ダンジョン創世記0060
里へ派遣するクリチャーについての取り決めは、ある程度決まったのた。
後は派遣するだけだが、現在の上役達の扱いをどうするかが問題だ。
神龍様より巨人国王達への下知が成されており、巨人国より里へ上役達を引き取るための使者が送られてはいる。
だが彼らが辿り着くのには時間が掛かるんだよなぁ。
っと言っても数日程度ではあるんだけどな。
その間、彼らが大人しくしていれば良いのだが、既に数家族が夜逃げの準備を行っていたりする。
里長の家族も夜逃げを考えていたようだが、流石に里の者達が見張っており逃げることなどはできないのが現状だ。
しかし夜逃げなどしても全ての里へ彼らのことが神龍様より告げられている今の状況下にて行く所などないだろうに…
まぁ彼らは全ての里へ彼らのことが告げられているとは知らないのだから無理はないのだろうが、辿り着いた先で捕まることになるだろうな。
取り敢えずは使節団の者達をどうするかも考えねばならないだろう。
直ぐに他の村へと彼らを送るべきか、この里が落ち着いてから動くべきか…
「主様、慌てて事を成すのは悪手と考えますわ。
此処は件の里が落ち着いてから使節団を派遣しては如何かと」
そうペシュエに諭され、取り敢えず使節団の派遣は行わないことと決めたんだ。
そして里の治安などの関係上、使節団の者達には暫く里へと常駐して貰うこととした。
まぁ彼らに里のことに関して口を出す権限などはないんだけどな、居ないより居た方が良いとの判断だ。
里の指導者として派遣する者達の創生より先に、里へと常駐し買取販売を行う店を管理する者を派遣することとする。
その際に買取販売の店を建てる職人達も同行させることに。
機材を積む馬車数台に居住エリアを内包した馬車が同行しての移動だ。
出発は使節団が出発した洞窟からで、此方は使節団が送られる前から編成が完了していたためスムーズに旅立って行ったよ。
当初の予定とは違い、店へと常駐する者達には里の指導者として派遣する者達のフォローもお願いすることにな。
同時に里の治安維持もある程度は賄えるように人数を増やしてある。
そう言う理由から建てる施設は当初予定していた規模を上回る規模へと変わってしまい、結構大規模な建物へと変貌してしまったのが現状だ。
っとは言え、買取販売を行うのは戸外へと開けた窓口のような場所であり、建物内へと里人が立ち入ることはないようにしてある。
人数に比べ建物の大きさが小さ過ぎると疑念を呼ぶための処置なんだが、実際は建物内は外見よりも遥かに広い空間となつているんだよ。
まぁ此処には転移装置も設置予定だからダンジョン内施設へと楽に移動可能となる訳で、ダンジョン内の自宅から通っても問題はないがな。
取り敢えずは派遣っと言う建前上、設置した建物で生活して貰う予定だ。
っても、建物の内装はダンジョン内施設と変わらない居住空間であり、派遣手当てとして生活費が支給される関係上かなりお得と喜んでいるようだ。
ダンジョン機能を使用すれば0層と化しているカルデラ地帯にある里へは一瞬で転移させられるんだがなぁ。
流石にダンジョンの1部と化していることを悟らせるような真似は神龍様に止められているのが現状ってね。
困ったものです、はぁっ。
決闘が行われた日の夜…
数組の家族が秘かに馬車へと荷を積み里から逃げ出して行く。
里人も気付いてはいるが、下手に止めて武装した彼らと争うつもりはないようだ。
逆に哀れな者達として見送っているのが現状だろう。
なにせ罪人と化した者達以外の里人には緘口令を布いた上で彼らのことを神龍様が全ての里へと下知を下したことが知らされているからなぁ。
元上役達の家族が目的地へと辿り着いた後のことを考えれば、哀れに感じるのも仕方ないだろうさ。
元上役達の中には諦めて大人しくしている者達も居るが、現状を鑑みて逃げても無理で状況が悪化すると悟っている者達もいるようだ。
結構聡い者達もいるようだが、なんで里のために動かなかったのかねぇ。
いや、無為に動いたら他の上役や里長に叩かれる状況だった訳で、それを考えたら動けなかったのか?
スパイ・ダーに調べさせた資料によると、過去に里のことを考え動いて里から追放された者達もいるみたいだ。
最悪なことに里長の家からも追放者が出ていることが判明している。
現状を憂いて里の改革へと乗り出そうとした若き指導者達は、早々に里から追放されており、最悪は亡き者と化しているらしいぞ。
そこまでして守りたい地位だったのかねぇ。
一夜明けて…里に残った元里の上役は減っていたが、特にお咎めなどは里に下されることはなかった。
だが残った上役達の耳には夜逃げした者達のことが入っているようだな。
動揺する者達もいれば呆れる者達も、中には置いて逃げたと激怒する者達までいる始末。
困ったヤツらだよなぁ、本当に…ふぅ。
そんな彼らの耳へ里の者達が噂する情報が入る。
それは神龍様が既に全ての里へと罪人と化した上役達の情報を伝えており、現れたら捕縛することとなっていることだった。
青褪める者達もいれば、矢張りっと合点する者達も。
いやいや、上役っと行っても質はピンきりなんだなぁ、困ったものです。
そんな騒ぎの中で、ドラゴンが吊るしたゴンドラへと乗った者達が里へと来訪した。
里の者達が朝餉を終えて仕事へと向かう直前っと言った時間帯だな。
それは巨人国からの使者であり、巨人達に従っている山里へ住む者達だった。
巨人達が作る品々は素晴らしい物が多いのだが、その大きさにしては細工が細やかであることが上げられる。
実は、そんな細やかな部分は彼らに従う者達の手が入っていたりする。
巨大であることの優位性は彼らが、細やかな仕事は従属した者達が担当しているのが現状らしい。
ただし従属であり国民としては扱われていない。
あくまでも巨人達を補助する従僕たる立ち位置に過ぎないのであった。
そんな彼らから里へと先触れとして使者が選ばれ協力者たるドラゴンに運ばれて里へと訪れた訳だ。
なかなか巨人国の動きは早いと言えるだろうよ。
まぁ巨人国の者達は神龍様に帰依せし者達でもあるため当然とも言えるか。
なにせ現存する本物の神様なんだものなぁ。
っても朝から飯を食い散らかしている姿を見ると神々しさも…いえ、何でも御座いませんから睨まないで下さいな、こほん。




