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Watch you Watch me
喜屋武は焦った。
遠目から見る日野は、明らかに苛ついていた。眉間に皺を寄せ、右足を小刻みに揺らしていた。乱雑な動作で煙草を携帯灰皿に突っ込むと、すぐに新しい煙草に火を付けた。
「遅刻くらいでそこまで怒らんでも……」
草むらから日野の様子を伺う。このままだと、顔を合わせた瞬間に殴られるのは必至だ。何か上手い言い訳は無いものか。
Awazon超お急ぎ便が、喜屋武の手元に出現した。急いで開けると、腕時計が出てきた。スマホと時刻を見比べると、10分遅れていた。《《これ》》だ。喜屋武はそれを装着すると、日野の前に躍り出た。
「ごめーん日野ちゃん。時計が10分遅れててさ」
鉄拳。まっすぐに喜屋武の頬を打ち抜いた。熱されたコンクリートの上、喜屋武が転がる。
「もっとマシな言い訳があるだろうが!」
広場の時計は14時10分を指していた。
喜屋武の時計は14時を指していた。
集合時間は11時だった。




