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超大局観

 竹蔵は禿頭とくとうに手を当てて唸った。盤面は圧倒的に劣勢だ。伝助の玉将を獲る道筋が、一向に思い浮かばなかった。


「どうした竹蔵。このままだと日が暮れてしまうぞ」


 伝助はニヤニヤとしていた。竹蔵は歯噛みする。この男にだけは負けたくなかった。腕を組んで更に考え込む。


(あ、そうだ。アレを使えば)


 竹蔵の頭に邪な考えが浮かんだ瞬間、Awazon超お急ぎ便の箱が、将棋盤の下から迫り上がってきた。

 勢いよく跳ねる将棋盤。四方に飛散する駒。竹蔵は口の端を歪めた。


「あー、すまんのう伝助。もうすぐ昼時なんで、メシのことばかり考えてたら、Awazon超お急ぎ便が出現してしまったのう。ほれ『北倉』のカツサンド。1つ食っても良いぞ。じゃあ最初からやり直すか」


 伝助は表情を変えなかった。無言でカツサンドを頬張り、指で上を指した。


「な、あれは」


 竹蔵は驚愕した。伝助はカツサンドをゆっくりと飲み込む。

 ドローンが将棋盤の真上に浮遊していた。馬鹿な。心の中で呟く。いつからそこにあったのか、まったく気が付かなかった。


「最近は便利な物がたくさんあるのう。録画機能付きでな、ひっくり返る前の盤面も鮮明に記録しているぞ」


 伝助の背後に、Awazon超お急ぎ便の空箱があった。

 伝助は食べかけのカツサンドに、カラシをたっぷりと足した。


「さあ、()()をしようじゃないか」


 伝助は、カツサンドを口に放り込んだ。

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