当商会は幅広い品物を取り扱っております。どのような品をお探しでしょうか?」
「分かってた…」
「はい?」
「社交界で使う靴を探しているの。あるかしら?」
「ございますとも!色はいかがいたしましょう?着られる予定のドレスの色などは分かりますでしょうか?それとアクセサリーも分かりますと助かります」
「昼用は緑、夜用は黒のドレスでアクセサリーはこれ」
私がそう呟くと無言でレティシアが深淵の黒真珠を女店主に見せた。
そういえばここも女の人が商会主をしてるのか。
やっぱ普段使ってる分、女性用の商品を取り扱うのには強いのかな?
「ではこちらのブローチに合うようなお色や装飾品を選定致しましょう!」
「よろしく頼むわ」
「黒真珠と黒と緑のドレスに合う靴ですと昼の靴の色はベージュに致しまして足先にダイヤモンドを取り付けましょう。」
「そうしてちょうだい」
「はい」
「夜は…そうですね、深紅に致しましして足先にルビーを取り付けるのなんていかがでしょうか?全身を包む黒のドレスの胸元で輝く黒真珠、ダンスを踊る足元は深紅の靴で燃えるように輝く赤は映えること間違いなしにございます」
「面白そうね。その案で行きましょう」
「ありがとうございます!では商品が出来次第王宮までお届けいたします」
「楽しみにしてるわ」
なんて言って店を後にした。
さてそろそろお楽しみの魔術書探しに移ろうと思う。
「レティシア?今日のお宝探しはこれでおしまいにするわ。1日に露店巡りと3ヶ所のお店に足を運ぶと疲れるわね」
「お疲れ様です。それで魔術書を買う数なのですが6冊です」
「え?1つ多くない?」
「こうやって市場を歩き散策した時間も一つの宝ですよ?」
「やったぁ!ありがとう!さてもう身バレも気にしなくてよくなったし馬車を呼んでちょうだい。目星をつけてた魔術書のある露店まで行くわよ!全部残っていたらいいけど」
「はい。かしこまりました」
結果目星を付けていた本は何冊か売り切れており再度選び直す時間が掛かったが無事6冊の魔術書を購入して私は王宮へと帰ったのだった。
あ、そうそうお値段なんだけど3件ともいくらか聞こうとしたらレティシアに止められた。
「差し出がましいのですが大人の話ですので今回は私が担当いたしますね?おいおいこういうことも楽しめるようになりますので今はこちらでおくつろぎください」
などと言って別の部屋で話をまとめてきた。1つ目以外は結構早く帰ってきたからスムーズに話がまとまったのだろう。
15:30ごろにもう一話投稿いたしますので読んでいただけると幸いです。




