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THE "HEAL" WRESTLER
覆面レスラー「ナパームデス」は舌を出して笑った。
ラリアットを喰らいリングに倒れた三田彰を、何回も踏みつける。
「ミター! がんばれー!」
「負けるなー!」
「くたばれナパームデス!」
「死ねー! 死ねー!」
善人役への歓声と悪人役への罵声が会場の中で入り交じる。
その不協和音にナパームデスは恍惚とする。ああ、今日も自分は自分として存在出来ている。
ナパームデスは三田を足蹴にして、リング外に落とす。
ロープをくぐり、頭から突っ込んだ。スーサイド・ダイブだ。胸元に直撃して三田が小さく呻く。Awazon超お急ぎ便の箱が届く。箱を壊して取り出す。パイプ椅子が入っていた。ナパームデスはそれを持とうとする。
「だあらあ!」
三田。前に出ていた。パイプ椅子を持とうとした瞬間だ。ナパームデスは観客を巻き込みながら吹き飛ぶ。
「きゃあああ!」
老婆が、吹き飛んでいた。座っていた椅子がひしゃげていた。
ナパームデスはとっさに老婆の手を引く。老婆はにこりと笑う。自力で立ち上がれるようだ。
ナパームデスは先程Awazonから届いたパイプ椅子を持ってくると、老婆を座らせた。
「ありがとう、ナパームさん」
老婆はにっこりと笑った。
三田も、アナウンサーも、観客も、そのやり取りを見て見ぬふりした。




