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最後の旅の案内人 〜やり直しの世界へ〜  作者: megane-san
第2章 王立学院

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27. ジルバとルキリアの繋がり

「よし、もう大丈夫だ。モーリー君、明日から学院に行っていいぞ」


「ありがとうございます!体も以前より軽い気がする、それに魔力が軽く練れる」


「過去世に刻まれた魔力が消えたことで、負荷が無くなったからだろうな……。調節が難しいだろうが、モーリー君なら、すぐに慣れるだろう。何かあったら、すぐに私を呼びなさい」


「博士、ありがとうございます」


「あっ、ルキリア君、少し話があるんだが……」


博士は俺を呼ぶと、部屋の外に出て、俺にどこかの住所が書いてあるメモを渡した。


「ルキリア君、明日、学院から帰宅したら、会ってもらいたい人がいる……、都合はどうだろうか?」


「会ってもらいたい人ですか?」


「あぁ、私の妻だ……」


(えっ、博士の奥さん!俺に何の用があるんだろう……。俺の力に関係することかな……)


「わかりました。明日、授業が終わったら、学院から直接向かいます」


博士は、ホッとした様子でうなずいた。

 

「ありがとう……。君に会わせるか迷ったんだが、彼女が会いたいと言ってね……。彼女のことは、明日、説明するよ……、君と私のこともね……」


(博士と俺のこと……?)


そう言うと、博士は、部屋の中のモーリーに一声かけてから、階段を上がって行った。

 


「ルキリア、大丈夫か?博士に何か言われたか?……まさか、俺がヤバくなったとか言われたのか!」


「あっ、うん……。えっ、違うよ!」


(モーリーには、本当のこと言った方がいいかな……。モーリーの治療に俺の暗黒魔力を使ったことと、博士がそれを知ってたこと……)


「ルキリア、お前、わかりやすい。俺に内緒にしてることあるだろ。言わなくてもいいけど、口に出しっちまったほうが、思考がクリアになるぜ」


(モーリーには、秘密を持ちたくないな……)


「わかった……。全部話すよ……」


「ぜーんぶ、話していいぞ!何を聞いても、俺は、お前を嫌いにはならないからな!」


(モーリー……)


「モーリーの治療をするのに、俺の暗黒魔力を使ったんだ……。博士が、なぜか俺の力のことを知ってた……」


「そうか。そうだろうな……っては、思ってた。博士は、お前の力のこと、王弟殿下から聞いていたんじゃないのか?」


「いや……、博士が、俺の力を知ってたことは王弟殿下には内緒にしておいてくれって言ってた」


モーリーは、ベッドの上で、腕を組んで考えている様子だったが、アッという顔をして、顔を上げた。


「ルキリア、治療はお前1人でしたのか?博士は?」


「治療は、まず俺の力を博士に送って、それを博士が調整しながらモーリーに流したんだ。最後は博士の光の魔力と俺の魔力を混ぜ合わせてモーリーに流した。あっ!」


「そうだよ、ルキリア……。暗黒魔力を操作できるのは……」


「明日、博士の奥さんに会ってくれって、さっき博士の家の住所を渡されたんだ。その時に話するって、……俺と博士のこと」


「行ってこいよ。お前のその力のこと、そしてお前がこの世界に来た理由が分かるかもしれない……」


(博士と俺は、どういう関係があるんだろうか……)





次の日の午後、俺は学院からシャーロット博士の自宅に向かった。


「ルキリア君、よく来てくれたね。さぁ、入ってくれ」


博士は、俺を応接室に案内すると、自らお茶を淹れてくれた。


「私の淹れるお茶は、ちょっと自慢なんだ。君の口に合うと思うよ」


俺は、博士の淹れてくれたお茶を一口飲むと、なぜか懐かしいような不思議な感じがした。


「あっ、あの、シャーロット夫人は?」


「……彼女に会ってもらう前に、君に、私と彼女と君の関係を話しておかなければならない」


「関係……?」


「君は、私が暗黒魔力を扱えるのを不思議に思わなかったかい?」


「……はい、何でかなって……」


博士は、俺に、にっこりと微笑んだ。


「私は、1000年前に魔の森で魔国を統治していた魔王だった。その時の私の息子が、君だった……、いや、『君の魂』が、って言ったほうがいいかな」


「俺が、魔王の息子……」


「1000年前、魔国を陥れようとしたデーモン族がいた……。デーモン族は、自分たちを人族と偽り、教団を支援して聖エリス国の建国を助け、その国にガーラン公爵家として、隠れ住んでいた。そして彼らは自分の娘を『聖女』と称して、その時の魔国の王、私の父と婚姻を結び、父を洗脳して双子を生んだ。その双子のうちの一人が私だ」


俺がびっくりした顔をしていると、博士はフフッと笑って、お茶のお代わりを淹れてくれてた。


「シャーロット博士、話を、続けてください……」


博士は、俺にうなずくと、お茶を一口飲んで、遠い目をしながら、先ほどの続きを話し始めた。


「その聖女も、自分の父親であるデーモン族長に洗脳されていた。そして父親に精神を操られるがまま、地底族を奴隷のように使役して貴重な鉱石を採掘させた。そして……、聖女は、採掘をやめさせようと抗議しに来た身重の族長夫人を殺した……」


「聖女が、族長夫人を殺した……」


「あぁ……。地底族長は、夫人とわが子を殺した復讐として、聖女が出産したばかりの魔王の子ども、双子の内の一人を殺した。1000年前の私の双子の妹だ……」


(あぁ……。ぐちゃぐちゃ、ドロドロだ……)


「聖女は、双子を出産すると、そのまま亡くなった。そして私は、デーモン族をこの世界から追放し、私の双子の妹を殺した地底族長と幹部たちを、『聖女が存在しない』並行世界に追放することにした。彼らをその世界に連れて行ったのが、私の息子、君だ……」


(俺が、地底族を並行世界に連れて行った?……えっ、『並行世界』って……、博士も、もしかして……?)


「博士……、『なまむぎ・なまごめ』、続きは?」


「……なまたまご」


「博士は、日本からの転生者ですね?」


「あっ……」


「すみません、話がそれました。博士、続きをお願いします」


「あっ……んっ、ゴホンッ……。1000年前、聖女が亡くなると同時に魔王であった父も亡くなった。そしてその後、私は、魔王として覚醒し、ヴァンパイア族長の娘を娶ったが、妻は、君を生んですぐに亡くなった……。私は、君が地底族を連れて並行世界に飛んだ後に、彼女の魂が転生していたこの世界に転生したんだ」


「シャーロット夫人は、1000前の私の母親だったということですね。でも、なぜ今……」


「彼女は、余命3ヶ月なんだ……。彼女には転生前の記憶があって、君がこの世界に転生したことは知っていたんだ。今世では他人だから会わないと言っていたんだが……」


( 1000年前の俺の母親……。会ってみたい……)


「シャーロット夫人に、会いたいです……、俺も……。あっ、俺の力で、夫人の病気を治せば……」


「ルキリア君、ありがとう……。私も君の力を借りることを薦めたんだが……、彼女は、治療を拒んだ……。自然の流れに任せて寿命を終えたいと言ってね……」


博士の目尻に光るものが見えたが、顔を背けるとグッと目元を拭った。




コンコン、と夫人の部屋をノックして、博士がドアを開けた。


部屋は日当たりの良い明るい部屋で、レースのカーテンの隙間から木漏れ日が差し込んでいて優しい雰囲気の部屋だった。


「ルイーゼ、ルキリア君が来てくれたよ」


ベッドに横たわっていたシャーロット夫人は、ゆっくりと目を開け、そして俺の目を見つめた。


「ロア……、来てくれたのね。……今、夢を見てたの。ロアが迎えに来てくれる夢……」


(ロア……?1000年前の、俺の名前かな……)


「ルイーゼ、ロアじゃないよ、ルキ……」


「お母様……、ロアです」


俺がシャーロット夫人の手を握ると、夫人は、力が入らない指先で俺の手を必死にぎゅっと握り返した。


「ロア……、ずっと独りぼっちにしてしまって……ごめんね……」


シャーロット夫人は、そう言うと目をつぶって、また夢の中に入っていった。


(俺の、母さん……)


「ルキリア君……、ロア、ありがとう……」





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