表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/124

情熱ヒーロー!クリムゾンブレイド参上!

 孝之は酷く狼狽した。Awazon超お急ぎ便の箱に入っていたのは日本刀だった。


「これはあなたが10秒後に必要となる商品です」と記された書面が入っているが、日本刀こんなものが必要となる状況とはどんな状況だろうか。孝之の背筋が寒くなる。どう考えたって好ましい状況ではない。


 孝之は全力で走った。1秒でも早く、この場から離れたかった。

 十字路に差し掛かる。ここを左に曲がれば自宅はすぐだ。


「うわっ!?」


 孝之は戦慄した。巨大な影が立ちはだかった。

 蜘蛛だ。体長は、孝之の背丈を優に超えていた。無機質な青い3つの眼で、此方を視ていた。8本の脚で、じりじりとにじり寄ってくる。

 どうやら、獲物と認識されたそうだ。逃げ出したい。そう願ったが、足が動かなかった。地面に、張り付けられたようだった。

 もう、目と鼻の先の距離まで蜘蛛は近づいていた。食われる。孝之が覚悟した瞬間、ふいに怪物は視線を逸らした。その先を見る。へたり込んで動けなくなった子供がいた。

 怪物は、狙いをそちらに定めた。孝之は咄嗟に刀の柄に手をかける。抜けない。刀は素人が瞬時に抜けるように作られていない。今はじめて知った。

 ならばせめてと、孝之は子どもの前に立ちはだかる。


 瞬間、蜘蛛が爆散した。全身赤タイツの男が、拳を突き出して立っていた。


「情熱ヒーロー! クリムゾンブレイド参上!」







「結局なんなんだこの日本刀は……」


 帯刀したまま、孝之は歩いた。隠せるようなものを持っていなかったので、開き直ることにした。そのうち、すれ違う人間の視線も気にならなくなった。


「ああ、そこの若い人、ちょっとこれを切ってくれないですか」


 老婆が、話しかけてきた。手には蜜柑の入った袋があった。どうやら、縛り口が固すぎて、開かないらしい。

 孝之は、刀を少しだけ抜いて、紐に当てた。紐は、あまりにも容易く切れた。

 日本刀って良く切れるんだなと、孝之は思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ