第四十一話
『これより準決勝第一試合を始める。試合、開始!』
「〈因子結束〉氷・闇・影・念・風。モード未完乃魔王。ウルト発動、暗黒決闘陣。千剣…獅子丸、消え失せなさい!」
千本の剣が獅子丸の全方位を囲む。
一斉に飛び上がり獅子丸を貫く。
「ガハッ…!じゃかあしいぞ、ボケェ!」
獅子丸は何本か食らうが姿を人から獅子に変えて避け始めた。
「グラビティバインド。分身魂。パイロキネシス。…ウルト発動。究極飛翔正義蹴撃!」
動きを封じて分身魂で二人に分身し、ついでに嫌がらせで顔を燃やしてからバイカーシュートを放つ。
「あ?なんだよこれ…!」
向こうは回避する術は無く光となって消え去った。
ふぅ…少し落ち着いてきた。ちょっとスッキリ。
「ハルカくん!後は任せてくれたまえ!」
もっセルさんの言葉を耳に私も退場。
試合には勝ちました。
試合後復活すると獅子丸は逃げるように去り、他のメンバーも獅子丸を追い掛ける様に会場を去った。
本当、何だったんだろ?
あれで帝国No.1というのだから不思議だ。
そこまでプレイヤーの能力が低いのだろうか?
私は頭に浮かぶ疑問の数々に答えを見出だせないまま会場を後にした。
クインテット決勝進出
決勝 華天c VS 百鬼夜行
天上天下との試合を終えた私は少しのモヤモヤを抱えたまま、イベントフィールドへと繰り出した。
フィールドには高難度のダンジョンが有り、高レベルのモンスターがうようよ居る。
お供はサクヤちゃんだ。他のメンバーはスノウさんの救援に向かった。
イライラを抱えたままスノウさんに会いたく無かったというのが本音なんだけどね。
最近サボってた従魔探しも兼ねてダンジョンで暴れていたのだ。
「お、まぁまぁ強そう。〈魔物鑑定〉。あーハズレだ。」
「ハルカお姉様、荒れてますね…少し休みませんか?」
出てきたオーガジェネラルに拳を振り抜く。
あ、レベル上がった。
「大丈夫だよ、少し落ち着いてきた。そろそろフジミヤに戻ろうか。」
うん、もう大丈夫だろう。
テイムは出来なかったけど、それは仕方ないよね。
防衛の方も気になるし、そろそろスノウさん達の下へ戻ろう。
ブーブーブー…と着信が響く。
スノウさんからだ。
『ハルカ、今大丈夫?』
「大丈夫ですよ。何か有りました?」
『ごめん。私の采配ミスで前線にフジミヤから兵士を動かし過ぎて狙われたっぽい。隙を突かれてフジミヤにプレイヤーが殺到したの。慌てて私だけ戻って、周囲を探索してたら〘魔猪の宴〙の近くに他プレイヤーの姿を見つけたの。もしかしたら露見したかもしれない。』
「あー…なるほど。前線の方は大丈夫ですか?」
うちの同盟の柱みたいな物だからね、〘魔猪の宴〙は。
あそこで狩りすることによって全員が高レベルな訳だし。
これから拡大していくにつれてあそこの重要度は増していくだろう。
気になるのは前線の方もだ。
スノウさんが抜けて大丈夫なのかな?
『そっちは琉歌に指揮権を渡してあるから大丈夫。もうすぐセレーネもフジミヤに戻って来るみたいだから。それと…ハルカ気づいてる?アカネがどんどん他都市を攻略して行ってるから、前線がどんどん延びてるよ?』
「え?…あ、本当だ。助かりました。私もこれからフジミヤに戻るので現地で合流しましょう。」
マップを確認するとフジミヤの領土を示す青い部分が現在進行系で塗りつぶされていく。
ウチの切込隊長さんは仕事が早すぎる。
『待ってる。私は〘魔猪の宴〙周辺を回ってるからなるべく早く来てほしい。』
「話は聞いてたよね?行こう、サクヤちゃん。」
「はい、急ぎましょう!」
こうして私とサクヤちゃんもタカマガツハラへ戻る事になった。




