↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/49

45

 ユウレンは最強のヒーロー。眼から放つ破壊光線で天より降ってくるジャノメ達を粉々にしていく。

 それでも無数の群れが地面に降りてしまう。

 絶え間なく次々と降ってきて、いつ止まるのかもわからない状況。

 撃ち漏らしを始末しに地上に降りたいが、ユウレンは降ってくるジャノメの処理に手一杯だった。

 なので地上のジャノメの処理はユウレンに頼れない。


「みんな室内に逃げ込め!! 急げ!!」


 ジャノメが振り注ぐなか、ヨーゴが大声を張り上げて街中を走り回る。

 一緒にいたホノンとサダヒメは非戦闘員。事務所にて待機だと彼は命じてきた。

 

「施錠を忘れず、指示があるまで出るな!!」


 慌てふためく住人たちに、怒鳴りつける勢いで指示を飛ばす。

 警備隊として、怪我をさせるわけにはいかない。自分の安全よりも優先すべきは他者の安全だ。


「そこのオマエ達!! 何している!?」


 途中でうずくまっている女性と、それを介抱しているらしい男性を見つけ、声をかける。


「急げないのか!?」


「彼女が足を挫いてしまい……」

「私のせいです、置いていってください……!」」


 などと言っている間にも、周囲のジャノメは増え続けている。降ってきた個体が順々に動き出しているのだ。

 地を這う金色の蛇が、舌を出しながら迫りくる。

 

「ちゃんと2人で逃げろ、諦めることは許さん!」


 危機的状況。ヨーゴは決断し、そう告げて男の肩を叩く。

 住民の避難は完全ではないだろう、逃げ遅れもいるに違いない……しかしもう猶予はない。

 こうなれば被害者が出る前に、ジャノメを殺していくのみ。


 ヨーゴは首にかけていた数珠ネックレスを空中に放り投げる。


「鬼装……天骸!!」


 猛々しい叫びと同時に、空中を舞っていた数珠ネックレスが花火のようにカラフルに光って弾け、粒子化したソレがヨーゴに降りかかる。


 そしてヨーゴの身体は一瞬にして、赤い鬼の鎧武者へと変貌を遂げていた。

 頭部には赤い兜。顔には赤鬼を模した面頬。

 赤い甲冑を身体に纏い、肌は一切見えない。腰には大小の刀を備え……『鬼牙』の姿となった。


 ――もう一度、プロセスを説明しよう。


 ヨーゴの「鬼装天骸」の叫びで数珠ネックレスを構成するアダヴィニウム複合ナノメタルが起動し、瞬時に粒子化し振り注いだ。

 それらのナノメタルは瞬時に鎧武者甲冑スーツとして増殖・投射・整形され、鬼装を完了させたのである。

 その甲冑の……否、その姿の名は天骸霊装『鬼牙』。魔術と科学を組み合わせて作られた対怪獣用戦闘スーツなのである。


「JAAAARAAA!!」

「JAAAA!!」


 二匹のジャノメが地を這う速度を上げ、射程距離に入った瞬間に、ヨーゴへと飛び掛かる。


――シュパッ!!


 居合……もしくは抜刀術と呼ばれる技術にて、飛びかかってきた二匹を横薙ぎに斬り裂く。

 飛びかかりの勢いは殺され、死骸は斬られた位置でボトリと落ちる。


「まとめて来い!!」


 挑発するように吠えるも、相手は怪獣。言葉が通じるはずもない。

 ジャノメたちは近くにいる人間に迫っていく。


「うわああああ!?」

「きゃああああああああ!?」


 遠くから悲鳴が聞こえてくる。

 とうとうジャノメの群れが、逃げる住民たちに追いつき襲い始めたのだ。


「くっ……!?」


 敵の数が多すぎて、全員は助けられない。

 ヨーゴはその現実を苦しみながらも受け止める。この危機を乗り越えるには、嫌でも割り切るしかない。


「やめろおおおおおおおお!!」


 ならばせめて手の届く範囲にいる者達は救いぬく。助けられるだけ助ける。

 そう決意し、ヨーゴは走り出した。


「はあああああああ!!」


 二刀を手に持ち、目についたジャノメを片端から斬り殺していく。まるで狂戦士のような暴れぶりだが、確かな理性により、かなり効率的に殺せていた。


「くそッ……!!」


 だが永遠に動き続けられるスタミナはない。

 二十と少しを斬り殺したところで、ヨーゴは立ち止まってしまう。

 熱が入り過ぎて、自分の体力の限界を見失っていた。


「はぁ……はぁ……やってやる……!」


 止まっている間も、誰かが襲われている。

 動かねば状況は悪化するだけ。

 だから無理をしてでも動かねばならない……そう思った瞬間だった。


 パァン!!


「JA……!?」


 乾いた銃声が響き、ヨーゴの背後に忍び寄っていたジャノメの頭に銃弾が直撃した。


「なにっ!?」


 振り向くとそこには頭が弾けたジャノメと、少し離れたところでホノンとサダヒメが銃を構えていた。

 上がる硝煙から今撃ったのはホノンであるとヨーゴは理解する……と同時に怒りが湧いた。


「オマエら待機と言っただろうが!!」


「不意打ち喰らいそうなトコ助けてあげたんだから怒らないでくださいよ!」


 キレ返され、ヨーゴはたじろぐ。まさかそんな返答が来るとは思っていなかったヨーゴの頭は一瞬で冷えた。


「ホノンはともかくサダヒメまでどうして……」


「本当にごめんなさい、でも街の危機にジッとしていられなくて……」


 頭を下げて謝罪するサダヒメに、何故かホノンが「頭を上げて」と言いながら自信満々な様子で親指を立てる。


「大丈夫、戦果を挙げれば問題なしです」


「ホノン、オマエあとで説教だからな」


 などと話している間にもジャノメの襲撃は続いている。彼女らを事務所まで送迎する暇などない。

 なので仕方がなく、ヨーゴは2人を戦力として数えることにした。


「来たなら働いてもらう……視界に入ったジャノメを一匹残らず殺し尽くせ、命令はそれだけだ」


「サダヒメ、了解しました!!」

「ウチも了解です!!」


 銃と刀が、ジャノメを屠っていく。

 効率はヨーゴだけの時よりも飛躍的に上昇し、襲われている人々を次々と助けていく。

 3人のチームの戦果は、ヒーロー達にも劣らないだろう。


 一方その頃、そのヒーロー達……リーレイとジェニファーはヨーゴらと同じように、地上でジャノメを殺しながら、オウイチロウとシールの指示で移動していた。

 常人2人は超人である彼らに守ってもらっている。武器を持っていないからだ。


「ここが監視塔か?」


「そうだ……ここまででいい、ありがとう」


「さっすがリューオウにレディメタルだな……めっちゃ頼もしかったぜ、あんがとよ」


 礼を述べて、オウイチロウとシールは監視塔へと突入していく。

 何があるのかはリーレイもジェニファーも知らない。しかし彼らの表情からして状況を打破しうる何かがあるとは思っていた。


「よし、小生らはジャノメ狩りを続行だ」

「言われなくてもやるっつぅの!!」


 ボトボトと降ってくる金色の蛇たちは、周辺にいる人間に襲いかかる。


「うわああああ!?」

「ひっ……ひいいいい!?」


 この街の住民たちと関わりはない。今のところは全くの赤の他人。情など湧かない。

 しかし見捨てるのは、ヒーローとしてのプライドが許さない。


「どりゃああああぁ!!」


 バゴォン!!


 住民に飛び掛かるジャノメを、ジェニファーはギリギリで殴り飛ばす。たったのその一発で、ジャノメは粉々に砕け散った。

 剛力・硬度・速度・重量。硬化したジェニファーは今、その四つの要素を併せ持つ。


「ちぇりゃああああああ!!」


 その四つが掛け合わされば当然、鉄をも砕く破壊力となる。

 住民たちを襲おうとするジャノメをジェニファーは片っ端から殴り砕いていく。圧倒的なパワーがあれば技術などいらない……そう言わんばかりの活躍であった。


「レディメタルのパワーファイトは華があるな……小生は地味だから羨ましい」


 リーレイも住民たちを助けていた。

 

 彼には他のヒーローのように派手な特殊能力はない。なのでジェニファーのような力に物を言わせた戦い方はできない。

 そんな彼は技術によってジャノメを駆除していく。


 スパァン!!

 ズバッ!! ズババッ!!


 彼のその動きには、人類が歩んだ数千年の歴史が紡がれており、リーレイの手によって完璧なまでに洗練されているのだ。

 あらゆる武を舞のように扱える。だからしなやかで、止まることがない。


 パァン!! パァン!! パァン!!

 ズパァン!! ドシャア!!


 手刀に足刀。手槍に脚槍。さらには槌から鞭まで。

 よりどりみどりの人体武器倉庫。十全に扱えるのは彼の意思と肉体だけだ。


ブクマや☆での評価・応援などよろしくお願いします。感想や酷評や罵倒などもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。