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ダンジョン創世記0059

決闘が終わったとは言え、終わった直ぐに交渉もないだろう。

それに本来の交渉すべき相手である里の里長を含む上役達が全て除かれることとなった里。

そんな里と交渉しようにも交渉相手も存在しないのが現状だ。


なので直ぐに里との交渉を行うことなどできない。

いや、既に交渉っと言う段階は過ぎて、我がダンジョンより代官を派遣する話になっているため交渉どころではないがな。


そう言う訳でダンジョンサイドとしては里を導くべき人材を選出したり創生して送る準備を急ピッチに行っている状態だ。

ただなぁ…


「矢張り、派遣するエルフは全員創生なさるしかないのでは?」っと困ったようにペシュエが告げる。

「そうするしかないか…」

俺も肩を竦めて頷く。


いやな、使節団への参加希望者は多かったのだが、里へ派遣する者として募集したところ立候補者は皆無だったんだよ。

ダンジョンから派遣する買取販売を行う店はダンジョン管理物件としてダンジョン内物件クラスの内装施設を設置する予定だ。

だが里長達上役連中が使用していた物件は里の物なので里の他物件同様の内装施設となる。


そう、ダンジョン内っと比べて居住空間がダンジョン内施設と比べ最悪と言って良い物になる訳だ。


現在日本に住む者達に中世ヨーロッパの農村へ行って暮せと告げたとしよう。

その居住環境をあらかじめ告げて要請し拒否可能だとしたら誰が行く?


まず、トイレはない、トイレットペーパーなど存外だ。

何せ紙は貴重品なのでな、特殊案件で書類として使用されるのも稀であり、それさえも巨人国の富裕層ではって注釈が付くレベルだ。

そんな紙が、こんな辺鄙なエルフの里にあろう筈もないだろうさ。

そんな貴重な紙をトイレットペーパーっとして?在り得んな。


だから壷などで行ってから森へ捨てに行ったり川へ流すのが常となっている訳だ。

そう言う訳だから室内の匂いもなぁ…


風呂は当然ない、川や泉で沐浴か濡れ布にて身を清める程度だな。

お湯を使用するのは燃料である薪の無駄として贅沢の部類だぞ。


台所は家の外に釜が設けられており、そこへ水瓶の水を使用して行っているな。

これは上役達の屋敷だからで、里人達は共同施設にて調理してから分け合っているのが現状だ。


俺ならクッションの薄いゴリゴリと寝難い寝台なんぞで寝たくはないし、大体空調施設なんぞ里人達は想像だにしていないだろう。


兎に角、現代日本レベルを超える居住空間にて暮すダンジョンクリチャー達にとっては永住レベルにて派遣されるなど論外な居住環境だと言えるだろう。

いやマスター命令として強要すれば行くだろうさ。

けどなぁ、流石に彼処へ強要して行かすのは、俺の気が引ける訳で…俺は神龍様をチラッと見て尋ねる。


「矢張り里の施設に手を加えるのは…」

(くど)い、何度目じゃ?

 ダンジョンにて用意した物件なれば立ち入りを禁ずることもできよう。

 じゃが里の指導者たる者達の施設に里人が立ち入るのを拒むことはできまいてのう。

 さすれば同様の施設を欲するのが人情であろ?


 我は独自にアレらの文明が育つのを欲しておるのであって、ダンジョンに組み込んで欲しい訳ではないでな。

 そなたらから施された文明など、見とうもないわえ』


う~むぅ…そう言われてしまってはなぁ、ふぅ。

そう言う訳で、諦めて新たにダンジョンクリチャーを創生して派遣することに決めたよ。


ただウォッシュテッシュをトイレットペーパー代わりに支給は決定だな。

隠して使えば問題ないから良いと許可を()ぎ取ったよ、ふぅ。


そして壷風の簡易トイレ魔導具も支給することを決めたぞ。

これらは外見では違いが分らないし、生き物以外を入れると魔素へと分解する優れ物。

ウォッシュテッシュも使用した後で此処へ捨てれば魔素へと分解されると言う寸法だ。


風呂は大振りなウォッシュテッシュ風タオルを支給。

これも壷処分しつつ使用すれば良いだろう。

そして時間が許せばダンジョン施設である買取販売店へ設けてある風呂を使う形にな。


此処までは、ある程度を此方でフォロー可能なのだが、流石に調理系となると厳しい。

家の中へ調理場を設ける風習がない里で家の中へ調理場を設けるのは目立ち過ぎると言えるだろう。

とは言え、家の外にダンション風調理場などを設置すれば大騒ぎになるのは必須。


なので此方は頑張って対処して貰うしかないだろうな。


空調は無理だが、寝室だけは個室になるように改装させる予定だ。

そして寝室へ里人が立ち入らないように細工を行い、此処へはダンジョン産寝具を持ち込むことに。

空調魔導具も設置する予定だぞ。


劣悪な環境へ放り込むんだからさ、それ位はして遣らないとなぁ。


「ふぅ、(ぬし)様…流石に過保護過ぎるのでは?」っとペシュエに呆れられてしまったよ。

だがなぁ…

「ダンジョンクリチャー達は我が子も同然だろ。

 なのに皆と違う劣悪な環境へと送り出すなんて不憫じゃないか」

そう告げたらな、統制室内が静まり返ってしまったんだが…なんだ?


俺が首を捻っているとな。

『天然かえ?』っと神龍様が。

いや、どう言う意味?っかさぁ、何だか酷くね?

「それが主様ですもの」っとペシュエが微笑みつつ感動しているんだが…本当になんぞや?

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