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キャンプは踊る、されど進まず

 20時を回っていた。

 未だに、バーベキューコンロの炭に火は灯っていなかった。

 ひょっとして、自分の父親は相当なキャンプの達人だったのだろうかと、文香は思う。


 毎年連れて行かれていたキャンプでは、文香の父親はあっという間に火を起こした。テントやタープもあっさり立てた。

 だから文香は、同じゼミの男たちが、コンロの準備にここまで手こずることは、意外であった。テントも、1時間くらいかけて建設していたのだ。

 おそらく自分が手伝った方が早いと、文香は思っていたが、「俺たちがやるから女性陣は休んでて」と言われたので、歪なタープの下から作業を眺めていた。着火が始まって30分が経っていた。


 文香は立ち上がった。食材を運ぶ手伝いくらいなら、男たちのメンツを潰すこともないだろう。

 炊事場に行くと、クーラーボックスとAwazon超お急ぎ便の箱が置いてあった。文香はひとまずAwazonの箱は無視して、クーラーボックスを開けた。まだ、皮すら剥かれていない野菜の山と、カットされてない肉の塊があった。

 食材類はあらかじめカットしてから出かけるものだと思っていたが、どうやらここでは違うらしい。

 文香は食材の量から、食事の時間を推測する。おそらく22時くらいになるだろう。


 Awazon超お急ぎ便の箱を開ける。カップラーメン、ヤカン、カセットコンロが入っていた。

 依然として、男性陣は悪戦苦闘していた。女性陣からは文句の声が上がり始めていた。

 文香は、満点の星空を眺めながら、カップラーメンを啜った。

 普段食べ慣れているものでも、こういうところで食べると格別だと、文香は思った。

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