ダンジョン創世記0061
巨人国からの使者が訪れたことで里が騒がしくなる。
訪れたのはエルフが3人とドワーフが1人、ホビットが1人の計5人だった。
彼らは書状と何やら書類を携えており、ゴンドラから降りると里の責任者との面会を求めるのだが…
「いやいや、済みませぬのぅ。
実は上役の全員が咎人とされてしまいましてな、責任者と呼ばれる者が不在ですじゃ」
者達の前へ1人の老婆が出て告げる。
あのダンジョンに訪れていた2人組みが訪ねていた薬師の老婆である。
里の古老であり知者でもある彼女は、里の者達に望まれて使節団と相対することとなった模様。
っとは言え、今の彼女には何の権限もないため、取り敢えず取次ぎをする程度であるが。
「全てのですか!?」っと仰天する使者。
彼は此処の里で神龍様へ逆らい咎人へと落ちた者達がおり、それを捕らえ巨人国へ引っ立てるとしか聞いてなかったのである。
状況が理解できずに戸惑っている状態である。
そんな彼らへ老婆が昨日の決闘騒ぎの詳細について伝えているな。
それを聞いた彼らは呆れ憤る。
神龍。
それは、この地にて奉られる絶対的な神であり信仰の中心と言って良いであろう。
他の神々も奉られ敬られてはいるのだが、この地へと実在し実際に加護を与えし存在として認識されているのは神龍様なのである。
そんな神龍様を貶めるような下種な真似を行う者、そして、それを諌める立場でありながら諌めもしなかった者達…
単なる咎人で済むレベルではないが、それでも神龍様にて赦されているとなれば、この度の罪科にて済ますしかあるまい。
本来では緩過ぎる罰に憤りを覚えつつ、何があったのかを理解する使者達であった。
現状を理解した彼らは、取り敢えずは護送すべき罪人達を確認する作業へと移ることにする。
そう、彼らは先発隊として護送する罪人を確認し確保するために訪れているのだ。
罪人の名が乗ったリストは既に巨人国にて作成されており、それを持参している。
その罪人達の名は神龍様の御神託にて彼方へと伝えられ、それを元に作成された代物だ。
所謂、神意と言われる物を書き出した神聖たる品扱いの代物だったりする。
彼らは老婆に頼み咎人達の元へと案内して貰うのだが、道々老婆へ現状を聞き驚愕している。
「なんとっ!これだけの罪科を犯したにも関わらず逃走した者達がおるのですかっ!」っと。
彼らとしては神に反逆した大罪人達であり、それを信じられない程の軽い刑罰で済まされた奇跡と思っていたのだ。
それなのに、それを不服として逃亡を図り逃げ出している者達がいるとは…呆れ果てて困惑している。
そして老婆に案内されて元上役達の元を尋ねリストと照合しつつ確認を進めて行く。
全ての確認を終えるとリストに載った名前で確認できなかった者達が。
まぁ、里長は石像と化しているため、石像へ案内され確認し合点していたようだがな。
里に残っていた元上役達には巨人国よりの役人達が訪れるまで蟄居閉門を申し渡している。
それと同時に魔導具を使用して本国と此方へと向かっている部隊へと連絡を取っているようだな。
里で起こった事件についての詳細を報告し、里より逃走した者達について伝えている。
此方へと向かう際に出会えば捕らえることとなったみたいだ。
逃走した者達が捕まれば、更に罪科が増えて扱いが悪くなることだろう。
考えなしに行動するからだ、全く。
里の現状を確認し業務連絡などを終えた巨人国からの使者達は、作業を終えるとダンジョン使節団へ訪れていた。
実は国からは彼らと面談して、どのような者達かを確認するように命じられてもいるのである。
「お頼み申す、此方はダンジョンより送られし使節団の御方々が御わす場と聞き負かり越し申した。
此処を率いる方との会談を所望致したい。
何方か御取次ぎ頂けまいか?」
そう巨人国使者の隊長が言上する。
「これはこれは、良く参られました。
私は、この使節団を率いますフィレーユと申します。
この度は遠路遥々お越し頂き痛み入ります。
それで訪問頂いた御用件とは、如何なるものでしょうや?」
そうフィレーユが相対して対応しているな。
「おお、アナタ様が此処の…はて?失礼ですが、アナタ様はエルフで?
何やら我らとは違うような…」
エルフである彼が戸惑って告げる。
ほぉうっ、里のエルフ達は気付きもしなかったのだがな、彼には違いが分るようだ。
「まぁ、分りますの?
そうですわね、私はエンシェント・ハイ・エルフですのよ」って告げてコロコロと笑っている。
それを聞いて使者5人が思いっきり固まってしまう。
「こらこらフィレーユ、萎縮しておるではないか」っとティアが告げるが…
「いえいえ、ドラゴニアンたるアナタよりマシな存在でしてよ」っと、更なる爆弾を投下。
う~むぅ、ブッ込みますなぁ~
そして使節団と護衛部隊の全容を知り真っ蒼になる使者達。
彼らもダンジョンの者達と聞いて侮っていたのだが、まさかの実力者達に愕然となっていた。
「はは、この方々に喧嘩を?」
「阿呆ではないのか?」
呆れ果てる使者達であった。




