表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二宮くんの探しもの  作者: 牧田沙有狸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/18

第二の人生

季節は本格的に冬へと移っていった。ショッピングモールはクリスマスイルミネーションに彩られ、夜空にはオリオン座が光っていた。去年買ったぶかぶかのコートがぴったりになっていて、知らない間にも自分は成長しているんだなと実感した。

 心も体もどんどん、変わっていく。

 自分に何ができるか、結局は分からないままだけど、時間は止まらずに進んでる。

 二宮とのおそろいの時計も動き続けている。

 エスカレーターを見るたびに、いつも、クツが運ばれてくることを期待してしまう。

 二宮に会えなくなって、

 さみしくないけど、つまらない。

 そう、わたしの毎年の夏休みみたいに、たいくつなだけ。

 そういうもんだと思えば、それなりに過ごせる。

 そう思えばいいじゃん。

 石像の二宮には会える。

 ニューヨークにいる王子様の二宮は、本当はわたしのことなんか知らないのだから。記念に写真撮っておけばよかったって思ったけど、撮らなくてよかった。

 心も体もどんどん、変わっていく。

 いつか、ただの思い出になるから。

 大丈夫。

 こんな気持ちは石像には決して話せない。

 


クリスマスや年末になる前にやった方がいいって事で、まだ一ヶ月くらいしかたってないけど、ナミばあちゃんの四十九日っていう儀式をした。

ナミばあちゃんの骨をお墓に入れた。

 ナミばあちゃんのお墓ができた。






<金次郎>

「これはすばらしい第二の人生だね」

 久しぶりに管理人が現れた。

 ボクは、ナミさんの墓石になった。

管理人は墓地を見渡して興味深そうにしている。

「何の用だい?」

「メリークリスマス。ちょっと早いけど君にプレゼントだ。いい知らせと悪い知らせを持ってきた。どっちから聞きたい?」

 管理人は右手をボクの目の前に出す。今度はいいニュースから聞けと。

「じゃあ、いいニュース」

「了解。君と魂の契約をしたニューヨークの少年ね、意識を取り戻したよ。もう今は元気に走り回っているそうだ」

「え、だって、クリスマスが限界かもって」

「なんかね、元気になっちゃったみたい。君のおかげでいろんな細胞が刺激されたんじゃないの?」

「それは良かった」

「なかなかいい契約だったよ」

「そうだね」

「君の方も満足そうでなにより。まさか会いたい人に会えるとはね」

「ああ。最後は本当にありがとう。一時間、おまけしてくれて」

「え? おまけ? 何もしてないけど、そもそも私にそんなことできる権限はございません」

「またまた」

「いや、マジで。人間になった君の行動をいちいち見てるわけでもないし」

「え、じゃ、なんで」

「さあ。あ、でも」

「でも?」

「君があの子に会えた日は、サマータイムが終わる日だったね」

「サマータイム?」

「ニューヨークでは、夏時間ってやつを導入しててね。太陽が出てる時間を有効活用する制度さ」

「へえ」

「夏時間が終わったニューヨークはまあ、一時間、時間が戻るんだ。十一月の第一日曜日だったかな。日本とニューヨークの時差が十三時間から十四時間に変わる瞬間となる日だ。一時間増える」

「一時間増える・・・・・・つまり5時だと思ったら4時だったってことか」

「そうなるね」

「だからか」

 すごい奇跡だ。

 全てがボクに味方してくれたみたいだ。

「嬉しそうだね」

「ああ、すごく」

「ふーん。あ、そうだ。それで悪いニュースの方ね。ニューヨークの少年がね、佳夏を狙っているよ。あ、もちろん、女の子として好意を持って近づきたいって意味ね」

「なんで」

「繰り返し名前を呼び、想い続けて身体が記憶しちゃったみたいだね」

 管理人はにやりと笑って手を振って消えた。

「悪いニュースか」

 羨ましいような、嬉しいような、ちょっと悔しい不思議な気持ちだ。

ここに、ナミさんが眠っている。ここにいれば、ナミさんの遺骨を守れる。

墓参りに来た佳夏の成長をずっと見続けられる。

 最高に幸せな場所に来られた。

 ありがとう

 佳夏。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ