表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/124

「桜が咲くまでには」

 白銀の斜面にスキー板でなめらかな弧を描きながら鮮やかにスピードを上げて滑降する信二郎は何かにつまずいて激しく転がった。


 全身が雪まみれになっていた。春先の雪は水分を多分に含んでいるため、スキーウェアがあっという間にぐしゃぐしゃになる。


 信二郎は躓いた辺りを見る。白い景色に茶色い箱はよく目立った。舌打ちをする。Awazon超お急ぎ便。そう書いてある。

 信二郎は箱を開ける。中にはロッカーのような大きな箱と、「これはあなたが10秒後に欲しくなる商品です」と書かれた書面が入っていた。

 遠くで、ごうと音がした。辺りが大きく揺れている。斜面の上を見る。景色がずれていた。いや、雪崩だ。こちらへ一直線に向かっている。


「なるほどなあ」


 信二郎は、頭を掻きながら箱の中へ入る。中は狭く、暗く、決して快適とは言えなかった。

 衝撃がする。箱が何回も何回も回転していた。そのたび、体のあちこちは打ち付けられた。

 しばらくして、回転は止まった。酷く狭い宇宙に、1人だけ浮いているようなそんな感覚を覚える。自分が上を向いているのか下を向いているのか、それすらもわからなかった。扉を押す。あまりにも重く、びくともしない。


 スマホの背面を2回タップする。この動作で119に繋がるよう設定してある。


「あ、すみません。雪崩に巻き込まれました。あ、今、箱の中にいます。はい、素留津山の三合目辺りです。食料も飲料もあるんでそう簡単には死なないとは思いますが、なるべく早めに助けてくれるとありがたいです。できれば——」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ