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最後の旅の案内人 〜やり直しの世界へ〜  作者: megane-san


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第20話 王立学院への入学

 「おっ、学院の門が見えてきたぜ!」


「モーリー、俺、『いい子』やめてみるよ……」


「あぁ……。泣きたい時は、いつでも泣いていいぞ。お前、結構、泣き虫だからな~」


(あっ……、たしかに俺、モーリーの前で、よく泣いてるよね……)




馬車が門の前に着くと、オウルがドアを開けてくれた。


今日は入学初日だからと、オウルが御者をしてくれていた。


「ルキリア様、ルイが影としていつも近くにおりますので、何かございましたらお声をかけてください」


「学院の中に、彼は入れるの?」


「王弟殿下から許可をいただいております」


「過保護だな……。これが『いい子ちゃん』の原因かもな……」モーリーがボソッと呟いた。


(過保護……!でも、みんな、俺の力を心配してくれてるんだよなぁ……)


 


俺たちは門をくぐって、入学式の行われる講堂に向かった。


さりげなく周囲を確認しながら歩いていると、同じく講堂に向かってる生徒たちが、俺たちを見てコソコソと噂している声が聞こえた。


「新入生かな?背が高くて、すごくカッコいい!」

「えっ、俺たちと同じ新入生なの?……あぁ、特別クラスのやつらか」

「あれ?黒髪に赤い目ってさぁ……」


 

「モーリー、俺たち目立ってる……。俺の色のせいかな……」


モーリーは、俺の頭をペチっと叩いた。

 

「ルキリア、まわりを見てみろよ。色だけじゃない。俺たちの背丈や体格も、普通の11歳とは、かけ離れてる……」


(モーリーも身長が高いから気が付かなかったけど、じいちゃんの特訓続けてたら、筋肉付いて、身長も急にでかくなっちゃったんだよな……。普通の11歳とは、見た目が違うよなぁ……)


「……別に、見られてもいいか」


(俺、いい子やめたんだ。もう、誰の目も気にしない……)




講堂に入ると、俺たちは一番後ろ端の席に座った。


式が始まる少し前、まわりがザワザワし出したので、みんなの視線を追って講堂の入口を見ると、銀髪を肩ぐらいに切り揃えた背の高い生徒が、講堂の中を見回していた。


その生徒は、俺とパッと目が合うと、こちらをじっと見ていたが、スッと目をそらして俺たちと反対側の後ろの席に座った。


「あいつだな……」


「うん……」


「ヤバいぐらいの美少年だな……」


「ヤバいね……」


彼が席に着くと、すぐに入学式の式典が始まった。


学院長が壇上に上がると、挨拶を始める前にビンッ!と魔力を発して、みんなの視線を集めた。


「みんな入学おめでとう。この王立学院は、この国で一番の魔術学院じゃ。魔術というものは、形があるものではない。この学院にいる間に、自由に想像力を広げて君たちの独自の魔法を編みだしてほしい。みんな、この学院生活を楽しむんじゃ」


学院長が壇上から降りると、学院内での注意事項が生徒指導の先生から読み上げられた。


「ルキリア、あれ、向こう側に座ってる赤髪のやつ、『甥』じゃないか?」


艶のある赤髪を無造作に後ろでくくって、長い前髪で目を隠してる……。


(王族と関わりがあることを、知られたくないんだろうな……)



式が終わって、指示された教室に入ると、すでに赤髪と銀髪のクラスメイトが、席についていた。


俺たちは、一番前の窓側の席に座った。


教室内は、誰も声を上げずにシーンとした緊張感が漂っていたが、その静寂を破るように、ドアを開けて王弟殿下が入ってきた。


「待たせたね……。この学院での3年間、私が君たちの担任をすることになった。この特別クラスは、一般教科を必須としない。君たちの入学試験の、成績が良過ぎたからね……。それでだ、君たちがこの学院で学びたいことを教えてほしい。せっかくこの学院に入ったんだ。自分の学びたいことをここで会得してから卒業してもらいたいと思っている」


(この学院で学びたいこと……)


「自己紹介とともに、自分が学びたいことを一言ずつ発表してくれ。自己紹介は、家名はいらない。名前だけでいい」


レイノルド先生が、俺にニコッと微笑んだ。


(えぇ〜、俺から!)


俺は、先生の視線にうながされて、みんなの顔を見回してから立ち上がった。

 

「フルーラ辺境伯領から来ましたルキリアです。俺はこの学院で、属性を組み合わせた魔力の使い方を学んでいきたいです」


「属性を組み合わせた魔力の使い方?」


「はい。属性にこだわらない、いくつかの属性を組み合わせて魔法を使う方法を見つけていきたいです」


「なるほど、……面白いな。……あっ、今日は時間がないから、また今度このテーマでみんなと議論してみよう。じゃあ、次……」


隣に座っていたモーリーが、立ち上がった。

 

「俺もフルーラ辺境伯領から来ました、モーリーです。俺の属性は闇と土です。この学院で学びたいことは……、考えてなかったなぁ。でも、俺は、この学院生活を楽しみたい。4人しかいないクラスだけど、みんなよろしくな!」


先生は、苦笑いしながら、「学びたいことが出来たら、教えてくれ」と言った後、少し離れた席に座っていた銀髪の生徒に、目でうながした。


「アルジェントです。ノクタリア国からきました。……私は、人族がどんなふうに闇の魔力を使うのか……見てみたいです」


先生は、俺にチラッと目線を送ってから、「なるほど……」と頷いた。


「純粋な人族で、闇の魔力を持っている者は少ないが、特級魔術師に数人いるから、機会があったら会わせてやろう」


「最後は、ガイ……自己紹介してくれ」


ガイと呼ばれた赤髪の彼は、前髪で目を隠したまま、俺の方を向いて立ち上がった。


「ガイです。ダリオン国からきました。俺は火と闇を持っているけど、闇魔法はほとんど使ったことがない……。さっき、ルキリア君が言った、属性を組み合わせた魔法に興味を持った……けど、俺……」


「そうか……。ガイは先に、闇魔法を上級まで使えるようにカリキュラムを組むか……」


ガイが自己紹介を終えて椅子に座ると、先生はこのクラスの授業スケジュールを俺たちに配った。


「このクラスの魔術訓練は、学院内の訓練場を使用しない。君たちの魔力量では、訓練場を壊してしまうだろうからな」


(えっ、壊すって……、普通壊れないよ、ね……?)


「えっ、先生。俺ら、どこで訓練するんですか?」


「この国の北にある、魔の森で訓練をする。移動は学院が所有する転移の魔道具を使用する」


(えっ、魔の森って、瘴気が強くて、人は入れないんじゃ……。あっ、人族……)


「魔の森は瘴気が強いが、君たちは瘴気の影響を受けないはずだ。初日は、魔の森の入口で様子を見てから入ることにする。魔の森での初授業は、来週からだ。それまでは座学で担当の先生から魔法理論や魔法薬学の授業を受けてくれ。座学も、この4人で、この教室で行う」


(徹底して他の生徒と交わらせないようにしてる……)


先生はポケットから懐中時計を出すと、俺とモーリーをチラッと見て、目で合図を送った……ように見えた。


そして、先生はニヤッと笑うと、「少し早いが、今日はここまで」と言って、さっさと教室を出て行った。


(えぇ〜、そういうこと?)


モーリーは、先生の意図を察知したのか、2人に声をかけた。


「ア、アルジェント……、呼びづらい……。アルでいいか?ガイも、呼び捨てでいいか?俺とルキリアのことも呼び捨てで呼んでくれ」


アルジェントは、モーリーに声をかけられて、「えっ……」と、一瞬だけ目を見開いた。


「アル……って。両親にも呼ばれたことがない……」


アルジェントは、口に手を当てて、横を向いて呟いた。


「あ、アルジェントって、呼んだほうがいいか?」


(モーリーは、耳がいいから、彼の声、拾ったね……)


「いや、アルでいい……」


ガイも、前髪をいじりながら、小声で答えた。


「……俺もガイでいい」


モーリーは、2人の了解を得ると、ニンマリしながらドヤ顔で言った。


「たぶん、アルは気がついてるだろうけど、俺、地底族だから、地面に穴掘りたい時は俺を使っていいぞ」


「地面に穴掘るって、どんな時だよ……」


アルジェントは、また口を押さえて呟いた。


ガイは、無表情のまま、後ろを向いた。


(ガイ君、たぶん、笑いをこらえてる。モーリー……、君は凄いよ)




♢*♢*♢*♢*♢



その頃……


「さ、さ、寒い……。ぞ、族長、ここは陸地のように見えますが、実は足元が氷の塊で、その下は海水ですよ!さ、寒い……」


「足元に地面がないところは、ちょっと不安になりますねぇ~。さ、さ、寒い……。ハ……、ハクシュン!」


「族長、早く、次の場所に行きましょう……!あっ!族長、置いてかないで〜!」






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