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※ネタバレ

 Awazon超お急ぎ便の箱が3つ出現した。

 『メンタルを強くする!』というタイトルの本、バスタオル、日本酒が入っていた。

「これはあなたが10秒後に欲しくなる商品です」という書面も、それぞれに入っていた。


 さとるは天井を仰ぐ。せり上がってくる涙が抑えられない。

 李理りりに思いの丈を綴ったLINEを送って、30分が経っていた。


「5年の片思いも今日で終わりか」


 バスタオルで涙を拭った。ハンドタオルで許容できないほどの涙が流れていた。

 LINEの通知音が鳴る。画面を見る気にはなれなかった。

 日本酒が目に入る。高砂酒造の国士無双。李理の好きな銘柄だ。何かにつけて李理に結びついてしまう。今夜はこれを呑んで忘れろという、Awazonの粋な計らいだろうか。精神を強くする本に関しては、些かやり過ぎな気がした。本を読んだところでメンタルがすぐに強くなるわけではない。

 瓶に手を伸ばそうとすると、スマホから音が鳴った。今度は着信音だ。丁寧にお断りしてくれるのだろうか。

 出たくはなかった。涙でしゃがれた声を聞かせたくなかった。着信音は延々と流れ続けていた。鳴り止む気配は無い。切れるまで待とうとしたが、それでも延々となり続けた。

 画面にはやはり李理の名前があった。覚は意を決した。李理が礼節を尽くしてくれるのだから、最低限は応えねば。ひとつ、呼吸をして通話ボタンを押す。


「てっめえええ! LINEなんかで告ってんじゃねえよ!」


 部屋が大きく震える。それほどの声だ。覚の背筋が伸びる。


「何年待ったと思ってんだ! 直接言いに来い! 全力で来い! この臆病者チキン野郎が!」


 覚は転がるように玄関に行き靴を履いた。李理の家まではおよそ2kmだ。深夜2時。タクシーを待っている暇は無い。気温は30度を超えている。どうあがいても汗塗れになるだろう。

 覚はバスタオルを首にかけた。李理の大好きな国士無双を両手で携えた。メンタルは帰ってから強くすることにした。きっとこれからの人生に強いメンタルが必要になるのだろう。その兆候は悪いことではない。


 覚は、李理の家まで全力で走った。

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