表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/124

Now here

 Awazon超お急ぎ便の箱が出現した。


 弘果がそれに気がつくのと、手からコーヒーカップが滑り落ちるタイミングは、ほとんど同時であった。カップはなすすべなく床に叩きつけられる。砕ける音が響き渡る。

 破片が散乱していた。絨毯に茶色い染みが野放図に広がっていく。


「たたた、大変っ! 早く片付けなくちゃ染みが……」


 弘果はAwazon超お急ぎ便の箱に手を伸ばす。その手を掴まれた。筋肉質力強い腕がそこにあった。

 雅人が、そこにいた。テレワーク会議中だったはずだ。


「大丈夫か? 手を切ってないか?」

「う、うん。私は大丈夫」


 雅人は、軍手をはくとコーヒーカップの破片を、速やかに拾い上げていく。結婚する前に雅人が買ってくれた、お揃いのコーヒーカップだ。


「ごめんなさい……大事なものなのに……」

「弘果に怪我が無くて良かった」


 雅人は短く言った。

 大きな破片をあらかた片付けると、乾いた雑巾で絨毯を拭いた。丁寧に押し当てて、コーヒーを吸わせる。

 次に水を含ませて固く絞った雑巾で拭く。大分、絨毯についた色は薄くなっていた。

 雅人は汚れの箇所に中性洗剤を希釈した水を垂らす。そこを乾いた雑巾で軽く叩くように拭いた。汚れ周辺の水分も拭き取った。染みは、もう見えなくなっていた。


「掃除機はお願いして良いか?」

「うん、やっておく。ありがとね」


 弘果と雅人は抱き合った。

 部屋の片隅。開封されなかったAwazon超お急ぎ便が、当て所無く佇んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ