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メガネは俺の一部じゃない

 浦野はコンテナを背に座り込んだ。

 太ももから、血がとめどなく流れ続けていた。

 もう、一歩も動けなかった。銃弾は貫通し、急所も外れてはいたが、力が入らなかった。

 追手の足音が近づいてくる。


「終わりか」


 呟きは夜の風に溶けていく。

 ふと、膝の上に重みを感じる。Awazon超お急ぎ便の箱があった。

 中には、眼鏡が入っていた。黒縁で、レンズは四角だ。

 浦野は眉をひそめながらも、それをかけてみる。度は入っていない。

 フレームはしっかりと顔にフィットした。あまりにも正確なので気味の悪さを覚えるほどだ。


「おい」


 声が降り注ぐ。男がそこにいた。浦野のこめかみに汗が垂れる。

 上地かみじと、その2人の部下がいた。レンズ越しに、上地のあばただらけの顔が映る。

 上地は懐に手を入れる。浦野の全身が強張る。


「この男を見なかったか?」

「え?」


 上地は写真を出した。浦野の顔が写っていた。

 浦野は上地と写真を交互に見る。嘘をついているとか、冗談を言っているようには見えない。

 浦野は、東方面を指差す。郊外へ向かう道が続いている。


「……あっちに行きました」

「そうか、ありがとな」


 上地と部下は、浦野の指した方向に向かう。何の躊躇いもなく走って行った。

 浦野はその姿をしばらく目で追ったあと、スマートフォンに目を落とした。


「とりあえず連絡を――」


 上地。眼の前に立っていた。浦野の背中に冷たいものが走る。


「お前……」

「……」


 上地は一万円札を出した。


「足、怪我してるんだな。これで病院行けよ。足の怪我は怖いから」

「……ども」


 上地はその場を去った。浦野は姿が見えなくなるまで視線を外さなかった。浦野は太ももを押さえた。傷が、強く痛んだ。


 程なくして、仲間が車で来た。

 浦野は一万円札を捨てて乗り込んだ。

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