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ダンジョン創世記0062

ダンジョン使節団と接触する前は巨人国の者達もダンジョンの者として侮っていた。

所謂、虎の威を借る狐のように神龍様の威を借り受けて行動するだけの実力無き存在とな。


だが里の者達とは違い、巨人国からの使者達はフィレーユ達と出会って彼女達の実力を見抜き考えを改めたようだ。

巨人達に使役される者達と聞いたのだが、結構な教養を持ち実力もあるようだな。

だからこそ先触れの使者などという大役を任されているのだろうが…彼らの扱いって実は奴隷などの扱いとは違うのか?


暫し彼らとフィレーユ達は立って応対していたのだが、意外と文明人であり紳士的な対応をとる彼らとの会談について真面(まとも)に応対しても良いと考えたフィレーユは場を替えることにしたようだ。

配下の者達に命じ会談の場を整えさせているな。

まぁ念話(テレパーシー)のような思考を相手へ直接的に通話のような感じで伝えているため巨人国使者達へは気付かれてはいないがな。


暫し使節団として赴いた者達のことを紹介していると、場を整えるように命じていた者達から場が整ったとの連絡が念話にて入る。

それを受けたフィレーユが使者達を誘い移動することにな。


「長々と立ち話とさせて頂き申し訳御座いません。

 会談の場が整いましたので此方へ」っと、サラッと言う感じで彼らへと告げる。


フィレーユの提案を受け驚く使者達。

案内されたのは大き目の天幕であり、使節団が寝起きしている場所と使者達が思っていた場所である。

簡単に片付けたとしても煩雑なことになっていると使者達は思っていたのだが…


「ほおぅ…中は、このようになっていたのですなぁ」っと感心したように告げる使者。

天幕っと言うか、外見はモンゴル天幕のゲルとかパオとか呼ばれる代物を巨大化したような物なんだがな、内部の造りは四方を装飾されたパネルで覆われ、天井部には発光パネルが天板として配されている部屋となっている。

無論、床はフローリングとなっており、浄化魔術が魔導具にて常に施された絨毯が敷かれているな。


中央には長方形の天板を配した長机が清洒(せいしゃ)なテーブルクロスを掛けられ鎮座している。

その机には椅子が付随しており、使者達は、そこへと誘われ席へと着くことにな。


彼らが席へと着くと、白磁のティカップへと注がれた紅茶が配膳されて行く。

此方ではソーサーへティーカップを置く風習はなく、何のために付随しているのか首を捻っているな。

まぁ実際にソーサーは現代では飾りに過ぎない代物だから意味を考えるだけ無駄なのだが…


ソーサーは元々猫舌の西洋人達が茶を冷ますために注いでから飲んでいた代物らしい。

現在では、そのような用途で使用されることはなくなり形骸化した代物が付随している形だな。

まぁ、ソーサーがあった方が見栄は良いからカップのみで出すよりは良かろうよ。


お茶請けのタルトも配し終わり全員が席へと着く。

そして正式な会談が始まった。


いやな、正直、里の者達と行う予定で準備されていた物なんだがなぁ、アレらが遣らかしたので準備だけで使われなかったんだよ。

だから茶とお茶請けの準備だけで済んだので、すんなりと案内が行えたと言う訳だ。


「なるほど、いやに準備が早いと思っておりましたが、そのような理由でしたか…

 しかし…この器と言い茶と言いますか…この菓子も素晴らしいですなぁ。

 我が国の品も良いと自負しておりましたが、いやはや、更に上の物が存在するとは…」

そう告げて溜息を吐く。


「御気を悪くせずに聞いて頂きたいのですが…

 実はですね、我々のダンジョンは貴国よりも文明が進んでおります。

 そのことを神龍様が御知りになられ、此処の文明を開花させたいと願われたのです。


 特にカルデラ地帯での文明度の進み方が酷いと嘆いておられましてねぇ。

 故に、我らが尊主たるダンジョンマスター様へと願われ、この度の運びとなりましたの」


フィレーユによるカミングアウトにて事態を知り戸惑う使者達。

自分達が属する巨人国が文明の最先端だと思い込んでいた彼らにとっては寝耳に水といった事態である。


そんな戸惑っている彼らへフィレーユが続けて告げて行く。

「この度の使節団はカルデラ地帯の者達と接触して刺激を与え文明の促進を促すことで御座います。

 ですが、彼ら(みずか)ら己達の文明に目覚めると言う眼目が御座いまして、我らはあくまでも手助けに止める話となっております。

 我らダンジョンの技術や文化を施すと言うことは趣旨に反するとして禁じられておりますわ。


 ですからカルデラ地帯の者達へは、このことは内密に願います。

 ただ、そちらへは良い刺激になると神龍様が仰られておりましてねぇ、故に情報を開示しておりますのよ」っと、にっこり。


巨人国からの使者達は額から流れる汗をハンカチで拭きつつ困り顔。

自分達よりも劣る者達と高を括っていたら、実は相手の方が上手(うわて)だったと言うことで対応に窮しているようだな。

安易に返事を行える案件でもなく、そもそも彼らには権限自体が与えられてはいない。

故に勝手な判断で此方に言質を取られても困るのだろう。


会談中だと言うのに仲間内で相談し始める始末。

まぁ元々咎人の確認に来た先発隊であり、それ以外のことを行う許可は得ていない。

ただ、この度の騒ぎの原因となったダンジョンからの使節団について軽く調べる程度は許されており、その確認程度で接触して来たに過ぎないのだ。


相手はダンジョンの者と軽く訪ねてみたら、実は相手の方が上位者だった罠。

木っ端役人に過ぎない彼らには手に余る事態となってしまったようだな。


話し合いが終わったようで、戸惑ったように使者の代表者が告げる。

「お話頂いて恐悦至極に存じます。

 ただ、ことがことだけに、我々だけではお話も侭成りませんで…

 尽きましては、上の者と話した後で、後程、再度ご会談させて頂けませんでしょうか?」

結局は、自分達で話を進めるのは危険と判断したようだな。

持ち帰って上の指示を仰ぐようだ。


まぁ此方も性急にことを進めるつもりなどない。

なので彼らの提案を飲んで送り帰したよ。


どの道、此方の状態を巨人国の者達へ認識させる第一歩となっただろうさ。

っかさぁ、現在知りえている情報ではダンジョンサイドへ害なす存在は見受けられないんだよなぁ。

だから神龍様からの要望がなければダンジョン内で完結して暮して行く方が楽なんだよ。

面倒臭いなぁ、もぅ。

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