FLYING-FLYING
郡司は、雲間にAwazon超お急ぎ便の箱を発見して、自分の過ちを悟った。
背中を触る。やはり、そこにあるはずのメイン・パラシュートが無かった。
このままではスカイダイビングにならない。ただのダイビングだ。
ウイングスーツの下で、汗がじんわりと滲む。
限界高度まで40秒。それまでに、目の前のAwazon超お急ぎ便の箱を開封し、中に入っているであろうパラシュートを装着し、コードを引かなければならない。時間は、無い。
郡司は慎重にAwazon超お急ぎ便の箱を掴み蓋に手をかける。テープが、剥がれない。
Awazon超お急ぎ便の箱は、配送に耐えうるために強度な作りになっている。
指を突っ込む。食い込まない。何度もテープに爪を立てる。まだ食い込まない。力を入れて突き刺す。ようやく端がめくれる。テープを剥がす。蓋を開く。中はビニールで覆われていた。どうしてこんな過剰包装なのか。残り20秒。郡司は舌打ちをする。
そこにAwazon超お急ぎ便の箱がもうひとつ出現する。中はきっと刃物だが郡司はこれを無視した。開封するより地面に激突する方が早い。残り10秒。ビニールに手刀を入れる。しなやかな素材は破れず、伸びた。どこまでも伸びた。破れない。残り5秒。郡司は歯噛みした。残り1秒。
「ふう……」
郡司は、緩やかに地面に降り立った。遅れて、パラシュートの傘がふわりと地面に降りる。
着地地点からやや離れた地面に、Awazon超お急ぎ便の未開封の箱が突き刺さっていた。
「やはり、最後に頼れるのは自分自身だな」
こんなこともあろうかと、腹に予備のパラシュートを抱えておいて、本当に良かったと思った。




