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最強ギャンブラー濁!

 南場四局オーラスである。

 親は、銀髪の青年であった。

 彼は人呼んで「豪運のダク」。ここ最近、界隈の雀荘を荒らして名を挙げてる、新手のギャンブラーだ。

 その男が持ち点が1000点と、絶望的な状況に追い込まれていた。

 だが、濁は不敵な笑みを浮かべた。眼から、輝きが消えていない。


「豪運とやらも大したことないなぁ!」


 濁の対面トイメンの堂本が、リクライニングシートでふんぞり返って笑う。現状64000点と、圧倒的首位だ。

 西家の阿加木は、煙草に火をつけた。一筒を捨てつつ、濁の打筋を振り返る。特に光るものは感じられなかった。典型的な運頼りのタイプだ。

 堂本が阿加木に視線を送っていた。


「こんなに手応えのない奴だとは思わなかったぞ! なあアカギ!」

「俺をカタカナで呼ぶな」


 しかし、濁が界隈で勝ち続けているのは事実だ。何かあるはずだ。阿加木は、煙を吐いた。

 Awazon超お急ぎ便の箱が、濁の傍にあった。阿加木は横目で確認した。濁はそれを、箱ごと叩き潰した。煙が一気に噴き出す。


「うおっ! 何しやがる!」


 堂本が眼を見開く。白煙は、瞬く間に部屋中に充満した。


「貴様っ! 逃げる気か!」


 堂本が闇雲に腕を振り回す。空を切る音が響く。阿加木は、煙草を灰皿に押しつけた。

 しばらくして、煙が引いた。濁は、席にいた。


「俺は逃げも隠れもしない」


 濁はにやりと笑った。

 堂本は、ふんと鼻を鳴らして、白を捨てる。


「ロン!」

 濁は嬉々と叫んだ。勢いよく、牌を倒す。


「大三元、字一色、三暗刻!144000点だ!」

「な、何ぃ!?」


 堂本は椅子から転げ落ちた。

 阿加木は、2本目の煙草に火をつけた。こんなあからさまなトリックを信じるなよ。そう、心の中で呟いた。


「俺の豪運は止まらない!」


 濁は意気揚々と、雀荘を後にした。




「奴も、詰めが甘いな」


 阿加木は独り言ちた。短くなった煙草を灰皿に押しつける。


「堂本、飲みに行くぞ」


 阿加木は短く言って、席を立った。足下にAwazon超お急ぎ便の箱が転がっていた。

 茫然自失としている堂本に、阿加木は財布の中身を見せた。

 1万円札が、びっしりと並んでいた。

 白煙が充満している隙に、濁の財布からごっそりと抜き取っていたものだ。

 阿加木は堂本を伴ってさっさと雀荘を出た。万札とすり替えたこども銀行券に濁が気がつく前に、とっととここを離れたかった。

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