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ダンジョン創世記0057

仕切り直しとなった決闘であるが、当然素人のファルから攻撃する意思はないのだが…


「ファルよ、行くのだっ!」っと脳筋ティアからの指示が。

「アナタは何を言ってますの!?ファルちゃんから敵へ飛び込めと?」

フィレーユが驚きティアを責めるが、ティアの迫力に押されたファルは…


「ふぃぇぇぇんでぇっすぅぅぅ」っと半泣きで走り出してしまう。


「あっ!?本当に突っ込んでった…」呆れ顔で呟くティア。

おま、意外と酷いヤツだな。


だがファルが走る速度が異様に速くないか、あれ…

(あるじ)様、ティアはハイ・グラスランナーですわ。

 しかも風精霊との融合化を経て創生されたタイプですわねぇ」

そうペシュエが教えてくれる。


現在のダンジョンには億には届かないが多くの知性あるクリチャー達が暮している。

彼らはダンジョン内にてクリチャー同士から生まれた2世ではなく、俺が創生したクリチャー達だ。

だが当然、そこまで多数のクリチャー1人1人について俺が認識している筈もない。


幹部達は目の前で創生して身姿やある程度の能力も把握はした。

だが大半のクリチャーは俺が承認したデータを元にセントラルサーバーとダンジョンコアがクリチャーを創生しているのが現状なんだよ。


ファルも、そんな感じで創生されたクリチャーの1人に過ぎない。

無論、ファルっと言う名前も俺が名付けた訳ではない。

だから彼女はダンジョンネームドではないぞ。

彼らにとっては本名だがダンジョンのクリチャーとしてはニックネーム扱いの名前だな。


しかし、速いなぁ…俺達はダンジョン機能を介して統制室内のメインモニターへと映し出される映像で観ている。

だから彼女が走る姿を確認できているのだが、肉眼では追うこともできないだろうさ。


駄々っ子のように腕をグルグルっと回しながらの突進って…素人か?ああ、素人だったか…


2精霊を呼び出し魔力枯渇にて生まれ立ての小鹿のようになっている馬鹿4人衆はファルの接近に気付いてもおらず…

丸でボーリングのピンがボールにパッカァーンっと弾けるように突撃の衝撃で吹き飛ばされて行くな。


あっ、助っ人数人が巻き込まれて一緒に吹き飛んでら。

ソイツらがクッションになって馬鹿4人衆も命の危険性はないようだが、あれでは決闘の続行は不可能だろう。


あれ?ファルって…意外と強い?


「フィレーユよ」

「なによ?」

「お主も意外と役者で御座るなぁ~あの者が斯様な力を秘めておるとは、(それがし)も流石に気付かなかったぞ」

腕を組んでウンウンって納得顔のティアが画面越しに見える。


いや、あれってさぁ、そう言うことなの?


それに対してフィレーユが呆れたように告げる。

「そんな訳ないでしょ、あれはアナタが脅すから驚いて怯えて突進しただけですわよ」

って、片手で顔の半分を多い呆れ困っている。


いやな、ティアも一応はファルの突撃を目で追えてはいたようだがな、強烈な突進速度に惑わされたようだな。


馬鹿4人衆と数人の助っ人を「びぇぇぇん」って泣きながら吹き飛ばしたファルが漸く止まる。

うん、なかなかに酷い絵図らだなぁ、うん。


ファルが直接吹き飛ばした助っ人と吹き飛ばされた馬鹿4人衆に巻き込まれて吹き飛んだ助っ人は馬鹿4人衆と同様に参戦不能な状態となっている。

彼らとしては訳も分らない内に吹き飛ばされてダメージを食らってしまい混乱しているな。

まぁ大半が気絶して混乱することもないようだが…


馬鹿4人衆を含めて11人の内で残ったのは1人。

っても決闘が始まったのに固まっていたので全員がファルの突進に巻き込まれている状態だ。

一番ダメージが低いヤツが槍を杖代わりにピルピルしつつ立っているのが現状だが…降参しないかなぁ、あれ。


「くそっ!まだ、負けではない、負けではないぞぉ~

 俺には生まれたばかりの娘もいるのだぁっ!

 負ける訳にはいかぬのどぅわぁぁっ!」


う~む、鬼気迫るって言うヤツか?あの調子でジリジリと迫られるのは恐いものが…あっ。

「ひぇぇぇっ!来ないでぇでっすぅ~」って頭を抱えて蹲っちまったぞ。

あれ、どうすんだよっ!


最後に残った助っ人1人がファルへと辿り着くが、杖として使用している槍を振りかぶることもできない状態のようだ。

いや、あの状態で接近しただけでも大したものだが、あれでは攻撃などできまい。

どうすんだ?


ファルが頭を抱えて振るえ、辿り着いた里側助っ人がダメージでピルピルしつつファルの傍らで立っている。

これってむ所謂1つの千日手?嫌な千日手だな、をい。


そんな訳の分らない膠着状態に終止符を打ったのは…またまたティアの一言だった。

「ファル二等兵!立たぬかぁぁぁっ!」っとの怒鳴り声がね。


いや、何時からファルは二等兵になったんだ?


「ふぁぁぁいっ!」っと驚き慌てて反射的に立ち上がるファル。

ゴンっ!


あっ…


立ち上がったファルの突き上げを喰らい最後の助っ人が宙に舞う。

ハイ・グラスランナー亜種の瞬発力にて与えられた衝撃をモロに喰らった結果だが、ファルの方は魔導スーツを纏っているから無傷だな。

魔導スーツのヘルメット越しの良い頭付きを喰らった方のダメージはデカイだろうが、ファルには被害は及ばない。


この瞬間…


『勝者、ファル!よってダンジョン側の勝利と致す!』っと立会いドラゴンから裁定が下る。

すると空かさず村長がな。

「異議有りっ!あの娘が纏っている甲冑が不正じゃっ!

 遣り直しをするのじゃっ!」っと…いやいや懲りないね、アンタ。


『ならぬ、裁定は決したぞえ。

 さて、使節団へと無礼を働いた4人に対する裁定はすんだがのぅ…神龍である我に対する冒涜を行った物を罰せねばなるまいてのぅ』


俺の横でモニターを見つつ観戦していた神龍様から異様な威圧が…

あ、もう、これを止めるのは、無理、うん、駄目っすわ…


途端にモニター越しに見えていた村長が見る見る内に石化して行く。


『貴様の体は輝煉鋼(きれんこう)と化したぞえ。

 欠けず傷付かず、溶けず、劣化せぬ代物じゃて。

 貴様の意思はその侭、五感は生きた侭にしておるからの。

 神を愚弄せし物として未来永劫、そこへ立っておれっ!』


いや、そこまでされますか…いや、その…神龍様に逆らうのは絶対に止めよう、そう思いましたよ、はい。

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